今年春に映画『リズと青い鳥』が公開され、来年春には新作映画『響け!ユーフォニアム 誓いのフィナーレ』が控えている『響け!シリーズ』(以下、『響け!』)。
2015年のアニメ第1期から続く『響け!』は、京都アニメーションによるリアルな作画や洗足学園音楽大学による実際の演奏が好評となった作品と言えますが、その中でも特に注目すべきなのは「演奏曲」。
皆さんも、初の全国大会出場を果たした時の自由曲である「三日月の舞」(原作では課題曲)のメロディー……特に麗奈のトランペットソロや鎧塚みぞれのオーボエソロはまだ耳に残っているのではないでしょうか?
吹奏楽や楽器の経験者からすれば、結構難しい曲なんですよね、これ。
ということで今回は、原作オリジナル曲であり劇伴を担当する松田彬人氏(作中では堀川奈美恵名義)が制作した「三日月の舞」が、実際にどのくらいの難易度なのかを個人的に考察してみたいと思います!
演奏楽曲の難易度って?
まず先に、吹奏楽における「難易度」について説明させていただきます。
吹奏楽の曲には全てではないにしろ、楽譜を販売する出版社ごとによって「グレード」というものが付けられています。簡単な曲は「1」であり、難しければ難しいほどグレードは上がっていきます。
といっても、具体的に「これがあればグレード5」といった明確な基準はありません。先に述べたように、グレードを決めるのは出版社ごとになるため、同じ楽曲でも販売元によって評価は変わっていきます。
基本的には曲の長さや音域、変拍子だったり複雑なリズムを刻むなどの高等な技術を要するかどうかが、グレードを決める指標になっているように思われます。
現在の最大グレードは7とされています。ですが、これはスコットランド出身の作曲家ピーター・グレーアム氏による「ハリソンの夢」という曲のみに指定されている、いわゆる唯一神のような存在。(ヤマハミュージック出版のものはグレード6)⇒http://www.gakufu.co.jp/products/suisougaku/UN/UN530/
基本的にはグレード5=難しい、グレード6=とても難しいという認識で落ち着いています。
そしてこれは個人的な感想ですが、吹奏楽コンクールで演奏される自由曲のほとんどは「グレード4〜5」の曲が多い印象を受けます。
例えば、人気が高く数多く演奏されている「元禄」「アルメニアン・ダンス パートⅠ」「マードックからの最後の手紙」「たなばた」あたりでしょうか……。
でも「元禄」あたりはグレード3だったり、「アルメニアン・ダンス パートⅠ」はグレード6にしているところもありますが。
ちなみに、『響け!』の原作で自由曲として演奏された「イースト・コーストの風景」は、ほとんどがグレード5に設定されていました。