アニメや漫画では、ビジュアルや名前から主人公だと思っていたキャラクターが、実はサブキャラだったということがあります。作品の顔ともいえる存在感を放ちながらも、主役の座は別の人物にあったというケースは少なくありません。また、タイトルに含まれる「999」や「1/2」といった数字にも、作者の思いや物語の本質が込められていることがあります。

◆実は主人公じゃなかったキャラ

 アニメが放送される前のキービジュアルやPVなどで、ひときわ目を引くキャラクターを主人公と思ってしまいがちですが、実はその人物が主人公ではなく、主人公は別にいたというケースがあります。

●てっきり主人公の名前かと思ったら……──AKIRA

 大友克洋先生原作の『AKIRA』は、タイトルが人名とも取れるためか、「AKIRA」という人物が主人公だと思われがちで、なおかつ実際の主人公・金田正太郎のことを「AKIRA」だと勘違いしている人も一定数いるのだとか。

 もちろんコミックスをしっかり読めば誤解はすぐに解けますが、もう一人の主人公・島鉄雄も「AKIRA」だと思われることが多く、その理由はコミックスや劇場版などのキービジュアルで彼らが大きく描かれているからかもしれません。

 ちなみに「AKIRA」とは同作の鍵を握る「アキラ」という少年のことで、「28号」とも呼ばれています。

●メディア展開はヒロインばかりが目立つ?──BLACK LAGOON

 広江礼威先生原作の『BLACK LAGOON』は、ヒロインの「レヴィ」ことレベッカ・リーがメディア展開でフォーカスされることが多いため、主人公だと思われがちです。

 実際の主人公は「ロック」こと岡島緑郎という青年で、レヴィも作中で多く活躍することから、ファンの間では「W主人公と言っても差し支えないのではないか?」ともいわれています。

 また、同作の主人公が男性ではないと誤解されている理由として、『【推しの子】』と同じくレヴィがコミックス第1巻の表紙を飾っていることと、ほかの女性キャラたちが表紙に選ばれる場合が多いことが考えられます。

 ちなみに2010年出版の『サンデーGX10月号では、『名探偵コナン』の原作者・青山剛昌先生がレヴィのピンナップを描き、話題となりました。

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◆タイトルに隠された“数字”のヒミツ

 『サイボーグ009』や『エリア88』、近年でいえば『アイシールド21』『モブサイコ100』など……。タイトルに“数字”が含まれる作品は、決して珍しくありません。その中には、意外な意図や作者自身の想いが込められている場合も。次の作品のタイトルにある“数字”にも、さまざまな意味が織り込まれていました。

●「999」に込められた意味──『銀河鉄道999

 星野鉄郎と謎の女性メーテルの宇宙を巡る旅を描いた『銀河鉄道999』。宇宙SFマンガの金字塔として、40年以上にわたり読者に愛されてきた作品です。そんな本作のタイトルにある“999”には、作者のある思いが込められていました。

 作者の松本零士先生は、“999”の意味について「『999』は青春で、これが『1000』になると大人になってしまう。そうした思いを、私は心の中にずっと持っていたので『999』にしたんです」と述べています(舞台『銀河鉄道999 さよならメーテル~僕の永遠』公開取材)。

 作中で“1000”といえば、「1000年女王」と呼ばれるラー・アンドロメダ・プロメシューム。“1000”になると、大人になってしまう。だからその一歩手前、未完成のままで永遠の青春を続けていきたいという思いが、“999”には込められていたのです。

 また、インタビューでは、「『銀河鉄道999』も『宇宙海賊キャプテンハーロック』『クイーン・エメラルダス』も一つの物語。一つになって終わったときに私の人生も終わる。まだ、最後は描きたくない」と明かしたことも(MANTANWEB「ビッグに聞く」より)。松本先生の作品愛と情熱が詰まった、意外な由来が明らかになりました。

●「1/2」の由来とは?──『らんま1/2

 高橋留美子先生によるドタバタ格闘ラブコメディー『らんま1/2』。その人気は連載開始から35年以上経った現在も衰えることを知らず。今年の105日からは、完全新作アニメの放送が始まりました。そんな『らんま1/2』のタイトルにある“1/2”には、どういった意味があるのでしょうか。

 本作の主人公は、呪泉郷の呪いによって水をかぶると女性に変わり、お湯をかけると男性に戻る体質になってしまった早乙女乱馬。“1/2”の意味について明記はされていませんが、この乱馬の性別問題をさしていると考えられます。

 また、作中には乱馬のほかにも、水をかけるとパンダになる早乙女玄馬や、猫に変身するシャンプー、黒豚に様変わりする響良牙、アヒルに変わるムース、怪物に変貌するパンスト太郎が登場。二つの生物を行き来するキャラクターが複数描かれており、それらの設定にも由来しているのでしょう。

 高橋先生は、『うる星やつら』の藤波竜之介や潮渡渚などジェンダーが曖昧なキャラクターを描き続けてきました。『らんま1/2』にもそれは受け継がれており、そのジェンダーフリーな作風を“1/2”の数字に反映させたのかもしれません。

詳しく読む⇒『銀河鉄道999』『らんま1/2』他……タイトルに隠された“数字”のヒミツ「999は未完成の意味?」「1/2は?」

〈文/アニギャラ☆REW編集部〉

 

※サムネイル画像:『「BLACK LAGOON」第2巻(出版社:小学館)』

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