『機動戦士ガンダム』で語られた一年戦争は、開戦当初からジオン公国の負けが確定していたといってもいいかもしれません。
最初はモビルスーツによって戦況を有利に進めていたジオン軍でしたが、次第に連邦軍に押され始めます。ジオン公国が敗れた理由とはいったいなんだったのでしょうか?
※TVアニメ『機動戦士ガンダム』と『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』ではストーリー・設定が変わっている部分もあるため、TVアニメ『機動戦士ガンダム』の内容にもとづいています。
◆ジオン軍最大の失敗? ミノフスキー博士の亡命で技術が流出
一年戦争の勝敗は、戦いが始まる7年前にミノフスキー博士がジオンから亡命したときに決まっていたのかもしれません。
ジオンでモビルスーツの開発技術顧問をしていたミノフスキー博士は、宇宙世紀0072年に連邦へ亡命します。これによってジオンが独占していた技術が連邦に渡って、その後の「V作戦」につながりました。
ミノフスキー博士は完成したモビルスーツを見て、「とんでもないものを作ってしまった」と後悔したといいます。
当初は、モビルスーツの投入で戦況を有利に進めていたジオン軍でしたが、ミノフスキー博士たちの技術開発力で連邦に圧倒的な差をつけられていきます。
優れた人材の流出は組織にとって大ダメージであり、振り返ればこの老博士がいなくなったときからジオンの敗北は始まっていたと言えるかもしれません。
◆ビーム兵器に実弾で挑む! ガンダムの登場でザクやグフが一気に時代遅れに
シャアに「連邦のモビルスーツは化け物か」と言わしめたガンダム最大の武器はビーム兵器でした。これに対してジオン軍のモビルスーツの装備は、実弾兵器や熱を利用したヒートホークなどで、ザクやグフがもはや時代遅れといえるものとなります。
これまでビーム兵器と言えば戦艦が備えているものでした。それをモビルスーツが使えるようになったことは、一年戦争の勝敗を大きく左右したといえるでしょう。
もちろん、ジオン軍もビーム兵器をモビルスーツに搭載しようとしました。しかし、エネルギーキャップの開発や冷却装置の小型化につまずきます。
そのため、ジオン軍は海水で冷やす方法をとって、水陸両用モビルスーツのズゴッグやゾックにメガ粒子砲(ビーム兵器)を付けます。
しかし、投入できる戦場が限られたため、戦況を有利に持っていくほどの切り札にはなりませんでした。
のちにジオン軍はビーム兵器を実装したゲルググを実戦へと投入しましたが、パイロット不足によって学徒兵などを乗せたため、本来の性能を発揮できず、そのまま終戦を迎えています。