「ニンテンドー3DS」のサービス終了で、3D文化の消滅にまた一歩近づいた──。

 ニンテンドー3DSが、ついにソフトのダウンロードやゲーム内アイテムの購入といったサービスを3月28日終了、現行のゲーム機としての役割をNintendo Switchへと譲る形となりました。Switchは後継機ということもあり、据え置き機も兼ねていたり、画面自体も大きかったりと高い性能を持っていますが、そんな中でニンテンドー3DSが持っていた3D立体視の機能は引き継がれませんでした。

 ニンテンドー3DSが終了を迎えるいま改めて思うのは「3D映像の浸透を担うべきだったのはニンテンドー3DSだったのではないか」ということ。実はSwitchの台頭の裏では、かつて盛り上がった3D文化が失われつつあります。

◆3D機能を時代とともに手放したニンテンドー3DS

 ニンテンドー3DSは、当初目玉の機能として搭載した3D立体視機能をうまく活かしきれませんでした。

 2009年に公開が始まった映画『アバター』のヒットなどによって、日本では2010年に3Dテレビが発売されるなど3Dに注目が集まります。そんな時代の真っ最中、2011年2月に任天堂から発売されたのがニンテンドー3DSでした。

 しかしこの3D立体視の機能は時代とともに重視されなくなっていきます。2016年には立体視の機能が削除されたニンテンドー2DSが発売されたり、後期に発売されたタイトルでは立体視機能が対応していないソフトが発売されるなど、3D機能に対するアプローチがどんどん減っていきます。

 その流れと並行して話題になった3Dブームも2012〜2013年をピークに落ち着いていきます。かつては映画館で盛んだった3D上映も大幅に少なくなります。2013年以降は次々と家電メーカーが3Dテレビの生産から撤退。2017年にはついに全社販売終了という節目を迎え、3Dメディアは敗北を迎えました。

 実はこの3Dブームの終焉により、いまでは3D機能を備えたソフトを観られなくなる時代に突入しています。

 3Dブームが起こったときには3D立体視対応の映画のソフトも多数リリースされました。これらを観るには3Dテレビが必要なのですが、肝心の3Dテレビの新規生産がないため、万が一所有した3Dテレビが壊れてしまった場合は修理をしたり、中古のテレビを購入するなど限られた対策しか残されていない状況にあります。

 3Dテレビの生産終了が2017年なのでまだ解決策は残っていますが、今後も年を経るごとにさらに対応は困難になっていきます。ただでさえ当時高かった3D映像を楽しむというハードルが、いまではさらに一段と高いものとなってしまいました

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