5本立てにしたり実写化したりと毎年驚きを与えてくれる劇場版妖怪ウォッチ。

今年も劇場版第4弾、『映画妖怪ウォッチシャドウサイド鬼王の復活』が12月16日、ついに公開されたので行ってきました。

が、いやはや・・・今年も結構ビックリしましたわ。

今回は、その感想も含めて、「今作意外とすげぇぞ!」ってところを紹介しておきたいと思います。

『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』
画像引用元:『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』公式サイトトップページより引用(2017年12月23日閲覧)

全然違う?原型ほぼないんじゃないかって妖怪ウォッチ

製作総指揮も務める日野晃博さんは、「今までの妖怪ウォッチでありつつ」なんて控えめな表現はしていますが、正直、

「私には全然違うもんに見えました」

主人公がケータくんじゃなくなったとか、ジバニャンやコマさんのデザインが変わったとか、ビジュアルですぐに分かる違いはモチロンなのですが、作風自体も大幅に路線変更していたところにビックリしました。

TVアニメ『妖怪ウォッチ』の特徴でもあった、大人こそ笑ってしまうような尖ったパロディギャグがなくなっており、戦闘シーンがやたらシリアスになっているかと思えば、対象年齢が上がったわけでもなくソフトなギャグが挟まれたり……。

よく言えば、正統派な玩具アニメという感じで、悪く言えば、どことなく既視感も感じるようなよくある玩具アニメという仕上がりになっておりました。

せっかく唯一無二とも言えるテイストを手に入れていた、『妖怪ウォッチ』がここに来て、王道へと路線変更しようとしてきたことには良くも悪くも驚きを感じました。

劇場版妖怪ウォッチ2017のこの上ない魅力とは!?

そんな本作は、正直な話、ご都合主義に感じられる展開が多かったりもするんですが、これもしょうがないとも思うのです。

なぜならこの映画、あり得ないぐらいのサービスてんこ盛り状態だからです。

ナツメちゃんトウマくんという新しい主人公が登場して、鬼まろという新しい敵が登場して、さらには新しい妖怪ウォッチが2パターン登場。

そのうえ、おなじみのキャラクターたちはほぼ全員デザインが一新されているのでそれも紹介しつつ、中盤には「ゲゲゲの鬼太郎」たちをゲスト出演させる。

さらに、フドウ雷鳴剣という伝説のアイテム的なモノの伏線もしっかりと回収し、世界が危機に陥ってゆくところから事件解決までを一本の映画に収めるという、トンデモナイ容量の映画となっていました。

映画妖怪ウォッチシャドウサイド鬼王の復活_パンフ
画像引用元:映画チラシ 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活 東宝

体感ではTVアニメ2クール分ぐらいの体験をしたような気持ちになりまして、ひとつの新しい玩具アニメのストーリーの始めから終わりまでを90分強で楽しめる画期的な映画なのではないかと思えました。

逆にこういった質量の、TVアニメの延長戦ではない玩具アニメの映画って今までなかったのではないでしょうか。

そういう意味でも今回の妖怪ウォッチの映画は貴重な一作だと思います。

「玩具アニメ」としてここが普通じゃない!

映画妖怪ウォッチシャドウサイド鬼王の復活_キャラクター
画像引用元:映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』公式サイト  上記サイトhttps://www.eiga-yokai.jp/info/chara.phpより引用(2017年12月23日閲覧)

そしてさっきから玩具アニメ、玩具アニメとやたら言ってますが、人によっては「ゲームもあるよ!」とか、「クロスメディア戦略って言うんだよ!」とかツッコミを入れたくなってるかもしれないですよね。すみません……。

でも・・・それぐらい、

玩具アニメと呼びたくなるほど、今回の新しい妖怪ウォッチに魅力を感じたのです。

主人公のナツメちゃんが持つ、妖怪ウォッチエルダは、白くてすっきりデザイン。パカッと盤面が開いて中のギミックが少し見え、そこに従来の妖怪メダルではなく鍵型のアイテムをかざして、友達妖怪を呼び出します。

今までよりもちょっとオシャレ! おもちゃ、おもちゃしていないところが素敵でした。

そしてもう一人の主人公トウマくんの持つ妖怪ウォッチオーガはもっとすごい!

ゴッツい黒くてカッコいい見た目の妖怪ウォッチで、盤面をカチカチ回して切り替えることで、弁慶や五右衛門といった上位妖怪に自らが変身できるという、最早今までの妖怪ウォッチとは大きくかけ離れた設定の一品。普通にカッコいいっス!

一本の映画に2個も新しいギミックのアイテムを出してくるところに、すごいサービス精神を感じました。

しかも、映画の中盤までは完全に女の子のナツメちゃんが主人公となっているのも、この映画の変わっているところ。

どうしてもこういった作品は男児玩具になりがちなのですが、“女の子も持っている”ってところをここまで前面に出す作品も珍しいです。

男の子サイドが身を挺して剣を振りかざし、女の子サイドは使い魔的に妖怪に戦ってもらう感じはジェンダー感を振り切れてないような気もしますが、それでも、十分男女両主人公作品といえるバランス感を成立させているのは見事でしょう。

 

――パっと見で、今までの妖怪ウォッチと違って好きになれないとか、粗の方が目立って見えてしまってイマイチに思われたりと、低評価を受けやすい作品なのは間違いないのかもしれません。

しかし、今回の『シャドウサイド鬼王の復活』は、それだけで切り捨てられない、固有の魅力を持った特殊な一作だとも思います。

そして何より、今までの映画『妖怪ウォッチ』と変わっていないところとして、今年も紛れもない挑戦作であったことは、しっかり評価したいです。

一時期のブームが収まってきて保守的になりたくもなるようなタイミングで、このカードを切った『妖怪ウォッチ』。その冒険心には感服する次第です。

どうなるのか分かりませんが、来年も映画『妖怪ウォッチ』が私たちに新鮮な驚きを与えてくれることを願っています!

(Edit&Text/ネジムラ89)


『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』公式サイト
(C)LEVEL-5/映画『妖怪ウォッチ』プロジェクト 2017

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