映画館の幕間の時間に、まもなく公開予定のアニメーション映画の予告映像が流れるのは定番だと思うのですが、先日そんな予告映像を観て、久しぶりにギョッとする体験をしました。

 その予告映像というのがこちら。

 女の子がひたすら歩いている映像に曲が流れるだけ……というかなり挑戦的な映像となっています。

 特報ということで、内容を把握してもらったりやどんな魅力があるのかというところまで詳しく観客に掴んでもらうのではなく、作品が公開されることに対して引っ掛かりを作るための映像ではあるのですが、なかなか特報でも観たことがない試みだったのでビックリしてしまいました。

 このアニメーション映画、『あした世界が終わるとしても』はどんな作品なのでしょうか?

『あした世界が終るとしても』とはどんなアニメ映画?

 本作『あした世界が終るとしても』は、岩井俊二監督の『花とアリス殺人事件』でCGディレクターを務めた櫻木優平さんが、監督そして脚本も務める長編アニメーション映画です。櫻木優平さんといえば、2018年秋現在放送中のTVアニメ『イングレス』でも監督を務めていることもあり、特に今ホットな人物の一人です。

 ストーリーは、幼いころに母を亡くした青年の真(シン)と、そんな彼を見守ってきた、幼なじみの琴莉(コトリ)のふたりの前に、突然、もうひとつの日本から、もうひとりの「僕」が現れる……という意味深なタイトルの由来とのつながりも見えない内容しか明らかになっていません。

 ちなみに、この琴莉ちゃんというのが、映像にも使われていた女の子です。映画の中ではどんな立ち回りを担うキャラクターなのかも気になるところです。不穏なタイトルなだけに平和的な映像とは反面、悲劇が待ち受けているのではないかと心配になります。

楽曲に注目!あいみょんさんががっつりタイアップ!

 今回挿入歌として起用されている曲は、あいみょんさんの「ら、のはなし」

 あいみょんさんといえば今若者の間で注目を浴びているシンガーソングライター。あいみょんさんがアニメーション映画のタイアップを務めるのは今回が初めてとなっています。実は今回の『あした世界が終わるとしても』では、挿入歌だけでなく主題歌を務めることも明らかになっています。君の名は。』のRADWIMPS、『君の膵臓をたべたい』のsumikaなど、近年のアニメーション映画の流行でもある、話題のミュージシャンに映画の楽曲をガッツリ取り組んでもらうという流れを汲んだ一作でもあるということで、ヒットに期待がかかります。

このセルルックCGを担当するのはクラフタースタジオ

 この可愛い琴莉ちゃんの映像の制作を担当しているスタジオにも注目です。

 本作のアニメーション制作を担当しているのはクラフタースタジオという会社です。近年の制作物には、TVアニメ『イングレス』の制作はもちろんのこと、あの宮崎駿監督の短編作品『毛虫のボロ』のCGの制作を担当していたり、世界的な人気ゲームアプリケーション『Pokémon GO』の人間キャラクターのプロデュースなど、目覚ましい活躍を見せています。3DCGでありながら手書きアニメーションのような質感を再現したものを“セルルックCG”というのですが、その分野では実力派であるクラフタースタジオのCGを存分に堪能できるという意味でも『あした世界が終わるとしても』は見ものといえるでしょう

 

――ドラえもんやポケモンといったキャラクターIPとは違って、なかなか特報で人の気を引くのが難しいオリジナル作品。そんなオリジナル作品の一つとして、この『あした世界が終わるとしても』の特報は、まさにギョッとさせる体験をくれたので、“オリジナル作品の特報”の正解の一つと言って良いのではないでしょうか。

 本作の公開は2019年1月25日。挑戦的な姿勢を評価していきたいとは思っているので、うまく興行にも成功して欲しいです。この特報がピークの終わりにならないよう、期待していますよ!

(Edit&Text/ネジムラ89)


映画『あした世界が終わるとしても』

©あした世界が終わるとしても

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