人気を博したアニメでも、実はBlu-rayが急に発売中止になったり、内容が差し替えられたりするケースも存在します。中には、なぜ発売中止になったのか、公式からアナウンスがないまま数年経っている作品も……。また、作者のデビュー前の問題発言などによって、アニメ化が決まっていたものの、製作が突如中止になった作品もあります。
◆Blu-rayが「発売中止」になったアニメ
今年1月、TVアニメ『ささやくように恋を唄う』のBlu-rayの発売中止が、作品公式Webサイトで告知され、一時、X(旧Twitter)のトレンドに浮上するなど話題となりました。しかし、さまざまな理由でBlu-rayが発売中止になることは、実は珍しくありません。
●『こどものじかん』──アニメの内容と円盤の販売中止の理由は別?
2007年放送の『こどものじかん』は、新任の男性教師と児童たちとの交流を描いた作品で、不登校やLGBTQ、親との死別、教育虐待など、さまざまな問題を扱っています。
小学生が登場する作品とは思えないほど過激なシーンが多く、たとえば、ヒロインの習字作品にきわどい言葉が書かれていたり、男性教師を誘っているかのような言動をしたりする場面も多々あります。
しかし、人気作品であることに変わりはなく、完全予約受注限定商品としてBlu-ray BOX化が計画されていました。
ところが、2011年に発生した東日本大震災の影響でBlu-rayの生産や販売が難しくなってしまい、発売はいったん見送られることになりました。
その後、10年以上経っても公式から発売に関する情報は発表されておらず、今後Blu-rayが発売される可能性は低いと考えられています。
●『ぱすてるメモリーズ』──パロディをしまくった結果……
2019年放送の『ぱすてるメモリーズ』は、スマホゲームが原作のアニメ作品です。
このアニメは「20XX年」の近未来、かつて「オタクの聖地」と呼ばれた街「アキハバラ」を舞台に、オタク文化が衰退してしまった世界を描いています。
同作には、『とっとこハム太郎』や『ドラゴンクエスト』、『ミスター味っ子』、『聖闘士星矢』など、知名度の高い作品のパロディが多く登場します。
中でも、アニメ第1話と第2話で『ご注文はうさぎですか?』のパロディが無許可で使われたことが問題となり、どちらも配信停止となってしまう事態に陥りました。
第1話は修正版が2019年3月26日以降配信されたものの、DVDとBlu-rayの販売は一時中止となりました。
その後、第2話を未収録としたBlu-ray BOXが発売されましたが、第1話放送後の次回予告が第3話に差し替えられるなど、第2話は完全に封印されてしまったのでした。
詳しく読む⇒「諸般の事情」に隠された裏側…… Blu-rayやDVDが「発売中止」になった4つのアニメ
◆製作が中止になった幻のアニメ
毎年たくさんの新作アニメが放映される一方で、信じられないような理由で製作中止になってしまった「幻のアニメ」もあります。多くの関係者の努力も虚しく、日の目を見なかった作品たちと、その驚きの製作中止の理由とは……。
●CLAMP先生の名作に泥を塗る──『東京BABYLON 2021』
CLAMP先生原作の『東京BABYLON』が、2020年11月に『東京BABYLON 2021』のタイトルで2021年より放送されることが発表されました。
同作は呪いや怨霊から人々を守る陰陽師一族の若き当主・皇昴流が、東京で起きる怪奇現象や霊による事件を解決するというストーリー。1990年代初期の作品でありながら、人間が抱える心の闇や介護問題などにも深く切り込む意欲作として、ファンからも期待されていました。
しかし、キャラクターの衣装が某アーティストの着用していたものに似ていると指摘され、「模倣盗用」だったことが発覚。
デザインを担当したアニメ制作会社のGoHandsは、ほかにも多くの模倣盗用をしており「TOKYO BABYLON 2021 PROJECT」は2021年、公式Webサイトに「製作委員会内で協議を重ねました結果、現制作会社との信頼関係の欠如により制作続行は不可能と判断し、【東京BABYLON 2021】プロジェクトは制作中止とさせて頂きます」「その上で、改めてCLAMP先生、製作委員会にて協議の上、全く新たな制作体制で再出発させて頂くこととなりました」と掲載しました。
2025年4月上旬の時点で新たな情報はまだありませんが、ファンのためにも納得のいく作品が放送されることを願うものです。
●デビュー前の発言が問題視される──『二度目の人生を異世界で』
ライトノベル作家・まいん先生原作の『二度目の人生を異世界で』は、小説投稿サイト『小説家になろう』発の人気作品として書籍化、2018年にはアニメ化も決定していました。
しかし、まいん先生がデビュー前からTwitter(現X)でさまざまな著名人への問題発言や差別的発言を書き込んでいたことが注目され、キャスティングされた声優4人が降板を発表。そして、アニメ製作中止という事態を招きました。
2018年6月公開の『日刊サイゾー』の「暴言連発で『二度目の人生を異世界で』アニメ化を吹き飛ばした原作者・まいん氏の意外な素顔」という記事では、まいん先生を知るメディア関係者に取材し「実際に会うと攻撃的ではなく、ちょっと自信のなさそうな人」「“バカ売れ”したことに戸惑っている様子もあって、人から注目される存在に慣れていなかったのでは」との声が掲載されました。
騒動後、まいん先生はTwitterのアカウントを削除し、小説は打ち切りとなっています。
詳しく読む⇒製作が中止になった幻のアニメ4選 「作者の問題発言がきっかけに……」「キャラクターの衣装が発端に……」ほか
〈文/アニギャラ☆REW編集部〉
※サムネイル画像:TVアニメ『こどもの時間』公式Webサイトより © 私屋カヲル/こどものじかん製作委員会 © 私屋カヲル/こじか製作委員会 © 私屋カヲル/こじかOVA製作委員会