アニメギルド枠のショートアニメオムニバス、『ふたばにめ!』内にて放送中の『 超可動ガール1/6』。その主人公・房伊田春人が凄いんです。観れば観るほど、回を重ねるごとに神髄を発揮していきます。
1/6サイズ(約25cm)の美少女フィギュアが動いて喋って結婚してくれるという全アニオタの妄想展開を体現する夢のアニメにおいて、その設定を上回る勢いで凄まじい。
何がって、「アニメ愛」が!
このサイトに訪れているということは、アナタもひとかどのアニオタ……。ぜひ、アニオタの鑑・房伊田春人が発した言葉を聴いてください。
「買って良かったーー!!」
作中アニメ『少女→惑星探査』のフィギュア・ノーナの服が魔改造もナシにキャストオフ可能な仕様である事実を前にして、心の叫び……、ではなく!
身の危険を感じた彼女から機関銃の乱射とミサイルによる爆撃を受け、ほうほうの体で別室に逃げ込んだ際の叫び。
どったんばったん大騒ぎなんてレベルじゃない攻撃を受けた直後に、お気に入りフィギュアが動いて喋ってくれた事実への感謝を噛み締める男なのです。艦これの大和ちゃんフィギュアや島風ちゃんフィギュアから砲撃を受けたとして、この神対応ができるか否かでオタクの本質が図れるのではないでしょうか。
「俺が考えた!!」
彼と同じく硬派なオタク友達・冠成次郎との一幕にて。作品の瑕疵を粗探しして否定的に捉える、斜に構えた友人の態度に、アニオタとしての矜持を解く春人です。
「批判も悪口も立派な楽しみ方のひとつ」と反論され、ヒートアップする議論! 拡散する迷惑と、突き刺さる冷たい視線! 場所はフォーマルなレストラン! ていうかクリスマス!
ノーナの中途半端に人間っぽい外見を成次郎から否定されるも、「遠い彼方の星に降り立ち、そして人間の意志と姿を伝えるためだ!!」とその理由を豪語します。公式設定なのかと問われた瞬間、腹の底から力強く発したのが……、
「いいや! 俺が考えた!!」
なんという。なんというアニメ愛でしょう。作品世界を妄想し、足りない設定は脳内で補い、積極的に愛を醸造する姿勢。全アニオタが見習うべき姿ではないでしょうか。
「君は独りじゃない」
自らの人生がアニメ作品、つまり誰かが考えた虚構であった事実を知り、落胆するノーナへの一言。作品を観た視聴者が、ノーナの冒険と一緒に悲喜こもごもを体験した感動を伝えるその言葉は、正にアニメの存在意義そのもの。
孤独な惑星探査の道中、時には涙を流していた彼女へ「やっと直接言える」と前置きし、作品への、ひいてはノーナへの愛を伝えたのです。
ノーナが家に来てからというもの、女の子が登場するアニメやゲームの一切を絶っているほどの硬派だからこそ成し得る所業です。
筆者もね、大好きな作品を否定されたとき、こう熱く叫べるような男になりたいものですよ。
「いいや! 俺が考えた!!」
(Edit&Text/ヒダマル)
©ÖYSTER /双葉社・「超可動ガール1/6 」製作委員会