<画像引用元:ハル×キヨ 7 (マーガレットコミックス) 出版社:集英社>
――あなたが恋人に求めるものは何ですか?
昔は三高(高学歴、高収入、高身長)などと言われたものですが、最近では三NO(暴力しない、借金しない、浮気しない)なんて例えもある様で……時の流れとは恐ろしいものです。
ここでは、そんな昔懐かしい三高の一つにも挙げられる、「高身長」にポイントを絞って、身長差のあるカップルが登場する恋愛漫画をご紹介します。
◆男子が巨人×女子がひよこカップル【ひよ恋】
一冊目は、集英社「りぼん」で2009年12月号から2014年12月号まで連載されていた雪丸もえ先生の漫画『ひよ恋』。
<画像引用元:ひよ恋 1 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL) 出版社:集英社>
身長140cmのちびっこ少女・西山ひよりと身長190cmの巨人少年・広瀬結心が繰り広げる恋愛模様を描いた作品です。
彼らの身長差は50cm! キスをするのが大変そう!!
主人公のひよりは背が低いことにコンプレックスを抱いており性格も気弱、いつもおどおどしています。
そんな彼女、第一巻の冒頭で自己紹介をしているのですが、季節は冬。あれ? 転校してきたのかなと思いきや……高校の入学式前日に大型トラックと衝突して全身複雑骨折、8か月学校に来られなかったという壮絶な身の上が明らかに!
気弱で人見知りでありながら友達づくりのチャンスを棒に振り、既に人間関係が構築され終わりに近づいている12月から学校に通うという拷問……。
私がひよりならそのまま引きこもってしまうかもしれない。
それ位コミュ障にはハードルが高い難関に挑んだひよりに拍手を送りたい! と言いつつ、幼馴染の中野律花という親友が同じクラスだったので乗り越えられたという説もあります。
何とか第一歩を踏み出したひより、自己紹介をしようと勇気を出した直後、遅刻してきた男子に邪魔されてしまいます。
その男子こそが、巨人のヒーロー・結心。
明るい性格でスポーツ万能なクラスの中心的存在。誰にでも分け隔てなく優しく気配りもでき、おまけにイケメンなので当然モテます。
第一声で身長のことを突っ込まれたせいで、最初は結心に良い印象を持てなかったひより。その後もひよこに似ているだの言いたい放題言われ、「この人、失礼です」と敵として認定。ちなみに彼女に「ひよりん」というあだ名を付けたのも結心です。
ひよりとしては途中からクラスに入ってきたことがやっぱり気になっていて、めだたずひっそりと生活したいと思っているのですが、結心と隣の席になってしまったせいで並ぶと目立つ、そして結心がことあるごとに彼女を構うため余計に注目されてしまうという悪循環。
それでも彼の明るさや優しさに触れ徐々に打ち解けていき、その気持ちはやがて『好き』へと発展します。
でも暫くの間、ひよりの片思い目線で話が進んで行き結心側の気持ちは明かされません。大切に思ってくれているのはわかるけど、その気持ちは恋愛感情なの? 友情なの!? と、とにかくヤキモキします! ……私が。
そして夏休みに入り二人で出かけた花火大会でひよりが勇気を振り絞って告白。その想いを受け止めた結心と晴れて恋人同士となります。
恋のライバルとして結心の幼馴染で超絶美少女の富永妃や2年生に進級した際、ひよりの隣の席になった小柄な美少年・二戸部コウ、結心の隣の席になった情熱的な帰国子女・松島礼奈などが登場しますが、全員嫌味がなく清々しいのでドロドロとした恋愛関係には発展しません。
最大の敵、幼馴染というポジションですらこの作品では障害にならないのです。
ちっこい体で健気に頑張るひよりとそれをドーンと受け止めながらもちょっぴりツンデレな結心、そしてあったかい仲間たちとのほんわかラブコメが楽しめる一冊です。
あ、そういえば作中に田中というメガネ男子が登場するのですが、頭脳明晰でスポーツ万能、それ以外にも様々な頼みごとを引き受けてくれる上にメガネの下は作者の画力では描けないほどのイケメン! と表現されていたのでワクワクしながらその曇ったメガネを外す瞬間を待ちわびていたのですが……結局その時は訪れず(涙)。
大好物のメガネ、だがしかしその下が見えなければ萌えもキュンも出来ないのだと思い知りました。見たかったなぁ……超絶イケメンの田中くん。
◆女子がLサイズ×男子がミニマムなカップル【ハル×キヨ】
次にご紹介するカップルは、同じく集英社の「別冊マーガレット」で2013年6月号~2016年5月号まで掲載されていた、オザキアキラ先生の『ハル×キヨ』。
<画像引用元:ハル×キヨ 1 (マーガレットコミックスDIGITAL) 出版社:集英社>
こちらは『ひよ恋』とは逆で、身長178cmの心優しき巨人・宮本小春と身長低めなミニマム男子・峯田清志郎が登場、この二人を軸に周りを巻き込んだ恋愛模様が繰り広げられます。
こちらのカップルもキスをするのが大変そうですね。
主人公の小春はひより同様、気弱で地味目な女の子。実は大柄ながらもかなりな美少女なのですが、前髪をもっさり伸ばしているため最初の頃は美少女の要素が全く感じられません。
そしてヒーローの峯田は小柄だけど冷静沈着で頭脳明晰、基本的に相手に対しては上から目線で横柄、なのにやたらめったらモテていて、極めつけはメガネという私の理想を形にしたような存在です。
冒頭から小春は別の相手に恋をしていて、峯田は別の相手に告られているという、「……恋はいつ始まるのかな?」というスタートを切る今作ですが、その後、二人の交流や小春の失恋、峯田の失恋と展開が進んで行き、あっという間に当事者同士の恋愛ターン!
あ。その前に、小春の失恋エピソードに関してひと言。彼女は学園の王子様的存在の氷川とお付き合いを始めますがその恋は一瞬で終わりを告げます。実は氷川には千絵という幼馴染がいて(冒頭で峯田に告白してフラれた子)彼女なんていないと言いつつ幼馴染が一番大事という鉄板パターンで、結局は小春が身を引く形となるのですが……自ら付き合おうと言っておきながら千絵が峯田を好きだと知った途端にヤキモキ、小春と千絵の間でウロウロした挙句、別れの言葉まで小春に言わせる。学園の王子だが何だか知りませんが、
一番最低な野郎じゃないか!!
それなら後から登場するいじめっ子・志村の方が数倍マシです(最初は同じく最低野郎ですが、のちのち小春を巡って峯田のライバルになるし)。
恋愛関係に発展してからはとにかく峯田が男らしくてカッコいい! ついでに恋愛モードになった志村も超カッコいいので、男子萌え目線で見てみるのも良いかもしれません。
たまに忘れた頃に氷川も出てきますが……それはスルーで。
――女子の方が背が高いと彼氏よりも自分が大きいことに悩み、逆に女子の方が低すぎると彼氏がロリコンと言われる……それぞれにコンプレックスや悩みは尽きない様ですね。
〈文/彩乃 編集/スタッフの乙矢〉
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