破壊力があまりにも強い『あそびあそばせ』、どうしても1話を観てみて欲しい

　『ポプテピピック』、4月から『ヒナまつり』と、毎クール破格のギャグアニメが生まれている2018年。そして7月から始まった平成最後の夏アニメ。

　今期も豊作と言えるようなタイトルが並ぶ中、視聴者の腹筋を崩壊させるアニメが颯爽と現れ話題を呼んでいます。

　その名も、『あそびあそばせ』。

　あまりの面白さに、まだ観てない人にはぜひ観て欲しい、第1話を観た人には漏れなく第2話を観て欲しい、そんな想いを込めてこのヤバいアニメを紹介したいと思います！

美少女たちの秘められた日常を覗ける作品……!?

 　原作はヤングアニマルにて連載している涼川りん著『あそびあそばせ』。2018年7月現在6巻までコミックスが発売されています。

　中学生の美少女3人を主役に据え、様々な遊び（あっち向いてホイやカードゲームなど）を基盤に学校での些細な日々を描いた作品で、アニメ作品1話目では女の子の秘密の花園を覗き込むような気持ちにさせてくれるオープニングで始まります。

　学校生活では低めにツインテールにしている黒髪のロングヘアが特徴で、「清楚」という言葉が人間になったようなキャラデザインの本田華子。

　不慣れな日本語を使いながら友人たちとの交流を図る姿が眩しい金髪碧眼の美少女オリヴィア。

　黒髪のボブヘアに眼鏡、そして大きな胸がコンプレックスになっている、奥ゆかしい存在である野村香純。

　メインビジュアルにはそんな3人が仲良く話し合っている一場面を切り取ったイラストが採用されており、学校や社会で荒んでしまった視聴者の心を癒してくれる枠になってくれるのではないかと、高い期待を背負いながら満を持した1話目の放送となりました。

　そして本編がどのような作品だったかは、原作コミックのCMをご覧いただければすぐに理解出来るかと思います。

　「多発する表紙詐欺」「一見繊細で可愛いマンガを装っているが、その実態は――」そのナレーション通り、美少女を期待して手に取ってしまうと「騙された」と言わざるを得ない内容が繰り広げられている……。あまりにもハードで高度な美少女たちのこの世界。

　一度手にしてしまえば他の作品では満足できない身体にされてしまうというトラップが仕掛けられていて、かなり危険度の高い作品に仕上がっているのです。文字通り、1話を観る前と観た後では自分の中で何かが大きく変わっているのを実感できる作品。

　「我々は何を見せられたのか？」そんな疑問を抱きながら、気付けば延々と作品を1から再生してしまうループに陥ってしまうことでしょう。

　個人的には、美少女アニメへの期待に満ちた胸を核弾頭で荒野にされたような気持になりました。しかし、それがどこか心地いい。そんな危険に満ちた作品が『あそびあそばせ』だったのです……。

スタッフ陣もよく見れば本気、クオリティが約束されたアニメ

　アニメ作品で重視しているものと言えば、皆さんはなんですか？　監督、シリーズ構成、声優、演出、作画、音楽……様々な要素が複雑に絡み合いひとつの作品として仕上がるのがアニメーション。

　『あそびあそばせ』の面白さの理由を追及したとき、このスタッフ層の厚さが、原作を完璧に活かしたギャグアニメとしてのクオリティを担保しているのだと気付くことが出来るのです。

　まず監督ですが、こちらは岸誠二さんが担当しています。演出家としても実績が多い岸誠二さんが監督を務めているからこそ、ギャグアニメで非常に重要になってくる「テンポ感」が一切損なわれず、絶え間なく噴飯してしまう作品になっているのだと言えそうです。ちなみに岸監督が手掛けた他のアニメ作品ですが、『人類は衰退しました』、『暗殺教室』、『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』などで、監督と演出家としての手腕を実感することが出来るのではないでしょうか。また『あそびあそばせ』の場合、演出として際立っているのものに“劇伴”があります。シュールな絵面が連続するこのアニメにおいて、「今どのようなシーンかが分かる・強調される」という効果を十分に担えるほど、場面ごとに流れる音楽がハッキリとした表情を持っている劇伴となっているのです。

　そんな高技術が詰まった劇伴なのも音楽スタッフを確認すれば納得、音楽を担当しているのはカプコンを経てフリー活動を行っている甲田雅人さんと言う方で、参加した代表作に『大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ』、『モンスターハンターシリーズ』、アニメ作品には『この素晴らしい世界に祝福を！』などがある有名な作編曲家なのです。

　『モンスターハンター』と言えば、CMなどでお馴染みの「英雄の証」という曲を一度は聴いたことがあるのではないでしょうか。そんな破格の実績がある甲田さんが劇伴を作成している『あそびあそばせ』、流れる音楽に注目して観るのも一興かもしれません。

　ちなみにエンディング楽曲を作成している睦月周平さんという方も、アニソン作品を多く手掛ける新進気鋭の作編曲家として注目されている方で、最近の代表作に『HUGっと！プリキュア』エンディング「HUGっと！未来☆ドリーマー」などがあります。楽曲発売日も待ち遠しい作品と言えますね！

　表紙詐欺、メインビジュアル詐欺、オープニング詐欺……それらが横行した作品こと『あそびあそばせ』、興味を持っていただけたでしょうか？

　キャラが終始かわいく、どれだけ覚悟をしても観終わった後には「騙された」という気持ちになってしまうため、もう観る前から騙されたと思って1話を観て欲しいです。

　今期1推しのこのアニメ、1話無料のネット配信などもありますので、ぜひチェックしてみてください！

（Edit＆Text/三井ハチ ）

TVアニメ「あそびあそばせ」公式サイト
©涼川りん・白泉社／「あそびあそばせ」製作委員会