今秋から放送されている『安達としまむら』は、電撃文庫より刊行されている入間人間氏によるライトノベル原作のアニメ。
<画像引用元:https://www.tbs.co.jp/anime/adashima/news/news20200901_01.html より引用掲載 ©2019 入間人間/KADOKAWA/安達としまむら製作委員会>
『電波女と青春男』でも知られる同氏の作品は、これで二度目のテレビアニメ化となります。
本作は、偶然同じ場所で授業をサボっていた女子高生の「安達」と「しまむら」が出会い、日々を過ごす中で少しずつ変化する関係性を描いた日常系百合アニメ。
また、視聴後には青春文学を読み終えたような爽やかさを与えてくれる、不思議な作品でもあります。
そこで本記事では、『安達としまむら』の魅力や、視聴後に残る不思議な感覚の正体に迫っていきます。
◆クールじゃなくシャイな安達、どこか飄々としているしまむら
本作はその名の通り、安達としまむらの日常を描いていく物語なので、まずはその2人を紹介。
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▼安達
<画像引用元:https://www.tbs.co.jp/anime/adashima/story/story01.html より引用掲載 ©2019 入間人間/KADOKAWA/安達としまむら製作委員会>
人付き合いが苦手で、学校に来ても授業はサボる。体育館の2階でサボっている時に偶然しまむらと出会い、一緒にいる内に、少しずつ彼女に対する感情が変化していく。
自分のことを可愛いと言ってくれるしまむらに「そっちこそ」と返してみたり、彼女とキスをする夢を見たり……その気持ちが友情なのか恋心なのか、頭を悩ませている様子。
▼しまむら
<画像引用元:https://www.tbs.co.jp/anime/adashima/story/story01.html より引用掲載 ©2019 入間人間/KADOKAWA/安達としまむら製作委員会>
安達よりは授業を受けているようだが、それでもサボりがち。妹がおり、面倒見のいい部分もあるが、人付き合いを面倒臭く思っている。
出会った当初の安達への印象は、誰にも興味がなさそうで「猫っぽい」。しかし、少しずつ自分に甘えてくる様子を見て「犬っぽい」とも思うように。
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安達がしまむらを意識し始めることで、少しずつ関係性が動いていく本作。
日常のコミュニケーションの中で、時には膝枕で距離が縮まったり、不意に恥ずかしくなって遠ざけてみたりと、そんな2人の距離感の変化が楽しめる作品です。
◆今はまだ猫っぽくて意地らしい安達
<画像引用元:https://www.tbs.co.jp/anime/adashima/story2/index.html より引用掲載 ©2019 入間人間/KADOKAWA/安達としまむら製作委員会>
ビジュアルだけでは、「クールな安達にハツラツとしたしまむら」という印象がありましたが、本作では、クールに見えた安達が豊かな表情を見せる場面が多々あります。
第1話後半では、いつものように体育館の2階でサボっていた2人をしまむらの友人が見つけて、会話が弾むと安達は拗ねたような顔をしていました。
この時の反応、実に猫っぽくて可愛いですね。
第2話では、安達の恥ずかしがる様子が全面に出ていて、しまむらとキスする夢をきっかけに、彼女が好きかもしれないという自分の感情に驚き、赤面する場面も。
しまむらに赤面した顔を指摘され、逃げ帰って自室で叫んだ「なんだばしゃぁぁぁぁ」というフレーズは、当初はクールっぽかった安達のイメージをいい意味で壊してくれるキラーワードとも言えるでしょう。
ここから、安達がどのように犬っぽく変貌を遂げていくのか楽しみです。
◆意外と周囲をよく見ているしまむら
<画像引用元:https://www.tbs.co.jp/anime/adashima/story/index.html より引用掲載 ©2019 入間人間/KADOKAWA/安達としまむら製作委員会>
視聴前は、ハツラツとした雰囲気のしまむらにどこか抜けている印象を持っていましたが、これまでの流れで、むしろ安達よりずっと冷静というイメージに。
日野や永藤という友人が一緒にいる空間が、安達にとって必ずしも居心地がいいものではないと心中で彼女を気遣う姿は、面倒臭がっていても放っておけない彼女の性格が現れていました。
膝枕や足の間で寝転がるのは安達で、しまむらは心地よさそうだったり恥ずかしそうだったりする彼女を眺めるばかり。
自分が誰かと話している時に拗ねたような素振りの安達にさえ、戸惑いながら心配を向けるしまむらは、まだ猫っぽくて掴みどころのない安達を観察中なのかもしれませんね。
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◆独特な視聴感の正体は「独白」と「回想」の演出
日常系アニメでは大きなシーン転換が少ない分、会話を増やしてストーリーを進行することが多いですが、本作では「独白」と「回想」が話を大きく進めているように感じます。
<画像引用元:安達としまむら (電撃文庫) 出版社:KADOKAWA>
筆者はまだ原作小説を少しかじっただけですが、一人称視点で書かれた地の文が、そのまま独白という形でセリフになることで、くどくなってしまいがちな日常シーンの回想と上手く結びついている印象を受けました。
自然とモノローグが多くなり、キャラの内心がそのまま語られているようにも感じられるため、前述した爽やかな視聴感に繋がっているのだと思います。
また、淡く繊細なタッチの作画も、その感覚を後押ししているのではないでしょうか。
この独白と回想でとりわけ印象に残っているのは、第1話冒頭で2人が卓球をしながら本編が始まるシーン。しまむらの1人語りから回想に入るまでが非常にスムーズで、グッと引き込まれました。
ほかにも、安達がしまむらに抱き始めた感情を露わにする第2話後半では、告白しかけたことやキスの夢を思い返して恥ずかしがる様子に、胸キュンすることマチガイナシ。
甘酸っぱい2人の関係にドキドキしながら、本作の演出に注目してみると、一味違った視聴感を得られるかもしれませんね。
――本作は、2人の女子高生の間で起こる関係性の変化が楽しみな作品ですが、もどかしい距離感にウズウズすることもありそうですね。
また、小説の雰囲気をそのまま映像化することに成功している作品とも言えるので、アニメと原作小説を併せて楽しんでみてはいかがでしょうか。
(Edit&Text/叶梢)
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