徐々に秋の夜長を楽しめるようになったこの時期、皆さんはどのようにお過ごしだろうか。
私は、アニメを見て楽しんでいる。遅くまで一人遊びで時間を潰し、放送の時間がくると一人でエンディングを迎える作品の余韻にひたりつつ、まだ少し暑い室内で一人寝床につく。そして一人で迎えた朝には……あれ? 急に目から汗が……。
とまぁ、私の話はこの辺にして。アニメの移り代わりのこの時期には、寂しくもあり嬉しくもある、この時期ならではの少し不思議な時間が流れている。
新作アニメの情報をチェックしていた際、ふと気づいた……いや、嘘だ、申し訳ない。この時期に関係なく少し前から気になっていたのが、それは囲碁・将棋、水泳、戦車など、あまりフォーカスされてこなかったジャンルの台頭が目立ってきたことである。
秋アニメの中でも、将棋を題材にした『3月のライオン 第2シリーズ』や、サイドカーレースに励む女子高生を描いた『つうかあ』があり、アクションといった定番のジャンルに負けない注目度を集めていてる。
人気の理由は様々だと思うが、やはり各ジャンルが素晴らしい魅力を持っているからこそ我々視聴者は惹きつけらてしまうのだろう。そこで今回は、多くの人の心を鷲掴みにするであろうアニメの新ジャンルを予想し、まだ見ぬ流行のビッグウェーブを共に先取りしていきたい。
およそ5gのシャトルに、全ての思いを乗せて
近年、熱を帯び始めているスポーツのひとつはテニスだろう。錦織圭選手を筆頭に、杉田祐一選手やダニエル太郎選手、女子では大坂なおみ選手や土居美咲選手など、日本勢の躍進がピックアップされている。
アニメにおいても、プロを目指す少年のリアルな日々が描かれた『ベイビーステップ』が、NHKにて2シーズンに渡り放送され、多くの視聴者の心を掴んだ。
しかし、同じラケットを使う競技ならバドミントンも負けてはいない。
テニスよりもさらに狭いコートの中で繰り広げられる、わずか5gのシャトルが行き交うラリーの応酬は、観客の目をくぎづけにする。きっとアニメーションにすれば、迫力ある描写の連続となることだろう。
週刊少年マガジンでは咲香里先生によるバドミントンマンガ『スマッシュ!』が約4年間連載されていて、数々のアツいシーンを読者に届けてくれた。
同作品に感化された当時学生だった私は、バドミン部に入部……してはいないが、休み時間に学校の備品を拝借して遊んだものだった。白熱の試合、友情、恋愛と、多様な展開を演出できるこのスポーツが、アニメとして我々のもとに届けられる日はそう遠くないのではないだろうか。
学園ドラマの新境地を切り拓く
どんなに急いで走ったとしても、魚をくわえたどら猫、ではなく食パンくわえた女の子には出会えない。不良に絡まれた女性を助けようとしても、返り討ちにあい女性から蔑んだ目で見られるのがオチ。いや、違う。別に私のリアルの話をしたいのではない。
私が言いたいのは、リアルでは中々行らない、運命的な出会いや恋愛を見せてくれるのが、マンガ・アニメの良さであるということ。そして、その舞台の新境地として、定時制に通う学生を描いた作品はどうだろうかということだ。
特にオススメしたのが、佐々木ミノル先生が手掛けている『中卒労働者(ワーカー)から始める高校生』という作品のアニメ化だ。
妹との生活のため中学卒業とともに働き出した主人公の青年を中心に、定時制の学校での日々を描いた同作品。これまでの学生生活のアニメ化とは一味違う、様々な年齢の「同級生」とともに過ごす日々は、きっとアニメファンの心に新しい考え方を芽生えさせてくれることだろう。
残念ながら、同作品にはパンをくわえた少女の登場はないが、いつもと同じようで少し違う、そんな学園ドラマをぜひ制作してほしい。
“GUN”のみで全てが決まる世界を見てみたい
スポーツ、学園生活ときたところで、やはり外せないジャンルはアクションだろう。
ただ、従来のアクションとは一味違うものはなにか。そう考えた際に思いついたのが“シューティングアクション”だ。
『ブラックラグーン』のようにメインキャラが銃を扱うもの、また『青春×機関銃』のようにサバゲーを舞台に繰り広げられた作品は過去にあった。ただし、命を取り合う戦いを「銃」だけで繰り広げる作品はなかったように思う。
オーソドックスな一丁拳銃を使う主人公に対し、様々な形状や機能を有する銃を使って襲う猛者たちとの戦い、ベタだけどなんだか心をくすぐられる作品を私は渇望する。願わくば、主人公は女性で、敵も女性で、仲間も女性で、そして……、いや、なんでもない。
刀と並んで武器の代表格である“GUN”の登場を、私は心待ちにしている。
きっと私が知らないだけで、世の中には魅力溢れるジャンルがもっとたくさんあるのだろう。ただ、世の中は広くても「私個人の世界」はとても狭くて閉鎖的なもの。広げようにも一人の力では限界があり、最終的に「いつものやつ」で収まってしまうことも少なくない。
私の寂しい人生に彩りを、なんて大袈裟なことを言う前にもっと周りとコミュニケーションを取れと言われればそれまでなのだが、心を強く惹かれているマンガやアニメ、そしてゲームを通じて、今後も少しずつ知見を広げていきたいと思う。
(Edit&Text/哲太)