ファンにとってはいろんな意味で驚きの『PUI PUI モルカー』のニュースが発表されました。2024年にCGアニメーションでの映画が公開されると発表があったのです。これまでもTVシリーズをまとめて劇場上映する企画は実施されてきましたが、“劇場版”としての公開は今回が初めてです。
モルカー好きには新作の登場であり、さらに映画化というのは嬉しいニュースですが、一方でCGアニメーションになってしまうのには複雑な思いを感じる人も多いでしょう。モルカーがアニメーションのスタイルを変えてしまうのはなぜなのでしょうか。
◆制作期間は膨大!ストップモーションアニメーションの難しさ
TVアニメ『PUI PUI モルカー』は当初からかなりの時間をかけて制作されたアニメーションでした。
1話2分40秒の作品が全12話。第1シーズンだけを合計しても30分ほどの内容なのですが、本作の制作には1年半もの時間が費やされたと語られています。
2021年の放送から翌2022年には早くも新シリーズ『PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL』が制作されましたが、本作は制作期間の短さから、様々な舞台を移っていた前シリーズに対し、舞台を教習所に絞るなどの工夫により短期間での制作に成功した作品です。
『PUI PUI モルカー』のような実際に制作した立体物を少しずつ動かして撮影することでパラパラ漫画の要領で動いているように見せる手法をストップモーションアニメーションというわけですが、この手法は制作に時間がかかることでも有名です。
1日をかけて数秒の撮影しかできないという話は、ストップモーションアニメーションの話題ではもはや恒例なほど。実際の撮影の手間だけでなく立体物の個数や制作スペースの確保など、効率を上げるにしても手描きアニメーションとは異なる問題がいくつもある手法です。
今回の映画化ではCGアニメーションに変わってしまうのは、そういった課題を加味した上での判断なのかもしれません。
とはいえ、ストップモーションアニメーションは撮影の負担は大きい一方で、その立体物がまるで魂を得たかのような臨場感は大きいです。羊毛フェルトという素材を採用している『PUI PUI モルカー』であるとその効果はなおさら。ふわふわとした質感が作品人気に寄与しているといえます。その効果が今回の映画で失われてしまうのは不安を感じる部分ではあります。