2019年7月から放送が始まったアニメ『ヴィンランド・サガ』は月刊アフタヌーンにて連載中の漫画を原作としています。本作はヴァイキング(海賊)がヨーロッパを中心に活躍していた11世紀初頭の史実を元にした、アクションあり、政治あり、人情ありの歴史エンタメ作品です。
2005年から漫画連載が始まった『ヴィンランド・サガ』は多くの漫画ファンから愛されています。ここからはそんな本作の持つ魅力をお伝えしたいと思います。
圧倒的なヴァイオレンス描写
11世紀初頭のヨーロッパは“暴力”が支配する弱肉強食の世界で、襲撃と略奪に明け暮れるヴァイキングはまさにそれを体現していました。
『ヴィンランド・サガ』ではそんなヴァイキングの生き様を通して、“暴力”とそれが生み出す結果を包み隠さず描いています。本作のヴァイオレンスシーンは容赦がなく非常にハードです。しかし、人を殺すという行為をごまかさないからこそ暴力が持つ本質が浮き彫りになります。
さらに本作は暴力の犠牲になる罪なき人々も丁寧に描写されています。時代考証によるリアルな日常描写を挟むことで、犠牲者たちがただのモブキャラではなく、その時代を生きる一人の人間にちゃんと見えてくるのです。そしてそんな日常を丁寧に描くことでその後に起こる惨劇がより印象付けられます。
トルフィンとアシェラッドの奇妙な関係
今回のアニメ化は2クールと発表されていますが、原作通り展開するならば、区切りのいい8巻までのエピソードになると考えられます。そうなると今回のアニメ化は主人公トルフィンとアシェラッドの関係がメインになります。
トルフィンは幼少期、ヴァイキングに父トールズを殺された復讐をするためにその張本人であるアシェラッドを首領とするヴァイキングの一味となって、彼の命を狙うことに人生を捧げます。そしてアシェラッドも親の敵として恨まれていることを知りながらもトルフィンを一味として受け入れるのです。
本来なら主人公の親の仇として悪役になるはずのアシェラッドなのですが、本作ではそうはいきません。普段は復讐に囚われたトルフィンを挑発する憎まれ役を演じるのですが、自ら手をかけたトールズに敬意を払っていたり、要所要所でトルフィンを信頼しているそぶりを見せたりと、一筋縄ではいかない複雑なキャラクターになっています。
原作ファンからの人気も高く、裏主人公とも言われているアシェラッドの動向に注目してみるのもオススメです。
原作にはないオリジナル要素
今回のアニメでは原作漫画では省略されていた、幼少期トルフィンがヴァイキングの一味になるまでの間を補完するオリジナルエピソードが追加されています。
このオリジナルエピソードが非常に丁寧で、トルフィンの心情の変化がより分かりやすくなっていて、ちゃんと原作エピソードとも違和感なくリンクしていました。
もしかするとこれから先も補完的なオリジナルが挟みこまれていくかもしれません。これは原作で大筋を知っている人でも新鮮な気持ちでアニメを楽しめる要素のひとつになるかもしれません。
何より今回のアニメ化するであろう範囲は原作ではまだ序章の部分です。そこを2クールアニメとしてどういう風にまとめるのかも注目です!
(Edit&Text/nantarakabab)
◆CHECK!!
©幸村誠・講談社/ヴィンランド・サガ製作委員会