◆香をさらった外国人軍隊との戦いで本気を出す

 原作35巻のクロイツ将軍の親衛隊との戦闘でも、獠の本気が見られます。

 クーデターの失敗を獠のせいにして逆恨みするクロイツは親衛隊を使って、海坊主と美樹の結婚式を襲撃。美樹を銃撃して、陽動部隊で獠と海坊主を引きつけている間に香をさらいます。

 獠と海坊主がそれぞれ20人ほど倒した時点で、戦力が4分の1になったと報告を受けてクロイツが驚いていますから、親衛隊は60人近くはいたはずですが、獠と海坊主の最強タッグに次々と倒されていきます。最後は獠が単身で乗り込んで見事クロイツを出し抜いて完勝、香の救出に成功します。

 海坊主や海原との決闘のように苦戦はしていませんが、「高度な訓練を受けている」「本気でかからなきゃならんらしいな」という獠の言葉から、クロイツの親衛隊はかなり手強い相手だったのは間違いなく、本気を出した戦いといえるでしょう。

 何より最後はさらわれた香を救うために本気を出したというのは、実に獠らしいです。

 ──ほかにも、寝込みの女性にちょっかいをかけたり、女性の下着を爆発から守るために獠が本気を出したと思われる場面はあります。むしろ獠の場合、そっち方面で必死な姿を見るほうが多いかもしれません。しかし、純粋な戦いで本気を出したといえるのは、ここで取り上げた3つのシーンだけでしょう。

〈文/諫山就〉

 

※サムネイル画像:Amazon.co.jpより


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