4月より放送中の『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』(略称、おさまけ)は、「このライトノベルがすごい!2020」において、文庫部門総合5位、新作2位を獲得した新進気鋭のラブコメが原作のアニメです。
<画像引用元:https://osamake.com/ より引用掲載 ©2021 二丸修一/KADOKAWA/おさまけ製作委員会>
本作の注目ポイントは「負けヒロインが勝つ」というテンプレを覆すテーマ。『おさまけ』では、ラブコメにおいて不遇の属性である「幼なじみ」をフォーカスし、主人公との恋愛模様を描いています。
また、ただ「幼なじみ」との恋愛を描くだけでなく「復讐」をテーマとした波乱に満ちた展開からも目が離せません。
では「幼なじみ」と「復讐」が織りなす『おさまけ』とは、どのようなアニメなのか?
◆幼なじみが絶対に負けない? 幼なじみが主役のラブコメ『おさまけ』とは
<画像引用元:https://osamake.com/story.html より引用掲載 ©2021 二丸修一/KADOKAWA/おさまけ製作委員会>
『おさまけ』は、主人公が恋に落ちるところから物語がスタートします。その恋の相手は、同じクラスの美少女・可知 白草。人を寄せ付けないクールな姿で有名な少女ですが、主人公には心を開き次第にいい雰囲気になっていきます。主人公もこの空気を感じ取り「もしかして、白草も自分のことを好きなのではないか」と胸をときめかせますが、しかし……。
しばらくすると「可知 白草が別の男と付き合った」という噂が流れるではありませんか。自分といい雰囲気だったのは、何だったのか……。本命は別にいた? 自分はキープくんだったのか!? 心を弄ばれたと感じた主人公は、初恋の痛みをバネに白草を見返す作戦を立てていきます。
このように『おさまけ』は、ただのラブコメではなく「初恋がキープだったなんて許せない!」「醜くてもいい、初恋の痛みを相手にぶつける」という復讐がテーマの作品です。
そんな復讐を支えるのが、幼なじみの志田 黒羽。昔から主人公に想いを寄せるヒロインで、失恋の復讐を応援する傍ら主人公にアプローチをかける重要なキャラになります。
序盤は、この黒羽と主人公が偽の恋人関係を築き「キープしていたのは、こっちもだぞ」と白草にアピールをするドロドロとした展開に!?
本作の醍醐味は、
・そんな偽の関係を築きつつも白草を忘れることのできない主人公の恋心
・ニセモノの恋人関係を築いたことで黒羽の魅力に惹かれる主人公の恋心
『おさまけ』は、「復讐」と「幼なじみ」をテーマにしつつ、主人公の恋心を描くラブコメとなっています。
◆勝ちヒロインは決まっている?
<画像引用元:https://osamake.com/story.html より引用掲載 ©2021 二丸修一/KADOKAWA/おさまけ製作委員会>
前述の通り、本作のテーマは「負けヒロインが勝つ」ということ。「幼なじみが絶対に負けない」ことを前提に考慮すると、本作の場合は主人公の幼なじみとして登場し、第1話で偽の恋人関係を築いた黒羽が最終的に主人公と付き合うのではないかと推測できます。そのため、ラブコメにおいて重要な要素となる「勝ちヒロインは決まっているのでは?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。しかし『おさまけ』は、それほど単純な物語ではありません。本作最大のポイントは、幼なじみが1人とは言っていないところ……。
そう、幼なじみは、幼い頃出会い、何かしらのエピソードを持っていれば幼なじみと言えるのです。アニメ第2話では、早くも黒羽以外に、幼い頃の主人公とエピソードを持っている少女の姿が描かれていました。しかも、意味深な約束を交わしているシーンまで……。
幼い頃から共に過ごしていた幼なじみ、黒羽。幼い頃、何かしらの約束をした別の幼なじみ。幼なじみが2人も登場。
『おさまけ』は、「幼なじみが負ける」というテンプレを覆す作品ではなく「幼なじみ属性を持つヒロインは1人」というラブコメにおけるテンプレを覆す作品と言えます。
◆主人公は元天才子役…役者要素も見逃せない
<画像引用元:https://osamake.com/story.html より引用掲載 ©2021 二丸修一/KADOKAWA/おさまけ製作委員会>
幼なじみが最重要属性と言える本作ですが、もう一つ押さえておきたい属性があります。それは、主人公の持つ元天才子役という属性。
本作の主人公は、何の変哲もない一般高校生ではなく、一世を風靡した天才子役という過去を持っています。この役者要素が、物語を広げる重要なポイント。偽の恋人を演じていることから始まり、白草を見返す上でも演技が復讐の手段となっていきます。
役者要素はそれだけに留まらず、役者時代を共有している新たな幼なじみまでもが登場。物語も「なぜ役者を止めてしまったのか」「復帰するつもりはないのか」「演技でヒロインの心を振り向かせる」などの方向に進んでいきます。
また、役者要素の面白いポイントは、演技をするのが主人公に限らないところ。本作では、要所要所でヒロインたちによる女の演技が隠されています。最後の最後で、まんまと騙される主人公。序盤は演技をしているのはどのヒロインなのかということを考えるのも面白いでしょう。「えっ、それって演技だったの!?」といったどんでん返しも『おさまけ』の見どころの一つです。
――『おさまけ』は「幼なじみ」×「復讐」に「役者」……という「騙す」「演じる」など要素が加わったラブコメであり、「負けヒロインが勝つ」というテーマである以上、どれだけ1人のヒロインが上手くいきそうでも「最後に逆転劇があるのでは?」と期待させる作品となっています。
幼なじみが3人も登場する以上、「幼なじみが絶対に負けない」というテーマがどんな結末になるのか読めないのも本作の面白い部分。
物語が終盤戦に突入する2ヶ月後、本作の恋愛劇はどのように変化しているのか? フィナーレをその目で確かめてみてください。
〈文/天乃ひる (@amano_hiru)〉
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