BS日テレでは今年10月、23時以降のタイムテーブルについて開局以来の大改編を行い、アニメゾーンが誕生。現在、『ジョジョの奇妙な冒険』『新世紀エヴァンゲリオン』など、過去の人気作や新作アニメを20タイトル以上放送するなど、充実したラインナップを編成した。

 来年1月からは新作アニメ『ソマリと森の神様』『虚構推理』『ケンガンアシュラ』『はてな☆イリュージョン』number24『まるまるマヌル』BanG Dream! 3rd Season7作品が放送。また、新作の他、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』Charlotte『グリザイアの果実』『ブブキ・ブランキ』『進撃!巨人中学校』などといったアニメファンを魅了するラインナップを揃え、全25作品放送していく。

 そして、1217日、日本テレビタワーにて、20201月期の深夜アニメ枠「アニメにむちゅ~」(後1100~深200)の新番組編成発表記者会見が開催された。

 会見は、自他ともに認める“日テレNo.1のアニメ好き”伊藤遼さん(日本テレビアナウンサー)が司会を務め、1 月期にスタートする新作アニメの声優として、『ソマリと森の神様』からシズノ役の七海ひろきさん、『虚構推理』から岩永琴子役の鬼頭明里さん、『ケンガンアシュラ』から十鬼蛇王馬役の鈴木達央さん、『BanG Dream! 3rd Season』から戸山香澄役の愛美さんが登壇。またWe are STARDOM!!から木村花さん(女子プロレスラー)が応援ゲストとして登場。会見では、熱いアニメトークが繰り広げられた。

 またBS日テレ社長・中山良夫氏からは、今後のアニメ編成の説明とともに、LINEマンガとの初の取り組みが動き出すことも発表された。

 本記事では、BS日テレの新作アニメおよび、「アニメにむちゅ~」の新番組編成発表記者会見の様子をレポートしていく。

<左から、伊藤遼さん、七海ひろきさん、鬼頭明里さん、鈴木達央さん、愛美さん、木村花さん、中山良夫氏、バブちゅ〜>

今後のアニメ編成について

 中山社長は、今後のアニメ編成について、

「BSといいますと比較的高い年齢層の方が多く視聴頂いているというイメージがあります。確かに視聴データからもその傾向はみて取れます。しかし、若者の放送離れが言われるなか、工夫次第で高年齢層の視聴者と30代前の視聴者が共存できる方法があるのではないかと考えてまいりました。そして、若者をBS局においても呼び込む大きな柱として若者文化の中心であるアニメを深夜帯に大きく編成することに舵を切りました。大きなアニメゾーンの編成を構想してから1年余りで20作品のアニメ作品を編成できたことは大きな成果と考えています。ツイッターなどのSNSでBS日テレを話題とされることが以前に比べて倍以上になっており、このゾーンのアニメ番組のタイトルがトレンドワードに度々登場するようになるなど、日々アニメのパワーというものを実感しております。アニメは私が言うまでもなく日本が誇る文化です。私たちは今後さらにこの『アニメにむちゅ~』ゾーンを充実、成長させアニメ文化の発展にも微力ながら貢献ができればと考えております」

 と語る。

 さらに、「LINEマンガ」との初の取り組みについてこう話す。

「BS日テレと電子コミックサービス『LINEマンガ』さんで、日本のマンガ・アニメ市場の発展と活性化を目指し様々な取り組みを強化していくことに致しました。その最初の取り組みが『LINEマンガ』さんの『フロンティアデビュープログラム』に参加している作品のアニメ化です。『フロンティアデビュープログラム』というのは『LINEマンガインディーズ』というマンガ投稿プラットフォームを活用し最短距離でマンガ家デビューさせるという LINEマンガさんのかつてない試みです。その『LINEマンガインディーズ』初のアニメ作品は『困ったじいさん』です」

 『困ったじいさん』は、とぼけたふりをしてなんとかおばあさんをときめかせようとするイケメンを気取ったちょっと困ったおじいさんの話であり、若い女性に人気が広がっているとのこと。本作は、4月からの放送が予定されている。

 中山社長の説明後、BS日テレ取締役編成局長・松岡至氏によるBS日テレの編成上の様々な改革について語られる。

 松岡氏は、

「23時以降につきましては、この10月にアニメを20作品揃えるという大胆な編成をしました。さらに1月には新作が7作品スタートするということで、まさにアニメに集中することで、『アニメを見るならBS日テレ』というイメージを作っていきたいなと思います」

 と話す。

 さらに、BS日テレ編成局編成部長・山田和輝氏は、「アニメにむちゅ~」というゾーンの考え方について、

「BS日テレのタイムテーブルにおける編成方針とは、21時台、22時台はシニア層にこだわらず、30代、40代、50代などの層にもウィングを広げて、できるだけ大きな耳目を集めたいと思っております。そして23時以降~深夜2時までは深夜のPREMIUM ゾーンとして、アニメをメインにアイドル、コスプレ、女子プロレスリングなど、コアなファンの獲得に向けて分かりやすいゾーン編成をしていきたいと思っております。このPREMIUM ゾーン『アニメにむちゅ~』は、2019年4月に23時台でアニメを6枠スタートさせていただきました。10月にアニメファンへの認知促進のため、アニメを20作品に拡大。『エヴァンゲリオン』や『ジョジョの奇妙な冒険』などのメジャータイトルも獲得でき、充実したラインナップを編成してまいりましたが、新作タイトルは 2 作品にとどまり、『新作アニメが少ない』という声もいただいておりました。それは我々も放送局として反省しなければならないと思っておりまして、アニメファンの耳目を集めるためには、どんどん新作を増やさなければならないということで、1月には新作の30分アニメを6作品、そしてショートアニメを1作品、合計 7作品に増やします。さらにPREMIUM ゾーンで土曜23時30分には『あの子は漫画を読まない』を編成し、視聴者の皆さまから色々な情報をいただいたり、注目のアニメ、コミックスの情報をお届けしたりします。BS日テレはますます気合いを入れてアニメに取り組んでいく姿勢をお見せできたらと思っております。次の4月期には、もっと新作アニメを増やしていきたいと思っておりますので、BS日テレのPREMIUM ゾーン『アニメにむちゅ~』にぜひご期待いただければと思います」

 と語った。

 中山社長、松岡氏、山田氏の説明ののち、1月期にスタートする新作アニメの声優たちがステージに登壇。トークセッションが始まる。

1月期スタートの新作アニメの見どころは?

 『ソマリと森の神様』シズノ役の七海ひろきさんは、本作の見どころについてこう語る。

「『ソマリと森の神様』は、人間の少女ソマリと森の番人ゴーレムの親子の愛を描いた心温まる作品です。豪華声優陣の皆さま、そして色彩豊かな映像、そして何よりも吉俣良さんの音楽が本当に素晴らしい、目でも耳でも楽しめる作品だと思っています」

 七海さんのコメントに対し、司会の伊藤アナウンサーは、

「私個人的にも音楽が凄く素敵だなと思いました」

 と話す。

 さらに七海さんは続ける。

「フランスの方が背景を描かれているそうなので、その世界観がとってもファンタジーの世界が表現されていて凄く素敵だなと思っております」

 『虚構推理』岩永琴子役の鬼頭明里さんは、本作の見どころについて、

「『虚構推理』はタイトルの通り、虚構の推理をする作品となっておりまして、ミステリー作品なんですけれども、虚構の推理でまったく新しい推理作品となっていて、推理と怪異がたくさん出てくる作品でもあるんですけれども、難しい作品ではなくて、凄く面白く推理をしつつも、主人公の琴子と九郎先輩の会話も凄くコメディタッチで面白くて、その2つが織り交ざって、とっても面白く続きが気になる作品となっております」

 と話す。

「虚構の推理と言われると、『ん?』と思われる方もいらっしゃるかと思いますけれど、最初はいかがでした?」

 と伊藤アナウンサーは鬼頭さんにこう質問を投げかける。

 それに対し、鬼頭さんは、

「私も『虚構の推理とは?』と初めは思ったんですけれど、読んでいると、なるほどっていう風に、虚構の推理ではあるんですけれども、すごく納得させられるというか、そこが面白い作品になっています」

 とコメント。

 鬼頭さんに続き、『ケンガンアシュラ』十鬼蛇王馬役の鈴木達央さんは、本作の見どころについてこのように語っている。

「この作品に関しては、ステゴロの殴り合いを思いっきり観ていただけたら嬉しいなと思っております。昨今、格闘技というところも現実の試合のほうでも大分盛り上がってきていて、様々な団体、どの格闘技も本当に盛り上がっている中、フィクションとしての格闘技アニメというところを打ち出しております。とにかく作り方自体が、実際の格闘技に関わっている方にもモーションキャプチャーなどでお世話になりつつ、実際にアニメを収録する際にも、そうした方々の実写の映像を見ながら我々も声を当てていくという作業があったので、実際にそういう技が一体どういうものなのかと自分たちで体験しながら、体感しながら、もしくはフィクションではこういう表現をするかもしれないですけれども実際のリアルだったらこういう音になるというところを一つ一つ声の演技で微細なところも再現しながら、その中でフィクションという面白さを使って、実際にはない闘技というものも扱いながら、想像の中の面白さ、そしてリアルとしての面白さというもの混ぜ合わせたハイブリッドな作品になっております」

 鈴木さんのコメントについて伊藤アナウンサーは、

「声優の皆さんも体を張られたということでしょうか?」

 と質問。

 その質問に鈴木さんは、

「そうですね! だいぶ張っていますね! 特にモーションキャプチャーで闘っていらっしゃった方が編集の方とかもいらっしゃるんですけれど、収録のたびに青あざが増えていくという、新しい現場でした」

 と、笑いを交えてコメント。

「その苦労も声に出ているかもしれませんね?」(伊藤アナウンサー)

「そうですね。もう完全にそこは我々で引き継がせていただいたので、確実に声で殴り合いをしています」(鈴木さん)

 そして、『BanG Dream! 3rd Season』戸山香澄役の愛美さんは、作品の見どころについてこう語る。

「今シーズンは、『バンドリ!』というタイトルが“夢を撃ち抜く”という意味なんですけれども、まさにその通りで、前作は結構、 Poppin'Party が壁にぶち当たって、それを乗り越えるところがストーリーの見どころだったんですけれど、今回は Poppin'Partyをはじめとした沢山のガールズバンドが夢の舞台に向かって頑張っていくストーリーになっています」

「リアルでもライブ活動をされていまして、どんどん進化しているなという印象を受けるんですが、大晦日もBS日テレで放送する『第3回ももいろ歌合戦』に出演されるんですよね」

 と、伊藤アナウンサー。

「そうなんです! 『ももいろ歌合戦』のほうは初めて出演させていただくということで、大晦日に皆さんに観ていただけるということで、頑張ってお茶の間をキラキラドキドキさせたいと思います」

 このように伊藤アナウンサーの質問に対し、愛美さんはコメントしている。

役作りで心掛けたことは?

 『ソマリと森の神様』シズノ役の七海さんは役作りで心掛けたことについて、

3月まで宝塚歌劇団の方にいたので初めての声優仕事だったので、右も左もわからないところで出演者の皆様が助けてくださって臨んだ現場だったと思っております」

 とコメント。

「声の演技と宝塚時代の演技とは違いましたか?」

 という伊藤アナウンサーの質問に対し、七海さんは、

「全然違いますよね。舞台というのは体全部を表して表現して役を作るんですけれど、声だけの仕事とはこんなにも難しくて、突き詰めていく甲斐があるものなんだなというのを改めて実感出来たなと思いました。私がやらせていただいたシズノという役はソマリという主人公が旅をする間に出会う小鬼で薬師の役なんですけれど、見た目は子供で頭脳は大人なんです。なので、小さいんだけど大人っぽく、けれど見た目は小さいという難しさを表現出来たらいいなと思いながら毎回アフレコに臨んでおりました」

 と話す。

具体的に難しかったポイントは、幼い部分がありながら、ちょっと大人な話をする部分だと七海さんは言う。

「声は同じ人物なんですけれどもちょっと雰囲気を変えたりするのを声だけで表すのがこんなにも難しいものなんだなというのを知って、監督に色々教えていただきながら、周りの方ともやりながら、試行錯誤しながら作っていった、退団後初めての役となりました」(七海さん)

 『虚構推理』岩永琴子役の鬼頭さんは、今回難しかったポイントについて、

「とにかく琴子がずっと喋っているので……。しかも、推理パートと会話パートがごちゃ混ぜになっているので、推理していたと思ったら次の会話に戻っていたりっていうのが凄く多くて、推理では琴子ちゃんはものすごく頭のいい人なので、みんなを納得させるためにすごく頭のいい喋り方をしなくちゃいけないし、急に会話パートになると、すごく面白い子なので、コメディタッチな会話を繰り広げるので、そこの差をしっかり出して、飽きさせないようにっていうのを心がけてやりました」

 と語る。

 『ケンガンアシュラ』十鬼蛇王馬役の鈴木さんは、今回工夫した点、難しかった点についてこのように話す。

「役作りという点では、フィクションとノンフィクションが混じっている作品なので、その中でどういう風に格闘技の面白さや魅力を声にのせていくのかというのが大きなポイントとなりました。その中で特に自分が演じている王馬というキャラクターが古武術をベースにはしているのですが、その中に色々な芸術の格闘技 の、キックボクシングなんかの要素も入っていたので、そういったところも、パンチやキックなどのふりの時の呼吸みたいなものも細かくインスパイアしました。実際に自分がキックボクシングや色々な技を受けた時っていうのは、自分が攻撃してる時よりも受けた時の方がとても疲労がたまりやすくて、より緊張するというか、体が強張るんだなということを知ったりとか、そういったものをまたフィルムに落としてみると、一つ一つのやられた時の声があったりしても、なにか見ている人がヒリつくような、例えば近くで言いますと、井上選手の試合の時も肩の力が上がってしまうようなずっとその状況、見ている方が力みがとれない感覚をフィルムで作れないのかというところをみんなで作り上げていった、そういった細かいところを役作りで大事にしていきました」

 鈴木さんのコメントに対し、『We are STARDOM!!』から応援ゲストとして駆けつけた木村花さんは、強くうなずき、

「そうですね。戦っているときは乗っていて、勢いで出来るんですけれども、技を受けているときはつらい時間なので、鈴木さんのお話はよく分かります」

 と、鈴木さんに同調。

 そして、『BanG Dream! 3rd Season』。香澄が高校に入学してから、いろんなドラマを通してPoppin'Partyたちは成長してきたが、香澄役の愛美さんは、役作りに対してどのような思いを抱いているのか? 愛美さんは『BanG Dream!(バンドリ!)』1期、2期を振り返ってこう語る。

3rd Seasonで一番気を付けたのは『愛』ですね! 前作でいろんなことがあって、バンドの中でもぶつかり合ったし、他のバンドにも助けてもらったりして、絆が深まっているなぁと思うので、1期の時よりも2期、2期の時よりも3期と、どんどん愛情が増すように、メンバーに愛が伝わるようにお芝居が出来たかなと思います」

 そのコメントに、伊藤アナウンサーは、

「メンバー、他のメンバーの方との関係性は変わってきましたか?」

 と愛美さんへ質問を投げかける。

 その質問に対し、愛美さんは、

「元から仲が良いんですけれども、Poppin'Party に関してはもはや家族のような関係性で、人間らしいところを全部見せている、きれいなところだけじゃなくて、人間らしい汚いところとかも全部見せられる関係なので、それは年々変わってきているかなと思います」

 とコメント。

 伊藤アナウンサーは、さらに

「ライブのクオリティや劇中の音楽もどんどん進化しているなという印象がありますけれども、3期目に入るにあたって、ここ難しかったなとか、これまでと違ったなとか思う部分はありましたか?」

 と、愛美さんに問いかける。

「オープニング主題歌が今までと違って結構シリアスな、かっこいい曲調なので、そこを元気な香澄でどう表現するかというのは少し迷いました」

 と、愛美さんは伊藤アナウンサーに返答。

 

――会見の最後は、中山社長が同枠をアピールするため、木村さんにプロレス技をかけられることを志願。木村さんにヘッドロックをかけられ、悶える中山社長の姿を見て、声優陣、報道陣共に、大爆笑。

 こうしてBS日テレの新作アニメおよび、「アニメにむちゅ~」の新番組編成発表記者会見は幕を下ろした。

 1月からの新作アニメはもちろんだが、これからの「アニメにむちゅ~」の発展には期待が高まる会見であった。今後、「アニメにむちゅ~」は、我々にどのような動向を見せてくれるのだろうか? これからも同枠には注目していきたい。

(Report&Text/士隠カンナ Photograph/水野高輝)

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