大好きなアイドルやアニメキャラクターなどを、さまざまな形で応援する「推し活」について調査を行ったところ、「他人に推しの話をすることに抵抗がある」と答えた人が全体の44.6%いて、年齢別に見てみると「抵抗がない」と答えた20代が64.5%いたのに対し、30代では46.5%という結果となり、18ポイントの差が出ていた。30代にとってアイドルやアニメキャラクターを応援するのは、恥ずかしいことなのかもしれない。
◆30代にとって「オタク」はまだキモい存在?
調査は「推し活」について、全国の20歳以上79歳以下の男女1104人(男性572人、女性532人)を対象に、生活者起点のリサーチとマーケティング支援を行なうネオマーケティングが1月に行った。
この調査で「他人に推し活の話をすることに抵抗があるか」たずねたところ、「抵抗がある」と答えた人が44.6%(「抵抗がある」13.4%、「やや抵抗がある」31.6%の合計)、「抵抗がない」と回答した人が55.3%(「あまり抵抗はない」37.1%、「抵抗はない」18.2%の合計)といったように、やや「抵抗がない」と話した人のほうが多かった。
しかしながら年代別にこの質問を見てみると、「抵抗がない」と答えた20代が64.5%いたのに対し、30代では46.5%という結果となり、18ポイントの差が出ていた。
20代の多くは、TwitterやInstagramなどのSNSで自分の趣味を共有できる環境が学生時代には既にあり、個人の趣味趣向に寛容的だということがこの調査結果からは推測できる。
対して30代は学生のとき“アキバ系”といった言葉が流行ったように「オタクはキモい」「汚い」というレッテルを貼られた時代を過ごしてきた。そのことから、「●●オタク」といった言葉にネガティブなイメージを持っているのかもしれない。
この記事を執筆する30代前半の記者も、中学・高校時代は美少女アニメオタクであることを周囲に隠していた。無論、キモいと思われたくなかったからだ。当時は伊東美咲さんと伊藤淳史さん主演のドラマ『電車男』(2005年、フジテレビ系列)が流行っていたこともあり、オタクはかなり差別的な目で見られていた。記者はただでさえ変わった性格をしていたため、クラスでキモいと思われたくないと必至にオタクであることを隠していた過去は今でも鮮明に覚えている。
◆「“お金の無駄”だから推し活やめなよ」と周りから否定される人が多い?
「推しの話をすることに抵抗がある」と答えた人493人にその理由を聞いてみたところ、「相手が興味を持ってなさそうだから」が51.3%と半数を超え、「推しを馬鹿にされるかもしれないから」と、相手の共感を得られないことに恐怖する割合も26.4%と決して少なくなかった。
また、推し活について周りに話したところ、「やめたほうがいいと言われた」「お金の無駄と言われた」と話す人もいた。
彼らに「推し活を否定されたあとにどのような行動を取ったか」たずねたところ、全体の27.4%が「推し活に使う金額を減らした」と答え、「推し活をやめた」と回答した人も12.6%となり、推し活を否定された人の多くが活動の金銭的な部分を指摘されているようだ。
そこで気になるのが、推し活に励む人たちが推しのために使う金額だろう。毎月平均どれくらいのお金を推しのために使うか聞いてみたところ、全体の74.5%が、毎月平均1万円未満使っていることが判明。この金額は特別高くもないし、むしろ安いといえよう。この中にはもしかしたら、推し活に使う金額について周りの人に指摘されたため、予算を減らした人もいるかもしれない。
続いて、1万円以上〜3万円未満と答えた人は14.4%、次いで3万円以上〜5万円未満と答えた人が6.5%いることも分かった。さらに少数だが、5万円〜10万円未満と答えた人が2.6%いて、10万円以上使っていると答えた人も2.0%いることが判明した。
推し活に使える金額は、それぞれの収入や生活環境によって変わってくることは言わずもがなだが、1万円未満が一番多いことから、ディープに推しに入れ込んでいる人は意外と少ないのかもしれない。しかしながら、推し活にもっとお金を使いたいけれど、収入が低く生活がいっぱいいっぱいという人もいるだろう。それでも、推しを応援したいという気持は頭ごなしに自分の価値観を押し付け否定していいものなのだろうか?