スタジオジブリの最新作『君たちはどう生きるか』はどう作られたのか──? その様子を収めた「プロフェッショナル 仕事の流儀『ジブリと宮崎駿の2399日』」が、12月16日にNHK総合で放送され、番組内では映画の制作中に亡くなられた高畑勲監督に対する宮崎監督の思いについても語られ、大叔父のモデルが彼であったことも明かされました。
また番組内では、宮崎監督が『新世紀エヴァンゲリオン』を言及する場面も見られました。
◆大叔父は高畑勲で青サギは鈴木プロデューサーがモデル?
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番組内では、高畑勲監督が、『君たちはどう生きるか』の「あるキャラクター」のモデルとなっていると語られました。それが主人公の真人が迷い込んだ屋敷に潜む“大叔父”です。
番組では宮崎監督が引退を撤回し、2016年7月から新作長編の企画書を書き上げるところから始まります。そこからは続々とスタッフが加わっていったり、絵コンテに四苦八苦する様子などが描かれました。
そんな中でも特に宮崎駿監督にとっての大きな事件として描かれたのが、2018年に亡くなられた高畑勲監督の不在でした。
番組中でも宮崎監督はなんども「パクさん(宮崎監督の高畑監督に対する呼称)」と言及するシーンが登場。亡くなられた直後は2ヵ月も絵コンテの制作が止まっていることが映像に収められ、その影響力の大きさが分かりました。
番組中では、なんども大叔父のことを高畑監督と重ねるように描かれており、確かに大叔父のモデルとして高畑監督の存在がエッセンスとして盛り込まれているのがよく分かる内容となっていました。
またモデルとして描かれたキャラクターは、ほかにも存在するとして、主人公と次第に仲を深めていく青サギは鈴木プロデューサーであるとも描かれます。作中の場面とリンクするように同卓に並んでいる宮崎監督と鈴木プロデューサーの様子が流れるので、同一の存在のように思えてしまう瞬間となっていました。
とはいえ『君たちはどう生きるか』には、大叔父の他にも母やヒミなど、今回のドキュメンタリーでは言及されていない重要なキャラクターが多数登場しています。高畑監督を偲ぶ思いも込められているのは事実ではあるとはいえ、それがこの映画のすべてではないだろうというのは念頭に入れておきたいところです。
番組中の大半が宮崎監督の高畑監督に対する思いや歩みを中心に編集されていたからこそ、あえて注視しておきたのはその2人のドラマとは関係ない場面ではないでしょうか。高畑監督に対する言及とは別で驚きを感じたのは、『君たちはどう生きるか』の序盤の映像の試写を観た直後の宮崎監督の反応でした。