アムロとシャアの最後の対決を描いた映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(以下、『逆襲のシャア』)。『機動戦士Ζガンダム』(以下、『Ζガンダム』)と『機動戦士ガンダムZZ』から地続きになっている作品ですが、実は『Zガンダム』を無視して制作されたといいます。
◆シャアとの共闘はなかったことに? 富野監督が『Ζガンダム』を拒んだ理由
『逆襲のシャア』は『機動戦士ガンダム』から続く、ジオンを中心としたサーガに区切りをつける作品となります。そんな『逆襲のシャア』ですが、実は『Zガンダム』を無視して制作されたと語られています。
2024年3月16日に行われた『新潟国際アニメーション映画祭』における、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』上映記念の富野由悠季監督と出渕裕氏による対談で、出渕氏は『Zガンダム』のときのクワトロ大尉は、主人公を導くような役割で作ったものの、富野監督は『逆襲のシャア』でそれに触れたくないと考えていたと推察しています。
そのため、『逆襲のシャア』では『Zガンダム』での設定をないことにして、『機動戦士ガンダム』から直結させているような部分があるようです。ただ、『Zガンダム』も歴史上にはあるため、シャアがかつて共に戦ったことや、ハマーンについて、少しだけ触れるに留まっています。
この出渕氏の推察を、富野監督は「それはあった」と肯定していました。実際、富野監督は『Zガンダム』について良い印象を持っていません。『産経新聞』が2024年2月3日に公開した「アニメーション作家・富野由悠季さん(1) Zガンダムは「失敗作です」」という記事でも、『Ζガンダム』に対するネガティブ感情を語っています。
そのため、富野監督は『逆襲のシャア』は、『Zガンダム』を持ち込まず作りたかったのでしょう。しかし、作中冒頭でΖガンダムの量産機である、リ・ガズィが登場していることからも、『Zガンダム』からは逃げられなかったという印象を受けます。
──富野監督はそのこだわりから、『Ζガンダム』を切り離して『逆襲のシャア』を描かこうとしました。しかし、過去作を否定しつつも、結局その歴史から逃れられないという無情さも、『逆襲のシャア』の深みを生む要因になったといえます。
〈文/北野ダイキ〉
※サムネイル画像:Amazonより 『「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア―ベルトーチカ・チルドレン」(出版社:KADOKAWA)』

