◆市川のことが好きだと自覚したのはお菓子を隠すために手を握られたとき
最後に、山田が市川を好きだと自覚したのは、原作第2巻「Karte.30 僕は溶かした」で、彼がお菓子を隠すために彼女の手を握った時だと考えられます。
この話では飲食禁止の図書室で山田がチョコレートを食べていたところ、先生が通りがかり、市川が慌てて彼女の手をつかんでお菓子を隠しました。
山田は先生の存在に気づきそちらを見た後、視線を彼へ戻しますが、そこには真剣な顔をして手を握る市川の姿が映ります。その瞬間、彼女は赤面しながら驚きの表情を浮かべていました。
市川が手を離した後、彼女は照れ隠しなのか顔を赤らめながら彼を睨みつけ、明らかに意識し始めています。
しかも、これ以降、市川がほかの女子と仲良くしていると、山田は露骨に嫉妬するようになりました。この山田の反応から考えても、彼女は図書室での出来事をきっかけに、自分の気持ちを自覚したのでしょう。
なお、TVアニメのこのシーンはオリジナルの演出がされています。市川が手を握るまで背景は明るい夕焼けだったのですが、彼が手を離したあとはピンクの背景に変わりました。この背景の変化はファンの間で「山田の心情を表しているみたい」とSNSなどで絶賛されました。
──山田がいつ市川を好きになったのかは明確ではありませんが、ターニングポイントはいくつかあったように見えます。
どの気持ちを好きとするかは人によって違うため、ファンによって解釈が分かれるかもしれませんが、ここで取り上げた3つの場面が2人にとって大きなターニングポイントになったことは間違いないでしょう。
〈文/林星来 @seira_hayashi〉
フリーライターとして活動中。子供の頃から培ってきたアニメ知識を活かして、話題のアニメを中心に執筆。アニメ以外のジャンルでは、葬儀・遺品整理・金融・恋愛などの記事もさまざまなメディアで執筆しています。