イルミネーション・エンターテインメントの最新アニメ映画・『SING/シング』がまもなく公開です。

イルミネーションといえば、日本でも興行収入50億円の大ヒット作『ミニオンズ』を送り出した会社です。日本の市場の特徴として、ディズニー作品ぐらいしか50億なんて額の大ヒット3DCGアニメ映画は生まれてこなかったので、ディズニー以外でこの規模の成績を叩き出すのは見事な快挙です! 

しかも、“『ミニオン』の一発屋会社”とはいかず、昨年は新シリーズ『ペット』も興収40億円のヒット作となり、有力なアニメ制作会社として台頭してきています。

そして、そのイルミネーションが新たに送る作品のタイトルがSING/シング』

本作も『ペット』同様、日本市場での成功に向けて、日本独自の味付けを施そうとしているようです。

洋楽満載!歌う動物たちの映画『SING/シング』

SING シング
画像引用元:SING/シング ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray] 販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン

パッと見、動物たちが住む街を描いているので『ズートピア』の二番煎じ感を抱いてしまう人もいるかもしれませんが、本作の肝はそこではありません。

『SING/シング』はタイトルの通り、まさに“歌”がポイント!

動物たちが、歌ったり演奏したりとパフォーマンスしてくれるのですが、それらのシーンに世界中でヒットしてきた古今東西の楽曲たちが60曲以上採用されているのです。洋楽に詳しくない人も「あ、この曲聞いたことある!」と思えるようなヒットナンバー目白押しの変わったアニメ映画なのです。

ちなみに日本からもきゃりーぱみゅぱみゅさんのヒット曲、「にんじゃりばんばん」や「きらきらキラー」が採用されています。

海外でもこうして日本のアーティストが評価されているのは、嬉しい話ですよね。

日本だけ!?日本語吹き替えにのみ独自の試みを採用

そんな題材なだけに「どんな楽曲が採用されるのかなー」と楽しみにしていた人も多いでしょう。しかし、そういう人にこそ「えっ!?」と思わせるニュースが先日飛び込んできました。

なんと日本語吹き替え版のみ、セリフに加えて一部楽曲の吹き替えまでも、実施されることが発表されたのです!

しかも世界で唯一、日本版のみ特別に許諾を得ての試みだそう。

海外では、原曲のアーティストの音源そのままが活用されているだけに、アーティストの声そのものを期待していた人にはちょっと戸惑わずにはいられない改編ともいえます。

これもイルミネーションの戦略か!?

ただ一方で、この試みに対する日本版制作の布陣は、演出には三間雅文さん、吹き替え版音楽プロデューサーに蔦谷好位置さん、日本語歌詞監修にいしわたり淳治さんという、音楽界の第一線で活躍する方々が務めることも発表されています。

キャラクターの吹き替え役にもスキマスイッチの大橋卓弥さんや元宝塚歌劇団の大地真央さん、歌ウマ芸人でもあるトレンディエンジェルの斉藤司さんなど、歌唱力重視のキャスティングがなされています。

今回のローカライズに対して、制作側もガチで日本語吹き替え版も傑作にしようという意気込みが感じられる状態となっているわけです。

こうなってくると、日本の原曲を聞きたい派は我慢するしかないのか?

といえば、しっかり字幕版も用意されるようで、そちらはもちろん海外準拠の音源になる模様。あとは、字幕版と吹き替え版で明確に、住み分けができるようしっかりスクリーン数を割いてくれれば問題なしといったところでしょうか。

ただ、その試み事態にすでに見事だな、と思う部分もあります。

字幕版と吹き替え版に明確な見どころの違いがある分、どちらもチェックしておかないとなぁ、という変わり者も一定数居るでしょう(私はここ)。

また、一方のバージョンを観て良かったなぁと思った人で、もう片方のバージョンも観たくなる、ということもあるでしょう。一人のお客さんに対して2回分の鑑賞意義を与えるというのは、これもまた映画のリピーター施策のひとつといえるでしょう。

昨今は、TVアニメ映画などの週替わりの来場者特典や、応援上映のような参加型イベントの実施、『君の名は。』のIMAX版上映や英語詞版の上映など、アニメ映画では複数回劇場に訪れてもらう試みであるリピーター施策が行われております。

そんな中で「字幕版」と「吹替版」という従来からある当たり前の2バージョンを明確に差別化するだけでもリピーター施策にできてしまうという『SING/シング』の試みには、なるほど! と思わされてしまいました。

日本公開は’17年3月17日。ついに来月に迫ってまいりました。

あとは、『ミニオンズ』『ペット』に続いて本作も数十億円に達するヒットになるかどうかのみ。

作品のストーリーに限らず、「字幕版」と「吹替版」の差別化という斬新な試みが、興行結果にどのような影響をもたらすのか?

そういった点にも注目して、この映画を深く観賞してみるとオモシロイ発見があるかもしれません!

(Edit&Text/ネジムラ89


映画『SING/シング』公式サイト
©Universal Studios.

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