春アニメ『アルテ』は女性の社会進出を扱った作品です。
<画像引用元:http://arte-anime.com/ より引用掲載 Ⓒ大久保圭/コアミックス,アルテ製作委員会>
これは現代でも社会問題となっていますよね。日本でも、この問題は大きく取り上げられ改善が進められています。しかし、ヨーロッパの方から見れば、まだまだ日本女性の社会進出は遅れていると言えるでしょう。
そんなヨーロッパでも、昔は女性が職場に入ってくるなんてありえない時代がありました。
『アルテ』は、そんな時代においても負けずに働いていく女性主人公の物語です。
今回は女性の社会進出を扱った物語である『アルテ』が、どんな作品なのかを説明していきます。
芸術の時代に生きる画家の物語『アルテ』はどんな話?
<画像引用元:http://arte-anime.com/story/n02/ より引用掲載 Ⓒ大久保圭/コアミックス,アルテ製作委員会>
『アルテ』の舞台は16世紀初頭のフィレンツェです。この時代のフィレンツェはルネサンス文化の中心地であり、芸術の町として栄えていました。
また、舞台である16世紀はラファエロ、ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチなどの現代でも知られる有名な芸術家たちが活躍した時代でもあります。
本作は、歴史上、最も芸術活動が盛んだったとも言える時代において、主人公・アルテが画家を目指す物語です。
そんな芸術の時代に、アルテは裕福じゃないものの貴族の娘に産まれます。この時代の貴族の娘は、男性に気に入られるためのスキルを身に付け、結婚し家庭に入ることが幸せであるとされていました。
絵を描くことが大好きだったアルテは、絵にのめり込んでいくのですが、結婚を心配した母に絵を描くことを反対されてしまいます。母と衝突する彼女でしたが、唯一自身の味方であった父が亡くなり、本格的に結婚することを勧められ……。ついにアルテは画家になるため家を飛び出す決意します。
<画像引用元:http://arte-anime.com/story/n01/ より引用掲載 Ⓒ大久保圭/コアミックス,アルテ製作委員会>
どこかの工房に弟子入りし、生きていこうと考えたアルテでしたが、この時代の画家とは男性がなる職業であったため上手くいきませんでした。女性であるアルテは描いた絵の技量も見てもらえず門前払いをされてしまうのです。
どの工房へ行っても「女のくせに何言ってんだ」「絵なんて見るまでもねぇ」「仕事の邪魔なんだよ」などと受け入れてもらえません。
そんな中、アルテは偶然にも、まだ弟子を取っていない工房の親方レオに出会います。親方の中でも変わり者であったレオも最初は彼女を弟子にするつもりはありませんでした。しかし、アルテの「自分自身の力で生きられる道を目指したい」という言葉を聞き弟子にすることを決めます。
紆余曲折あったものの無事、レオの弟子になったアルテですが、女性であると周囲からは疎まれ様々の問題に直面していくことに……。
果たして、アルテはこれらの逆境を乗り越え、画家になることができるのでしょうか。
男女の壁を乗り越えて行く!! 逆境に負けない主人公「アルテ」とは?
<画像引用元:http://arte-anime.com/story/n02/ より引用掲載 Ⓒ大久保圭/コアミックス,アルテ製作委員会>
『アルテ』は、男性社会の中、女性1人で生きていく物語です。この時代の女性は男性より劣った教育、男性より簡単な仕事など不遇な扱いを受けていました。
本作では、そんな冷遇されていた女性たちの姿が多く描かれています。アルテ自身も、新しい仕事や現場では、差別を受けることも……。
そんな中、男よりも努力し、大きな成果を上げようとする彼女に胸を打たれてしまいます。
この物語を観ていると、「女だからと言って一つ下に見るんじゃね」という心の叫びが聞こえてくるようです。
『アルテ』は男性社会で力強く生きる女性の姿を魅せてくれるアニメだと言えるでしょう。
<画像引用元:http://arte-anime.com/story/n01/ より引用掲載 Ⓒ大久保圭/コアミックス,アルテ製作委員会>
男性社会で生きていくため、アルテは非常に負けず嫌いな性格をしており、どんな逆境に陥ってもへこたれたりしません。そのため、作品のテーマが重たいのにも関わらず、サッパリとした気持ちで物語を楽しめます。
そんなアルテは「女だから弟子にはできない」と言われると、その場で髪を切り落とし、さらには胸をナイフで削ぎ落そうとするアグレッシブな一面も!? また、女性には大変だろうから手伝ってやろうという善意にも、女扱いをするなと頑張ってしまう一面も魅せます。時には男性と混じってスポーツまですることも……。
彼女は、こんなにも男勝りなキャラですが、女性らしく恋に揺れる一面も魅せます。恋に落ち仕事が疎かになってしまう中、仕事か恋かと揺れるアルテには視聴者もドキドキしてしまうことでしょう。
恋か、仕事か、彼女らしい答えを見つけることはできるのでしょうか。続きが非常に楽しみですね。
描写が細かい!! 生活の中に時代を感じられるシーンがたくさんある
<画像引用元:http://arte-anime.com/story/n02/ より引用掲載 Ⓒ大久保圭/コアミックス,アルテ製作委員会>
『アルテ』では、時代を感じられるシーンがたくさん登場します。
例えば、絵を描く画材です。本作には現代でもよく見られる紙やキャンバスも登場しますが、板絵も登場します。
板絵とは、木の板に描いた絵のことであり、キャンバスが大きく普及するまではよく使用されていた画材だそうです。ただこの板絵は、絵を書く前に下処理をしなければならず、非常に面倒だったみたいですね。
『アルテ』のエピソードにも、弟子入りする際の試験として、数十枚の板の下処理をするように言いつけられます。アルテは見事やり遂げますが、疲労のあまり気絶してしまうほどの大変な作業です。昔の画家たちは、絵を書くためにこんなに大変な準備をしていたのかと驚いてしまうでしょう。
細かい部分では、洗濯などが時代を感じられる描写として登場します。これは生活のワンシーンになるのですが、洗濯物を大きな釜に入れ、洗剤と一緒に煮沸し洗浄していました。これは違う時代の物語なのだと強く感じさせてくれるシーンではないでしょうか。
『アルテ』には、他にも細かい描写がたくさん登場します。
・パンは家で生地を作りパン屋で焼いてもらう
・膝丈以上の長い靴、被り物、スカーフなど見慣れない服装
・石造りの町並み
・土器に保管している画材、簡素な食器
などなど……。注意してみれば他にもたくさんあるでしょう。みなさんも『アルテ』を視聴し、中世の生活風景を探してみてはいかがですか。
――どうですか、『アルテ』に興味を持っていただけたでしょうか。
アルテの性格は、この時代に生きる女性と言うよりも、現代に生きる女性の性格を連想させられます。彼女の性格はあまり中世らしいと言えませんが、この点が逆に視聴者を物語の世界へと引き込む要素と言えるでしょう。
また、『アルテ』は
・主人公が画家を目指す
・社会の女性差別と戦う
・仕事と恋愛の間での苦悩
と3つの要素が入った物語となっています。どの要素も非常に濃い作品となっていますので、少しでも興味を持った方はぜひ、『アルテ』を視聴してみてください。
(Edit&Text/天乃ひる)
Ⓒ大久保圭/コアミックス,アルテ製作委員会