◆なんで「O」なのか?盛りだくさんの仕掛けたち

 オープニング映像は中心の「O」の文字で統一された映像が立て続けに登場するわけですが、なぜ「O」なのかという点も気になるところです。もちろん前述の通り『ワンピース』のタイトルにあやかっているわけですが、「O」の理由はおそらくそれだけではないでしょう。

 いまワノ国編が大詰めを迎えているということで、映像も輪(わ)で統一したという仕掛けではないでしょうか。しかも映像は激しい戦いの様子ではなく、平和的な映像が多め。輪でもあり、和(わ)でもある。そんなワノ国の終幕を飾る映像となっているのでしょう。

 また、映像の中には原作を読んでいる人には「あっ、あのシーンだ」と思わせるような今後の展開を踏まえた映像もいくつか差し込まれています。謎のシルエットが一瞬登場していたり、シャンクスやベックマンの姿とその上空を何かが飛んでいる映像など、流れる時間は僅かながらも気になるカットが多いです。

 そんなカットの中で注目はわずかに映る「真上から見たお椀の中に料理が映っている」シーン。一瞬なので確認しにくいですが、この場面では実はお椀の中にがんもどきと巾着餅が映っています。なんでこの二種類なのか? と疑問に思うかもしれませんが、ここにもしっかり意味が乗っていそうです。

 光月おでんに仕える赤鞘九人男はそれぞれ好物におでんの具材が設定されています。その中でがんもどきが好きなのがイゾウ、巾着餅が好きなのがアシュラ童子です。

 この二人といえば、ワノ国編で戦いの中ですでに壮絶な展開を迎えた二人です。イゾウはCP0と戦って倒れ、アシュラ童子はカン十郎の作った偽おでんと共に自爆しています。現状、アニメでは二人のその後について言及されていないわけですが、わざわざこの二人の好物が映っている真意が気になるところです。

◆オープニング映像でも自由すぎるギア5ルフィ!

 そして今回のオープニング映像で一番の活躍をしているのがギア5ルフィです。なんといっても「最高到達点」の歌詞自体が、ギア5のルフィのことも暗示する内容となっています。

 「麻痺して笑ってるんだろう あの日々の痛みも過去だから 多分」「あと少しだけ動いてくれ さぁ、復活だ 目醒めの時が来た」といったフレーズはそのまま、カイドウとの戦いでギア5に目覚めたルフィの様子にそのまま重なります。

 またサビに差し掛かるところで登場する「夜明け」というフレーズは、第1074話の作中にもそのまま登場。かなり作品を意識して作詞してくれていることが分かります。

 それにシンクロするように、映像でもギア5のルフィが大活躍。後半への転換の役割を担うだけでなく、最後にワンピースのおなじみのロゴが出た後にも、ルフィ型のシルエットの「I」の文字の中にギア5のルフィが登場しています。こちらを覗いた後に走り去っていく、コミカルな演出が組み込まれています。

 ワノ国編の激闘がそろそろ終わりそう、という難しいタイミングでの新たなオープニング映像だと思うのですが、視聴者がこれまでのワノ国編を振り返ったり、ギア5の登場を存分に楽しむ映像に仕上げ見事な演出が詰まった内容となっていました。

 長きに渡ったワノ国編の最後を飾る名曲と映像として、今後もこの曲を聞く度にワノ国編の名シーンが頭の中でよみがえってきそうです。

 今年のはじめの時点では、楽曲のリリース日などはまだ発表されていませんが、すでにYouTubeでは主題歌映像がフルで配信済みです。YouTubeなら再生速度を変えて再生もできるので、後半のスピーディーなカットもひとコマひとコマ見直してみてはいかがでしょうか。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレターを配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi

※サムネイル画像:YouTubeチャンネル 『ONE PIECE公式YouTubeチャンネル』より

ONE PIECE.com(ワンピース ドットコム)
(C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション

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