漫画やアニメに登場するキャラクターたちには、多くの場合ですぐに彼らを連想できる独特な口癖があります。ナルトもまた然り……。岸本斉史先生も、ナルトのイメージづけのために事前に口癖を決めていたそうです。
◆ナルトの口癖に秘められていたのは「子供らしさ」
ナルトの口癖といえば、やはり「〜だってばよ!」が最初に思い浮かぶのではないでしょうか? 実はこのセリフ回しの原点は、誰もが幼いころに言ったことがあるかもしれません。
『NARUTO-ナルト-名言集 絆-KIZUNA- 天ノ巻』(出版社:集英社 2013年3月出版)に掲載された岸本先生のインタビューによると、「クソガキが駄々をこねる時にいうようなセリフを考えていて、たどり着いた(原文ママ)」と語っています。いわゆる「~だってば!」と子供が駄々をこねるときによくいう言い回しが原点となっているのです。
実は、ナルトには子供っぽい口癖がもう一つあります。それが、イルカ先生やサスケ、サクラに話しかけるときによく見られた「あのさ、あのさ」や「じゃあさ、じゃあさ」といった2回繰り返すセリフです。
この口癖について、TVアニメでナルトの声を担当した声優・竹内順子さんが、「人の注目を浴びようとするため、周りに構って欲しいから自然と出た口グセだった」と分析しています。
確かに、当初ナルトは里の仲間からのけ者にされていました。しかし、大人となり周囲に認められ、心身ともに成長した中盤以降では、ナルトはこの繰り返しのセリフをほとんど言わなくなっているのです。
そんな成長したナルトが、第497話で母・クシナと再会します。その際、クシナに話しかけるナルトは「あのさあのさ」と幼少期のころの口癖で話しかけていました。
まさに、子供が母に構ってほしいと思わせる場面であえて使っているのです。果たして、この口癖は岸本先生がねらった設定だったのかは知る由もありませんが、こうした「子供っぽさ」をキャラ作りに反映させたナルトならば、竹内さんの考察は的を射ていると考えられるでしょう。
そう考えて読み返すと、改めてナルトというキャラクターの奥深さを再確認できるのかもしれません。
──キャラクターたちの独特な口癖は、最初は違和感があります。しかし、物語が進むにつれて慣れていき、その違和感はいつしかキャラクターの個性に変わるのです。ただし、そのためには、ナルトのように心から言っていると読者に思わせる口癖でないと説得力が出ないのかもしれません。
〈文/fuku_yoshi〉
《fuku_yoshi》
出版社2社で10年勤め上げた元編集者。男性向けライフスタイル誌やムックを中心に、漫画編集者としても経験を積む。その後独立しフリーライターに。現在は、映画やアニメといったサブカルチャーを中心に記事を執筆する。YouTubeなどの動画投稿サイトで漫画やアニメを扱うチャンネルのシナリオ作成にも協力し、20本以上の再生回数100万回超えの動画作りに貢献。漫画考察の記事では、元編集者の視点を交えながら論理的な繋がりで考察するのが強み。最近では、趣味で小説にも挑戦中。X(旧Twitter)⇒@fukuyoshi5
※サムネイル画像:Amazonより 『「NARUTO -ナルト-」第1巻(出版社:集英社)』



