映像のごちゃ混ぜぶりがスゴい！『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』は現代版『ロジャー・ラビット』だ！
ここ数年、映像技術の進化により、見た目からして個性の強さが出ているアニメーション映画が増えてきました。
『LEGO（R）ムービー』シリーズではまるで本物のレゴブロックを動かしているかのようなアニメーション映画となっていたり、『トロールズ』シリーズはフェルト風の質感の3DCGキャラクターが活躍する作品となっていました。
そんな映像面でのギミックの面白さを見せる長編アニメーション作品を、あのディズニーが発表しました。それが『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』です。
◆まさかのハイブリッドぶり！2D+3D+実写映画登場！
2022年2月に、ついにトレーラーが解禁された、長編映画が『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』です。
主人公はおなじみのシマリスコンビ、チップとデール。ただし、そんなチップとデールが主人公となって活躍した90年代のヒットシリーズアニメーション『チップとデールの大作戦』をベースに、アニメーションのヒットから30年を経てしまった現在のチップとデールに焦点を当てた物語です。
トレーラーを観てみると驚愕するのですが、古き良き2Dアニメーション風のチップと、立体的な3DCGのデール、そしてそんな二人が実写の世界に居る姿が確認できます。なんと本作では『チップとデールの大作戦』のアニメシリーズの世界観というよりも、そんなアニメシリーズでヒットした演者としてのチップとデールの物語になるよう。予告編では、どうやらデールは手術によって、2Dアニメーションから3DCG化しているという設定で、一風変わった世界観の作品となっているようです。
◆次世代『ロジャーラビット』は本作！
この驚きのルックから思い出すのは、同じくディズニーの往年の名作『ロジャー・ラビット』です。1988年に公開された『ロジャー・ラビット』は、カートゥーンのキャラクターたちが、現実世界で共存しているという世界観の物語です。
カートゥーン世界の人気者であるロジャー・ラビットと、人間界の私立探偵であるエディのコンビが、ある殺人事件の真相を突き止めていくというストーリーの本作では、実写とアニメーションが組み合わさったビジュアルや、ディズニーの枠を超えた豪華なカメオ出演キャラクターが集まる夢のような作品でした。
そして今回発表された『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』はまさにそんな『ロジャー・ラビット』を彷彿させる世界観の作品。人間たちとカートゥーンキャラクターが共存している点では共通している上、さらにはその世界観を現代版にアップデートさせ、3DCGアニメーションやゲームキャラクターといった『ロジャー・ラビット』以降に普及していった次元のキャラクターも登場するようで『ロジャー・ラビット』ファンにもぜひ注目してほしい作品となっています。
そして、それは製作陣も強く意識しているのでしょう。しっかり今回発表されたトレーラーにもロジャー・ラビットがそのまま登場しています。本作は『チップとデールの大作戦』の延長線上にもあり、さらには『ロジャーラビット』の延長戦上にもある作品なのです。
◆映画ではあるけども配信限定作
そんな『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』は、長編映画ではあるのですが映画館での公開は、日米共になし。ディズニー発の配信サービスでおなじみのDisney＋の独占配信作として、2022年5月20日（金）より見放題作品枠でリリースされることが明らかになりました。
せっかく画的な面白さを追求した作品なのだから、映画館の大画面で観たい、とも言いたいところですが、新型コロナウイルスの影響で国内外共に気軽に外出ができない状況にあるのもまた事実。好きな時間や場所で楽しめることや、海外と同タイミングで楽しむことができるという点に目を向けて、チップとデールの二人の活躍を迎え入れたいところです。
Disney＋といえば、3月11日（金）より『私ときどきレッサーパンダ』の独占配信もスタートします。こちらは、一時期劇場公開が謳われていた作品なだけに、劇場鑑賞を楽しみにしていたファンには悲しい路線変更となりました。それを考えると『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』のように、発表時点で配信限定であることが明らかになっているのは、少し救いがあるように感じます。
今作を大画面で観たかった身としては、2D・3D・実写といったように映像に多様性があるように、映画館鑑賞も配信鑑賞もどちらも選べるような流れになっていって欲しいと強く願います。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』（https://note.com/nejimura89/m/mcae3f6e654bd）を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi
アニメ映画ライター。『FILMAGA』、『めるも』、『リアルサウンド映画部』、『映画ひとっとび』、『ムービーナーズ』など現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。映画『ミューン 月の守護者の伝説』や映画『ユニコーン・ウォーズ』のパンフレットにライナーノーツを寄稿するなどその活動は多岐にわたる。noteでは『アニメ映画ラブレターマガジン』を配信中。
