アニメや漫画に登場する珍しい名字。一見、架空のネーミングと思いきや、中には実在する名字があります。次の4つの名字は、実在する珍しい名字の一例です。
◆インパクトの強いアニメ・漫画キャラの名字
マンガやアニメに登場するキャラはインパクトを与えたりキャラクターのイメージに合わせたりするため、珍しい名字がつけられることも少なくありません。中には、初見では読めないものや現実にいるのかと疑ってしまうものもありますが、果たして実在しているのでしょうか?
2017年に出版された『難読珍名「日本人の名字」クイズ』(著:髙信幸男)を元に調べていきます。
●「百目鬼」──字面からおそろしさが伝わる
字面からも由来からもおそろしさが伝わる名字が、「百目鬼」(どうめき・どめき)です。
百目鬼の由来は川が氾濫したときの音とされており、「ごうごう」という音の「どよめき」から、百目鬼という字に「どうめき」の読みかたをあてたと考えられます。
また、治水された現代ならともかく、治水がままならない時代は川の洪水はおそろしいものだったハズ。百目鬼という漢字の構成からも、そのおそろしさが十分伝わってきます。
なお、百目鬼姓は茨城県で多く見られ、『難読珍名「日本人の名字」クイズ』が出版された2017年の時点で全国に約150軒いるようです。
百目鬼姓で有名なアニメキャラといえば、珍しい名字が多く登場する『XXXHOLiC』の「百目鬼静」(どうめきしずか)が挙げられるでしょう。
彼は名字からも連想できるように、目つきが鋭く無口でどこか近寄りがたい雰囲気を感じます。しかし、根は優しく、主人公・四月一日(わたぬき)を気にかけており、彼のことを考えて大学の専攻を決めているほどです。
また、名字の「鬼」という字に反してアヤカシを祓う力があり、作中でも弓を用いてアヤカシを祓っていました。
●「栗花落」──実は古い歴史がある名字だった
『鬼滅の刃』には竈門や不死川など多くの珍しい名字が登場しており、その中でも古い歴史を持つ名字が「栗花落」(つゆり・つゆ)です。
栗花落という名字は、1300年近く前に摂津国に住まう山田左衛門尉真勝という役人が、貴族の藤原豊成の娘・白滝姫に恋をしたことから始まります。真勝は白滝姫へ求婚しますが断られてしまい、哀れに思った第47代淳仁天皇がふたりに歌比べの場を設け、勝者の望みをかなえることにしました。
なお、『難読珍名「日本人の名字」クイズ』が出版された2017年の時点で、栗花落姓は全国で約5軒あるといわれています。
『鬼滅の刃』には、竈門炭治郎の同期である「栗花落カナヲ」(つゆりかなを)が登場しており、原作19巻の大正コソコソ話では、いくつかの候補のなかから自分で名字を選んでいました。
序盤のカナヲは無感情なキャラでしたが、炭治郎とコインの裏表をあてる勝負に敗れてから、自分の感情を表に出すようになり、炭治郎ともいい雰囲気になります。もしかしたら、真勝と白滝姫のエピソードにちなんで、名字がつけられたのかもしれません。
詳しく読む⇒「栗花落」に「毒島」の名字……ホントに存在するの?インパクトの強いアニメ・漫画キャラの名字
◆リアルにあるアニメキャラの「レア名字」
アニメや漫画には1度、耳にしただけでは認識できない聞き慣れない名字や、漢字・響きが現実離れしているカッコイイ名字が出てきます。その中には、リアルにあるレア名字も……。
Webサービス『名字由来net』(https://myoji-yurai.net/)で、名前の由来や日本にその名字の人が何人いるのかも参照にしながら見ていきます。
●当時はあまり話題にならなかった珍しい名字、天道あかね──『らんま1/2』
『らんま1/2』のヒロインあかねをはじめ、その家族の名字である「天道」(テンドウ)は実在します。アニメが放送されている当時(1989年)はまだインターネットが一般に普及する前だったため、あまり話題になりませんでしたが改めて考えるとかなりレアな名字です。
『名字由来net』によれば香川県三野町が発祥のひとつであり、天に通じる道が語源とされています。漢字や響きだけでなく由来もカッコイイこの名字を持つ人は、日本でおよそ260人だそうです。
『らんま1/2』の天道一家のほかには、2013年のアニメ『幻影ヲ駆ケル太陽』にも天道3姉妹が登場します。近年では、2023年にアニメが放送された『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』の主人公が天道輝という氏名でした。
また、2001年のアニメ『7SEEDS』の天道まつり、2002年のアニメ『奇鋼仙女ロウラン』の天道優。さらには、2004年のアニメ『グレネーダー 〜ほほえみの閃士〜』の天道琉朱菜など、アニメ作品でも定期的に登場している名字です。
●まるでポテチの新商品のようなフルネーム、焼塩檸檬──『負けヒロインが多すぎる!』
実際に存在する「焼塩」(ヤキシオ)という名字は、そのレア度からネットでも話題となりました。主人公の温水和彦は彼女のことを「焼塩」(ヤキシオ)と呼んでいますが、あまりに聞き慣れない名字のため何といっているのか分からず、エンディングのキャスト欄で確認した人も多いでしょう。
温水は普通に名字で呼んでいるだけなのですが、それを知らなければ愛称で呼んでいるかのようであり、すごく親しい関係なのかと勘違いしてしまいそうです。しかも、フルネームは焼塩檸檬であり、「焼塩レモン風味」というポテチの新商品があったとしても違和感はありません。
檸檬は1年生ながら陸上部のエースであり、ボーイッシュな風貌と日焼けした健康的な肉体が魅力の女の子です。小麦色の焼けた肌と、水着姿やシャワーシーンで見せる焼けていない塩のように白い肌は、まさに「焼塩」(ヤキシオ)の名字がふさわしいといえるでしょう。
また、負けヒロインの称号にふさわしく、レモンのように酸っぱいながらも爽やかな青春を送っています。単純に珍しいというだけでなく、彼女のイメージにマッチした名字といえるでしょう。
『名字由来net』によれば、「焼塩」(ヤキシオ)を名字に持つ人は全国に10人ほどだそうです。焼塩とは粗塩を煎って作った純白のサラサラした塩であり、江戸時代は石川県の能登半島で盛んだったとのこと。
そのため、「焼塩」(ヤキシオ)姓を持つ人も石川県に多いです。そして、この職業に就いていたり、かつて塩焼場だったところに住んでいたりしたことがルーツとなっています。
「焼塩」(ヤキシオ)という名字にこれまでリアルで出会ったことがある人はおろか、アニメや漫画でも観たことがあるという人は少ないハズです。
詳しく読む⇒リアルにあるアニメキャラの「レア名字4選」──『らんま1/2』のあの一家、ポテチの新商品?……
〈文/アニギャラ☆REW編集部 @anigala01〉
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