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 アニメやマンガの名ゼリフには、ネットやバラエティ番組などでよく使われているものもあります。しかし、ネットミームやゲームで1部切り取った場面が拡散されたことで、中には間違って伝えられたり別のキャラクターの言葉なのに有名キャラが言ったことにされてしまったりしたフレーズも存在します。

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◆あの名ゼリフは実はネットで改変されたもの

 「何が嫌いかより何が好きかで自分を語れよ」というフレーズは、ネット上で『ONE PIECE』のルフィによる発言だと誤認されることが多くあります。しかし、実際には西公平先生の漫画『ツギハギ漂流作家』の主人公・吉備真備(きびのまきび)が発したセリフです。

 誤解の大きな要因は、吉備の外見がルフィに似ていたことにあります。匿名掲示板などで、ルフィがこのセリフを言っているかのようなコラ画像やアスキーアートが拡散された結果、原作を読んでいない層を中心に「ルフィの名言」として定着してしまいました。

 この混同は深刻化し、2014年発売のゲーム『ジェイスターズ ビクトリーバーサス』では、実際にルフィのボイスとして収録される事態にまで発展しました。

 のちにアップデートで削除されましたが、情報の切り取りや拡散が、公式に近い媒体ですら事実を歪めてしまう危険性を示唆した出来事といえます。

 また、『機動戦士ガンダム』のアムロ・レイによる「殴ったね、親父にもぶたれたことないのに」という有名なフレーズも、実は正確な引用ではありません。

 実際の劇中では、一度目に殴られた際に「な、殴ったね」と発し、二度目に殴られた際に「二度もぶった……親父にもぶたれたことないのに」と二段階に分けて発言しています。

 ネットやテレビで使われるうちに、テンポを重視して二つのセリフが統合され、アムロの「甘え」を象徴するフレーズとして広まったと考えられます。

 しかし、当時のアムロは民間人ながら過酷な戦場に駆り出された15歳の少年であり、大人たちからの過度なプレッシャーに晒されていました。

 この発言は、たんなるわがままではなく、ブライトの厳しい叱咤や周囲の激励を受け、最終的に「悔しいけど、僕は男なんだな」と再び戦う決意を固めるまでの、重厚な人間ドラマの一部なのです。

 

 ──X(旧Twitter)などのSNSの普及により、キャラが本来発したセリフが改変され広まることは、今後もあり得るでしょう。

 Xのタイムラインを見ていると時には、悪意を持ったコラ画像などが流れてきます。その中には、精巧に作られたものがあり、本当にキャラが発したセリフと勘違いしてしまうものもあります。AIが発展してきた現代では、なおさらだまされる機会が増えてくるといえるでしょう。

 そのため、何が本当で何が間違いか、見極める力が今後さらに必要になってくるといえます。

〈文/相模玲司〉

《相模玲司》

大学卒業後、編集プロダクションに入社。メンズファッショ誌の編集に従事したのち、フリーランスの編集・ライターとして独立。アニメ・漫画関連のムック本の制作や、週刊誌のWeb版でアイドルの取材記事やサブカルチャー記事の作成に携わる。

 

※サムネイル画像:Amazonより 『「機動戦士ガンダム ピューリッツァー ーアムロ・レイは極光の彼方へー」(出版社:KADOKAWA)』

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