アニメで時折見られる作画崩壊。それが発端で、SNSを賑わせることがあります。1979年に放送された『機動戦士ガンダム』でも作画崩壊が多く見られ、放送から45年以上経った今でも伝説の作画崩壊と、SNSで騒がれるエピソードがあります。また『ちびまる子ちゃん』などのアニメでも、おかしな作画ミスがあり、SNSで話題を呼びました。

◆『機動戦士ガンダム』 作画崩壊で伝説となった回

 TVアニメ『機動戦士ガンダム』の第15話「ククルス・ドアンの島」は作画崩壊と作画ミスで有名です。2022年に公開された映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』の会見では、同監督の安彦良和氏も「見るに堪えなかった」と感想を述べるほどでした。

 専用モビルスーツが生まれるきっかけとなった作画崩壊、まるでイリュージョンのような作画ミスとはいったいどのようなものだったのでしょうか。

●作画崩壊でドアン専用ザクが爆誕

 「ククルス・ドアンの島」でドアンが搭乗していたのは普通のザクⅡのはずが、作画崩壊によって全体的にスリムなフォルムとなっていました。さらにザクの頭部は口が尖ったような、アゴがしゃくれているような独特の形に。そして『ククルス・ドアンの島』の映画化に伴って、このような特徴を踏襲した「MS-06Fドアン専用ザク」としてリファインされます。

 ドアンが乗っていたザクの顔の形はザクⅠ、いわゆる旧ザクと呼ばれるものに近いです。しかし、旧ザクにはない動力パイプが装着されていることから正式にはザクⅡとして描かれていたことが分かります。

 しかし、作画崩壊によって妙に鼻の下が伸びているような締まりのないフェイスとなってしまいました。ところがファンの間ではこの機体がドアンザクとして親しまれ、イラストを描いたり市販のガンプラを改造して再現したりする強者モデラーも現れることに。

  映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』では、ついに「MS-06F ドアン専用ザク」としてリファイン。さらに倒した相手の機体から部品を再利用しているという設定が追加され、当時の作画崩壊を生かす工夫がなされました。

 また、それまで不明だった型式もこのときにF型に正式決定。そのため、ドアンは地球降下作戦に参加した後、F型からJ形に換装される前のザクを奪って脱走したのだと考えられます。

 作画崩壊の原因の一つに予算不足もあったそうですが、それによって新しいモビルスーツが爆誕。ドアン専用ザクのガンプラの売上につながったことを考えれば、当時のスタッフの苦労も報われるのではないでしょうか。

●ロランの麦わら帽子イリュージョン

 「ククルス・ドアンの島」のエピソードでは、ロランというアムロと同じくらいの年齢の女の子が登場します。彼女の麦わら帽子も作画ミスによって、まるでイリュージョンのように何回も消えたり現れたりする事態となっていました。

 ロランはほとんどのシーンでヒモの付いた麦わら帽子を首から下げて、背中に背負う形をとっていました。しかし、立っているときには麦わら帽子があったのに、ジオンのザクの砲撃を避けて地面に伏せたシーンではなくなっています。

 爆風で吹っ飛んだのかと思いきや、次のシーンではまた背中に背負っているなど消えたり現れたりする不思議な帽子です。生身の人間がザクにねらわれて逃げている最中、何度も出したり消したりするその鮮やかなテクニックはまるで奇術師。

 また、海辺のシーンでもこの麦わら帽子を使ったイリュージョンが見られました。背中にあった麦わら帽子はアムロをひっぱたくアップのシーンでは頭にかぶっており、次のシーンではまた背中に。

 つまり、アムロにビンタを張る瞬間に反対の手で麦わら帽子をかぶり、一瞬にして再度脱ぐという謎の行動をとっていたことになります。

 この麦わら帽子は特にストーリーにからむものではないため、なくても問題のないアイテムです。そのため、描くのが大変だったことを考えるなら、最初から麦わら帽子がない設定にしたほうが良かったのでは……という疑問をファンに抱かせることになりました。

詳しく読む⇒作画ぶっ壊れで「専用モビルスーツ」や「奇術師」が誕生! 『機動戦士ガンダム』 作画崩壊で伝説となった回とは?

◆ホントにあったまさかの作画ミス

 アニメや漫画の中で稀に見られる作画ミス。その原因は作り手の見落としやうっかりミスなどが挙げられますが、視聴者や読者的には「貴重映像だ」「面白い」と盛り上がることも。

 次の2つの作品も、まさかの作画ミスが見つかりSNSなどで話題になりました。

●分身したまる子のおばあちゃん

 『ちびまる子ちゃん』にも、作画に関する思わぬアクシデントが存在しました。

 問題のシーンが映し出されたのは、20184月に放送された「中野さん、さくら家に泊まる」の巻でのこと。 中野さんを含めたさくら一家は、ちゃぶ台を囲んで団らんのひとときを過ごしていました。

 やがて、父・ヒロシとお姉ちゃん・さきこの間でチャンネル争奪戦が勃発。その流れのなかでおばあちゃんがテレビの横に立ってチャンネルを変えようとするのですが、なぜか友蔵の横にも座ったおばあちゃんの姿が……。つまり、一画面の中で二人のおばあちゃんが同時に映り込む、あり得ない状況が巻き起こったのです。

 この異常事態に、視聴者からは「おばあちゃんの残像だ」「今のは放送事故?」「おばあちゃんが分身してた!」とツッコミを入れるコメントが頻出。

 ちなみに、このハプニングを受けたフジテレビは「作画上のミスです」と回答、謝罪の意を示しました。

●カツオが一瞬で衣装チェンジ

 『サザエさん』にも、思いがけない作画ミスがありました。

 まず取り沙汰されたのが、20225月に放送された「謎のほほえみ美人」でのシーン。

 友人の中島とほほえみ美人について会話するカツオは、ブルーの襟がついた薄い青色の長袖シャツにグレーの短パンを着ていました。

 しかし、中島の回想が挿入されたあと、元のシーンに戻ると、カツオの服がイニシャル入りの黄色い長袖シャツと紺色のパンツに一瞬で変わっていたのです。ちなみに、中島の服はそのまま。予期せぬ衣装チェンジには、驚きの声が上がりました。

 また、201810月に放送された「イクラの足あと」にも、作画の誤りではないかと話題になったシーンがあります。

 そのシーンとは、イクラちゃんがコンクリートを塗ったばかりの立入禁止の駐車場で、靴跡をつけて遊んでいた場面。駐車場の中央付近まで行っていたので、本来ならば戻ってくる際の靴跡がつくはず。

 しかし映像では、行きの靴跡はあるものの、帰りの靴跡が見当たらないのです。このケースに関しては不自然に感じた視聴者も多かったようで、SNSは一時騒然となりました。

詳しく読む⇒「まる子のおばあちゃんが分身」「カツオの体に異変が……」 ホントにあったまさかの“作画ミス”4選

〈文/アニギャラ☆REW編集部 @anigala01

 

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