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※この記事にはTVアニメ・原作漫画『ドラゴンボール』のネタバレが含まれます。ご注意ください。

※本記事はTVアニメ・原作漫画『ドラゴンボール』に関するライター個人の考察・見解に基づくものであり、公式の設定や見解とは異なる場合があります。

 格上の相手に勝てないと分かっていても、負け方を選ぶことはできます。サイヤ人襲来時のクリリンは、ナッパやベジータとの戦いで、力任せではない“生き残るための戦術”を見せていました。新技を用意し、距離を取り、わずかな勝機に賭ける姿からは、Z戦士の中でもかなり冷静な判断力がうかがえます。

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◆サイバイマン戦で見せた“まとめて倒す”発想

 サイヤ人編のクリリンを振り返るうえで、まず外せないのが拡散エネルギー波です。大きな気を一度上空へ放ち、相手の意識をそちらへ向けたうえで、複数の光弾に分けて一気に降り注がせる技でした。

 単純な正面突破ではなく、相手の視線と反応をずらしてから本命の攻撃を当てにいく構成です。サイバイマンを相手にした場面では、1体を除いて一掃する結果につながり、クリリンがただ勢いで技を撃っていたわけではないことが分かります。

 ベジータやナッパには通じなかったとはいえ、あの場面で重要だったのは、格上のサイヤ人が控える中で、余計な消耗を避けながら敵の戦力を削ることでした。クリリンは、敵の数を減らすために範囲攻撃を選び、しかも相手を油断させるような軌道で技を組み立てています。

 この時点で、クリリンは自分の戦闘力だけで真正面から勝つことにこだわっていません。どうすれば限られた力で最大の効果を出せるのか。その発想が、すでに戦い方へ表れていたといえるでしょう。

◆ナッパ相手に打ち合わない判断が正しかった理由

 ナッパとの戦いでは、クリリンの慎重さがさらに際立ちます。天津飯が一撃で腕を失うほどのダメージを受けたことで、まともに受ければ自分たちもただでは済まないことは明らかでした。そこでクリリンは、正面から殴り合うよりも、距離を取りながら生存を優先する動きを見せます。

 この戦いにおける目的は、必ずしもその場でナッパを倒すことだけではありません。悟空が到着するまで少しでも時間を稼ぎ、戦えるメンバーを残すことも大きな意味を持っていました。クリリンはその状況を理解し、無理に前へ出すぎない選択をしていたように見えます。

 実際、ベジータはクリリンの動きを見て「動きだけはなかなかのものだ」と評価しています。圧倒的な差がある相手に対し、相手の攻撃をまともに受けないことを優先するのは、弱気ではなく現実的な判断です。

 クリリンは一度ドラゴンボールで生き返っているため、もう一度命を落とせば復活できないという事情も抱えていました。ただ、それはクリリン個人だけの問題ではありません。ピッコロが倒れればドラゴンボールも失われ、全員の希望が消える状況でした。だからこそ、誰かが冷静に生き残る戦いを選ぶ必要があったのです。

 怒ったナッパのエネルギー波によって大きなダメージを受けたものの、クリリンは直撃を避け、悟空が来るまで戦場に残りました。この粘りは、たんなる根性ではなく、状況判断と回避を重視した戦術の成果だったと見てもよいでしょう。

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◆気円斬は“格上を倒すため”に用意された切り札

 クリリンの戦術性をもっとも強く示しているのが、気円斬です。自分よりはるかに強い敵を相手にするなら、普通の気功波で押し切るのは難しい。そこでクリリンは、威力で押すのではなく、切断力で突破する技を用意していました。

 ナッパは、クリリンたちの攻撃では大きな傷を負わないと判断していたため、気円斬も甘く見ていました。ところが、ベジータがあわてて回避を促したことからも、この技が本当に危険だったことが分かります。もしナッパがそのまま受けていれば、戦局は大きく変わっていた可能性があります。

 のちにナメック星で、クリリンの気円斬はフリーザの尻尾を切断しました。相手が自分より格上であっても、当たりさえすれば通用する。そこに気円斬の怖さがあります。

 さらに考えると、クリリンはその後、複数の気円斬を同時に放つ使い方も見せています。もしサイヤ人襲来時点でその応用が完成していれば、ナッパがかわし切れなかった可能性もあります。ヤムチャの繰気弾のように軌道を操る発想まで組み合わせられれば、一度避けた相手を追い込む技にもなり得たでしょう。

 もちろん、当時のクリリンにそこまでの完成度を求めるのは酷かもしれません。それでも、強敵を倒すために一撃必殺の選択肢を準備していた時点で、彼がかなり計算して戦っていたことは確かです。

 

 ──クリリンは、サイヤ人編で新技を2つも携えて戦場に立ちました。拡散エネルギー波は複数の敵をまとめて倒すための技であり、気円斬は格上に届く可能性を持った切り札です。どちらも、力の差をそのまま受け入れるのではなく、工夫で埋めようとした結果といえます。

 ピッコロのような圧倒的な存在感や、悟空のような伸びしろに目を奪われがちですが、クリリンは常に自分の立ち位置を理解していました。だからこそ、無理に正面からぶつからず、相手の隙や油断を突く戦い方を選んだのでしょう。

 サイヤ人編のクリリンは、ただ生き残っただけのキャラクターではありません。勝てない相手にどう食らいつくかを考え抜き、仲間がつなぐ時間を少しでも延ばそうとした戦士でした。ナッパを倒せなかったとしても、その戦いぶりには、Z戦士の中でも指折りの“策士”としての一面がはっきり残っています。

〈文/最上明夫〉

 

※サムネイル画像:魂ウェブ商店公式Webサイトより 『「S.H.Figuarts クリリン-地球人最強の男-」(C)バード・スタジオ/集英社・東映アニメーション

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