『幽☆遊☆白書』の魔界編において、圧倒的な実力と内に秘めた狂気で読者を魅了したキャラクター、軀。そのデザインには、実はスタジオジブリ作品の「あのキャラクター」がモデルとして投影されていました。
また、主要キャラクターの一人である飛影についても、意外すぎるアニメキャラがモデルであったという事実や、名前の由来にまつわる「思いつき」のエピソードなど、ファンならずとも興味深い裏設定が数多く存在します。
◆軀はあのジブリキャラ、飛影は意外なキャラがモデル
内に秘めた狂気と、グロと美が共存する容姿を持ち、魔界最強といわれる実力者・軀。魔界編に登場したキャラクターの中でも高い人気を誇る妖怪ですが、実は「ジブリのあのキャラ」がモデルだったことが判明しています。
1994年に発売された同人誌、『幽遊終了記念 ヨシりんでポン!』で、そのモデルは宮崎駿監督の作品『風の谷のナウシカ』に登場するキャラクター「クシャナ」だと明かされました。
三つ巴状態となった魔界において、一つの国を統治していた軀と、トルメキア王国の第4皇女で、トルメキア第3軍最高指揮官として軍を率いていたクシャナ。境遇だけでなく、強い女性でありながらどこか寂しそうな影を感じるところなど、さまざまな共通点があります。
『幽☆遊☆白書』のアニメ放送で軀を演じた高山みなみさんが、ジブリの映画作品『魔女の宅急便』で、主人公・キキとウルスラの2役を務めたのも何かの縁でしょうか。
原作者の冨樫義博先生は『幽☆遊☆白書』に登場する数々のキャラクターの中でも、軀がお気に入りのキャラクターだったそうで、「もっと詳しく描きたかった」と語っています。
コミックスにして、わずか2巻ほどしか描かれなかった魔界編において、軀が強い存在感と高い人気を博したのは、作者のキャラクターへの愛情の表れかもしれません。
また、飛影ですが、実は意外なアニメのキャラクターがモデルだといいます。
『幽遊終了記念 ヨシりんでポン!』によると、1982年から1983年にかけてフジテレビ系列にて放送された『パタリロ!』(ぼくパタリロ!)に登場するキャラクター「スカンキー」がモデルだったと明かされています。
スカンキーは、主人公・パタリロを打倒し、世界一のロボット工学者になることを目論む悪役ですが、意図せずパタリロの作ったロボットを幸福にしてしまうなど「憎めない悪役」です。キャラクター像も飛影と通ずるものがあります。
また、「飛影」という名前は、「比叡山」という山の名前が由来という説がささやかれていました。比叡山といえば、天台宗の総本山・延暦寺があることでも有名で、蔵馬の名前の由来とウワサされた「鞍馬山」と場所も近いことから、有力な説とされていました。
ところが、コミックス7巻カバーの折り返し部分の作者コメント「制作白書シリーズその②~名前編~」にて、原作者の冨樫義博先生の「思いつき」だったことが明らかになっています。
──ジブリキャラクターを彷彿とさせる軀のデザインや、意外な悪役をモデルに持つ飛影のルーツなど、そこには冨樫先生の深いこだわりと遊び心が凝縮されています。特に飛影の名前の由来が「比叡山」という説を覆す純粋な「思いつき」であったという事実は、型にはまらない制作秘話として非常に興味深いものといえます。
〈文/相模玲司〉
《相模玲司》
大学卒業後、編集プロダクションに入社。メンズファッショ誌の編集に従事したのち、フリーランスの編集・ライターとして独立。アニメ・漫画関連のムック本の制作や、週刊誌のWeb版でアイドルの取材記事やサブカルチャー記事の作成に携わる。
※サムネイル画像:Amazonより 『「幽☆遊☆白書」第19巻(出版社:集英社)』



