ウサギ映画の中には、ちっとも教育的アニメではないという忠告や、流血シーンが盛り込まれたハードな作品も──!?
ウサギが主役だったり、物語のキーパーソンだったりするアニメ映画は意外と多く『ドラえもん』映画などでも、ウサギが物語の重要なキャラとして登場しています。
2023年は卯年ということで、SNSのタイムラインに流れてくるバニーのコスプレをした女の子に見とれるだけでなく、ウサギが登場するアニメ映画にも注目してみてはいかがでしょうか。
◆人種や民族問題にもつながる作品──『ズートピア』(2016)
ウォルト・ディズニー・アニメーションスタジオの『ズートピア』。
動物たちが暮らす町“ズートピア”を舞台に、ウサギの新米警官であるジュディが、キツネの詐欺師であるニックの手を借りて、ともに行方不明の住人を探していくという物語です。
大小や特徴がさまざまな動物たちが一緒に暮らしているため、小さい動物用のドアが設けられているといった特殊な構造となっているズートピアの街々を眺めているだけでも楽しい一本です。
一方で、別の種類の動物たちが“一緒に暮らす”というのはやはり難しいようで、動物ごとの偏見が動物間の中であったり、肉食動物と草食動物でどことなく距離感が生まれているといった設定は、実際の人間界の人種や民族問題にも重なり、ただ楽しいだけでは終わらない深みがあります。
子供から大人までしっかり楽しませてくれる、さすがの世界のディズニークオリティが楽しめる傑作です。
◆ネコでもタヌキでもない物語のメインはウサギ!?──『映画ドラえもん のび太の月面探査記』(2019)
ネコでもタヌキでもなくうさぎが活躍する『ドラえもん』映画!? と驚く人もいるかもしれませんが、2019年に公開された映画シリーズ第39段『映画ドラえもん のび太の月面探査記』はしっかりうさぎ映画!
月にうさぎがいると信じていたことを馬鹿にされたのび太は、ドラえもんの道具“異説クラブメンバーズバッジ”で、月の裏に空気があり、本当にうさぎが住んでいる世界を作ろうとする物語です。
少しずつ月のうさぎの国を作っていく様子が面白い一方で、中盤からは意外な方向へと物語が進んでいき、クライマックスは想像を超えたスケールでの戦いへと進んでいく、長編ドラえもんらしいSFファンタジー作品となっています。
本作の脚本を『ツナグ』や『かがみの孤城』の辻村深月さんが担当していることでも、公開当時は話題になりました。
◆ウサギでありながら「動物園へ行く」という物語──『劇場版ミッフィーどうぶつえんで宝さがし』(2013)
『劇場版ミッフィー どうぶつえんで宝さがし』は、ミッフィーが友達のメラニーとグランティと一緒に、動物園へやってきて、そこでお父さんとお母さんが用意してくれた“宝さがし”に挑戦するという物語です。
小さな子どもも楽しめる明快な物語となっているので、お子さんと一緒に楽しめる作品を探している人にはぜひこの作品を観てみるといいでしょう。
一見3DCGアニメーションにも見えるルックですが、実は本作はストップモーションアニメーションであり、人形を少しずつ動かしながら撮影した作品です。
その柔かくて優しい質感にも注目してほしいですし、うさぎでありながら“動物園へ行く”という冷静に考えると「あれ?」と思える獣人と動物が共存しているという設定もじわじわくる、子ども向けのタイトルといっても侮れない作品となっています。