漫画やアニメで描かれたフィクションが、現実世界で起きるできごとを予言したかのような結果になることがあります。ときに「ただの偶然」では片づけられないほど、未来のできごとが詳細に描かれていた作品が存在します。
◆『ジョジョ』と『AKIRA』は予言の書?
『ジョジョの奇妙な冒険』の「Part3 スターダストクルセイダース」では、2001年にアメリカで起きた「同時多発テロ」を予言するような描写があります。
承太郎たちをねらうスタンド使い「オインゴ・ボインゴ兄弟」の弟・ボインゴは、持ち歩いている漫画を通して未来を予知する「トト神」というスタンドの持ち主です。
ボインゴの漫画には、「911」と書かれた服を着た男が命を落とすというシーンが描かれました。男の「おっ10時半だ!」というセリフは、世界貿易センタービルの北棟が崩壊した午前10時28分とほぼ同じです。
また、そのシーンの背景には、笑っている飛行機のイラストとイスラムのシンボルである三日月が描かれていました。
「同時多発テロ」の発生日、発生時刻、犯人の人種・思想、犯行手段のすべてが偶然とは思えないレベルで一致しています。
未来を予知ができる、ボインゴのスタンド「トト神」が現実世界で発動したのか、それとも『ジョジョの奇妙な冒険』自体に未来を予知する能力があったのか……。真相は闇の中です。
また、崩壊した東京が、「ネオ東京」へと生まれ変わる未来を描いた『AKIRA』には、「2020年 東京オリンピック」に関する詳細な予言が含まれていました。
復興を目指すネオ東京で、2020年にオリンピックが開催されるという描写は、現実世界の「2020年 東京オリンピック」を予見しているかのようです。連載は1982年から1990年だったため、約30年も先の未来を予見していたことになります。
多くの候補国の中から東京が選ばれ、2020年という開催年が一致するのは、ただの偶然で片づけるには少々違和感があるほどです。
また、作中に登場した「開催まであと413日」と書かれた看板の横にある「中止だ中止」との落書きは、コロナ禍での東京オリンピック開催に反対する声があったことと重なります。
ちなみに現実世界では、「東京オリンピック」開催予定日だった2020年7月24日の413日前、2019年6月7日は「裏金問題」が話題になった時期です。アニメ映画版の同シーンでは、看板の文字は「開催迄あと147日」ですが、現実世界の147日前である2020年2月28日は、WHOが新型コロナウイルス感染症の危険度を最高レベルの「非常に高い」に引き上げた日でした。
原作者・大友克洋先生は、紫綬褒章を受章した際、これらの類似点について「全然知らなかったです」「偶然ですから気にしないでください」と語っていますが、その真相は謎に包まれています。
──フィクションが現実となる不思議な現象。それは「未来予知」なのか、「単なる偶然」なのかは誰にも証明できません。もしかすると、漫画作品の持つ不思議な力が、読者だけに伝わる形で「警告」をしてくれているのかもしれません。
〈文/相模玲司〉
《相模玲司》
大学卒業後、編集プロダクションに入社。メンズファッショ誌の編集に従事したのち、フリーランスの編集・ライターとして独立。アニメ・漫画関連のムック本の制作や、週刊誌のWeb版の取材記事の作成に携わる。
※サムネイル画像:Amazonより 『「ジョジョの奇妙な冒険 第3部 スターダストクルセイダース」第2巻(出版社:集英社)』



