テレビ朝日ドラマプレミアム『ブラック・ジャック』(6月30日21時~)や、テレビ朝日系『南くんが恋人!?』(7月16日から放送)など、過去に実写化された漫画作品の再実写化が相次いで発表されています。
再実写化された作品は男女逆転など、現代ならではの工夫やキャスティングがなされています。
◆高橋一生さんの『ブラック・ジャック』は刈上げ
既に発表されている場面写真でも雰囲気たっぷりの高橋一生さん演じるブラック・ジャックですが、原作でもお馴染みの左右非対称の髪型を、左側面を刈り上げることで表現しています。
これはブラック・ジャックの顔にある爆弾事故の手術跡を強調する意図があるとも考えられ、衣装だけでなく世界観が作りこまれていることが分かります。
ビジュアルコンセプト/人物デザイン監修/衣裳デザインは、主演の高橋一生さんの結婚報道でも馴れ初めとして話題になった『岸辺露伴は動かない』でも人物デザイン監修/衣裳デザインを行っていた柘植伊佐夫さんなので、漫画の雰囲気を実写にすくいとってくれるでしょう。
『ブラック・ジャック』は今まで単発でのドラマ化が多いですが、1981年には加山雄三さん主演で連続ドラマも作られています。今回の高橋一生さん版も評判によっては連続ドラマ化するかもしれません。
◆男女逆転!5度目のドラマ化──『南くんが恋人!?』
これまで4回実写ドラマ化している『南くんの恋人』ですが、今度は男女逆転版の『南くんが恋人!?』として放送されます。
実は2013年に『南くんは恋人』として男女逆転した続編漫画も制作されており、今回のドラマの原案にも『南くんは恋人』のタイトルが並んでいます。
今までに『南くんの恋人』で主人公カップルを演じた俳優は、石田ひかりさんや深田恭子さん、二宮和也さんなど、時代を代表する人ばかりなので、今回ちよみを演じる飯沼愛さんと、南くんを演じる八木勇征さんの活躍にも期待が高まります。
1994年版のドラマで脚本を務めた岡田惠和さんの登板と、南くん役を演じた武田真治さんもちよみの父親役で出演するとあって、男女逆転版として5度目のドラマを令和に制作する意気込みが伝わってきます。
1994年版ではちよみ役の高橋由美子さんが歌った主題歌「友達でいいから」が大ヒットしたので、今回の男女逆転版の主題歌にも注目です。
◆ビデオガールの陽の面と陰の面『電影少女』
2018年と2019年にテレビ東京系列の「土曜ドラマ24」枠で放送されていた『電影少女』は、それぞれビデオガールの陽の面と陰の面を描き、1991年に制作された実写映画版より原作のより深いところまで描いていました。
中でも第2シリーズの『電影少女 -VIDEO GIRL MAI 2019-』では自身に依存させる悪女として振る舞うビデオガール、神尾マイを通して、マイなしでは生きられなくなってしまう危うい人々の存在を描いていました。
単なるボーイミーツガール物にとどまらない作り方ができたのは、近い時期に複数回実写化ができたからこそではないでしょうか。
ビデオガールの天野アイと神尾マイを演じたのは当時乃木坂46のメンバーだった西野七瀬さんと山下美月さん。中でも西野七瀬さんが天野アイとして歌った第7話から第10話の主題歌「ふめつのこころ 天野アイ ver.」は中毒性が高く人気があります。
◆ジャッキー・チェンが主演の実写があった──『シティーハンター』
Netflixでの実写映画化によって、『シティーハンター』の冴羽獠を初めて実写で見た人も多いでしょう。
今まで実写版の冴羽獠は、ジャッキー・チェン主演の銃を使わずにカンフーで戦うものか、『シティーハンター』ではなく『エンジェルハート』のドラマ化によるものでした。
しかし冴羽獠と言えばキメるときはもちろんキメるが、普段はスケベでおちゃらけているあのイメージです。「不適切にもほどがある!」と言われない範囲で、80年代の熱狂したナイスガイでなければなりません。
そういう意味でNetflixでの鈴木亮平さん主演による『シティーハンター』は、テレビ放送より視聴者層のゾーニングがしやすく、また実在の新宿の街で撮影した映像を使うことで古臭さを感じさせない、バランスの良い制作が叶ったのでしょう。
また冴羽獠役の鈴木亮平さんは役に応じて体形を大幅に変えるカメレオン俳優として有名ですが、元々冴羽獠を演じることにあこがれがあったことから、今回も体形やフェイスラインを再現するべく絞っています。
──実写化は原作のファンの思い入れの強さもあり、思っていたのと違ったものになることもあるジャンルです。再実写化は時代を越えて新たなファンと作品が出会う貴重な機会でもあり、その時代ごとの装いに合わせることで、作品の持っていた隠れた魅力と新鮮に出会えるかもしれません。
〈文/雨琴〉
※サムネイル画像:Amazonより