2020年8月10日、「BANDAI×BN Pictures Festival」にて「アイカツ新プロジェクト」が発表されました。
どんなプロジェクトが発表されるのか固唾を呑んで見守っていたファンも多いハズ。
ですが、生放送で発表された新プロジェクトの内容はなんと驚きの「実写×アニメ」という新機軸でした。この内容に関して、Twitterを中心にインターネット上でファンから賛否両論の声が集まっています。
今回の記事では「アイカツ新プロジェクト」の何が問題なのか、どういう点にファンは戸惑っているのか、探っていきます。
◆本当に「実写」だから不評なのか?
<画像引用元:http://www.aikatsu.net/news/?id=18024#record-top より引用掲載 ©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO, BNArts>
『アイカツ!』の新シリーズである『アイカツプラネット!』では、シリーズ初となる「実写パート」が盛り込まれています。
実写ドラマとアニメ、3DのCGが融合するというコンセプトは確かに斬新であり、今までではなかった試みと言えるでしょう。
また発表によると、実写ドラマのパートで学園生活を送る女子高生が『アイカツプラネット!』の世界で“アバター”としてライブなどのアイドル活動を行うことが語られています。
要するに、従来の『アイカツ!』シリーズでは、アニメに登場するキャラクターがいてそれを演じる声優・歌手がいました。新シリーズは、その逆で現実のアイドルが『アイカツ!』の世界のアバターを演じるという構図になると予想できます。
このような点を踏まえると、「アニメ」新シリーズを期待していたにも関わらず「実写」と混合されるということに落胆したファンが多かったと思います。
しかし、アニメファンが単に「実写だからクオリティが低くなる」「完全なアニメ作品が観たかった」という理由だけで新プロジェクトを非難しているわけではないようです。
実は、『アイカツプラネット!』の問題点は『アイカツ!』シリーズの伝統を破壊したことにあります。次はこのことについて述べていきます。
◆キャラクターに「人格」が感じられない
先述の通り、『アイカツプラネット!』は実写パートの女の子たちが「アイカツプラネット!」というバーチャル世界のアバターを演じるというストーリーです。
実は、キャラクターをアバター化したことに大きな問題があると思われます。
というのも、『アイカツ!』シリーズのファンの多くは、他のアイドルのファンがそうであるように、アニメに登場するキャラクターを一人の「人格」だとみなし応援してきました。
それなのに『アイカツプラネット!』では、アニメに登場するキャラクターを実写のアイドルが演じる単なるアバターとしか扱われていません。そこにいるのは「中の人」であって、キャラクター自身の「人格」はまるで無いように感じられてしまいます。
そのことを象徴的に表している文章を公式HPより引用。
元々は「アイカツプラネット!」で“ハナ”として活躍していた。
アイカツ!ランキングでは常にトップだった誰もが認めるトップアイドル。
そんな人気絶頂の中、アイドルライセンスとアイプラフォンを置いて突然姿を消した。
http://www.aikatsu.net/より引用掲載
これは、『アイカツプラネット!』に登場するキャラクターの一人である陽明咲のプロフィールですが彼女はもともと“ハナ”というキャラクターを演じていたのですが、それを辞めて“ローズ”というキャラクターを演じます。
なんと、この“ハナ”は主人公である音羽舞桜(おとはまお)が演じることになっているのです。「中の人」が入れ替わるアニメキャラクターは前代未聞と言わざるを得ません。
つまり、多くのファンが感じている『アイカツプラネット!』への拒否感は、キャラクターがまるで中身の人格の交換が可能な「モノ」のように扱われるのではないか……という不安感に起因しているのではないでしょうか。
◆これまでの『アイカツ!』シリーズとのつながりが無くなる
アバターとしてのキャラクターという設定を採用したことによって、これまでの『アイカツ!』シリーズの前提が覆されてしまいました。
というのも、『アイカツ!』はシリーズをまたいでも世界観を共有しており前作の『アイカツオンパレード!』では過去作品のキャラクターが共演しています。
しかし、新シリーズのキャラクターはあくまで現実の人物が操作するバーチャル世界のアバターに過ぎません。アニメの中のキャラクターとアバターとしてのキャラクターが共演する可能性は相当低いと言わざるを得ません。
ですから、『アイカツプラネット!』ではおそらく前のシリーズのキャラクターは登場しないと考えられます。
つまり、『アイカツプラネット!』は『アイカツ!』というシリーズの間の繋がりを断ち切ってしまうのではないかと危惧されているのです。
<PR>
◆“カード”を使わない
「芸能人はカードが命」という格言に示されるように、『アイカツ!』では“カード”が重要な要素とされてきました。
ですが、『アイカツプラネット!』では従来のカードの代わりに「スイング」というものが使われることになっています。
このことも、以前のシリーズとの繋がりを無くす要素として批判されているのではないでしょうか。
◆なぜ『アイカツプラネット!』は方向転換したのか?
ここまで見てきた通り、『アイカツプラネット!』はかなり大胆に今までの『アイカツ!』シリーズにない要素を取り入れました。
では、なぜこのような方向転換が行われたのでしょうか?
理由の一つは、「視聴者の刷新」にあると思われます。
『アイカツ!』シリーズのメインターゲットである7~9歳の女の子は、数年でアニメを「卒業」していきます。そのため、前のシリーズを知らない子供に向けてアニメを作らないといけないという制作者側の理由があります。
新しい視聴者に向けて制作するならば、新しい設定やキャラクターに刷新しようとするのは自然だといえるでしょう。
ただ、実写パートのアイドルを“推す”ことができない人にとっては、『アイカツプラネット!』はかなり視聴が難しい作品になってしまったと言わざるを得ないでしょう。
――このように『アイカツプラネット!』は、実写に踏み切りキャラクターをアバターとして扱うなど、今までのシリーズとの繋がりを断ち切ろうとしているようにも見えます。これが、古参のファンを怒らせた問題点だと言えそうです。
ただ、『アイカツプラネット!』は、2021年放送開始のアニメであり、まだ十分に情報は公開されていません。
もしかすると、新たな要素などが発表されることによって『アイカツ!』の伝統を引き継ぐ作品になるかもしれませんね。
今後の新情報に期待して今は気長に待ちましょう!
(Edit&Text/シモヤマコウキ)
©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO, BNArts