◆原作の“その後”が書かれるアニメならではのアレンジも?
さらにびっくりしたことに、実は今回の『5億年ボタン〜菅原そうたのショートショート〜』は、話の大筋こそ原作通りだったのですが、回を追っていくごとに徐々にストーリーにアレンジが加わっていきます。
アレンジの例として、何もない空間で暇を潰すトニオ(原作ではスネ郎)が、ボイスパーカッションを洗練させていく展開が加わっており、そこから発展させて作中でミュージックビデオのパートが追加されています。この試みは映像作品ならではのもの。思わず感心してしまう追加要素でした。
本日24:30~⚡生放送中の運コメに
菅原そうた監督が参加いたします💡#アニメ5億年ボタン #3『大統一場理論』
\是非✨ご一緒にお楽しみください✨/
【地上波同時】「5億年ボタン【公式】~菅原そうたのショートショート~」3話上映会 / ニコ生番組(2022/7/29 0:30開始) https://t.co/XMc30oJvNU pic.twitter.com/HWIkCz11Av
— TVアニメ「5億年ボタン【公式】~菅原そうたのショートショート~」 (@500000000button) July 28, 2022
第3話にあたる「大統一場理論」では、有り余る時間の末に人類の英知を超えるというわずか数コマの中身を丸々具体的に描くという独自のエピソードを追加。超紐理論など、あまりに高尚すぎて一周まわってギャグになっているというこれまた変則的な展開を見せてくれます。
そしてさらには、第5話でついに原作のオチにあたる展開まで到達。そこで終わるのかと思いきや、今回はさらにその後のエピソードを描いていくことが明らかになり、原作を知っている人こそ必見の展開へと突入しています。
『5億年ボタン〜菅原そうたのショートショート〜』は、実は原作を読んだことがあり、展開を知っている人こそ注目してほしいアニメーションシリーズだったのです。
◆キャスト陣のアドリブが見れる!菅原そうた作品を踏襲したミニコーナー
菅原そうたさんといえば、トニオちゃんの漫画よりも、キャスト陣のアドリブを取り入れた『gdgd妖精s』などを代表するアニメーションシリーズの印象が強い人も多いと思います。本作でもそれは健在。後編のミニコーナーでもその試みを導入しています。
ジャイ美役の三森すずこさん、スネ子役の大空直美さん、井上博士役の高野麻里佳さんが、オリジナルの5億年ボタンを考案したり、珍妙な映像にアドリブでアフレコをしていくといった『gdgd妖精s』のコーナーを丸々採用。
かと思えば、2008年に放送された、こちらも菅原そうたさんが制作した『ネットミラクルショッピング』を模したコーナーも登場。“〜菅原そうたのショートショート〜”の副題通り、菅原そうた作品全部詰めのような状態にもなっており、今後の放送でもその他の菅原そうた作品を踏襲したコーナーの登場が期待できます。
──『5億年ボタン〜菅原そうたのショートショート〜』も原作では描かれなかった展開に突入し、ある意味、佳境に入ったと言えます。同期のTVアニメとは明らかに見た目もテンションも違いますが、こちらもある意味熱い展開を迎えているわけです。
「どうせ5億年ボタンは読んだことあるしなぁ」という人ほど、ぜひ今からでも最新話まで追いかけ、改めて自身が5億年ボタンを押す派か押さない派かを考えてみてはどうでしょうか。あまりにもどうかしているシュールな内容によって、最終的にはそんなことどうだってよくなってしまうかもしれませんよ。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi
©STUDIO SOTA.