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 漫画の歴史を振り返ると、当初の予定とは裏腹に、脇役から物語の「顔」へと上り詰めたキャラクターたちが存在します。なぜ彼らは予定を変更してまで物語に残り、読者を夢中にさせる存在となったのでしょうか? そこには、作者と編集者の鋭い攻防や、キャラクターが放つ予想外の魅力が隠されていました。

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◆アラレちゃんは脇役、飛影はただの適役で終わる予定だった

 『Dr.スランプ』は、当初は異なるストーリーで、主人公もアラレではありませんでした。

 202438日に『東京新聞』が報じた記事「鳥山明さんとの出会いを鳥嶋和彦さんが語る Dr.マシリトはいちばん嫌いなやつを描いてこいで誕生」によれば、当初の構想では則巻千兵衛が主人公で、アラレは1話のみ登場予定だったそう。

 しかし、当時の編集担当だった鳥嶋氏の強い意向によって、アラレを主人公に据えることになったと明かしています。そのアイデアがピタリとハマり、アラレが話す「んちゃ」や「ほよよ」、「キーン」、「バイちゃ」などの、「アラレ語」は社会現象を巻き起こすほどの人気を博しました。

 また、『幽白書』で幽助の敵として蔵馬、剛鬼とともに登場し、霊界との取り引きがきっかけで仲間になった飛影は、元々敵役で終わる予定でした。

 20053月に出版された『幽白書 公式キャラクターズブック 霊界紳士録』(出版社:集英社)に収録されている原作者・冨樫義博先生のインタビューによると、当初は蔵馬だけを仲間入りさせる予定だったそうです。

 ところが、当時の編集担当・高橋氏から「こっち(飛影)じゃない?」と指摘されたことで「あぁこいつもあるのか」と思ったことがきっかけとなり、仲間入りさせるシナリオに変更されたといいます。

 幽助の仲間になってからの飛影の活躍はめざましく、鮮やかな剣術に邪王炎殺拳など強力な技で数々の強敵を打ち倒し、コミックス第7巻と第12巻で行われた2度のキャラクター人気投票では二冠を達成するなど、『幽白書』になくてはならない不動の人気キャラクターとなりました。

 物語後半の魔界編では、魔界三大妖怪の1人である軀との深いつながりや、飛影の生い立ち、邪眼を得た経緯が掘り下げられるなど、幽助に劣らないほど詳しく描かれました。

 

 ──もしアラレが第1話きりの登場で、飛影がただの敵役で終わっていたら、これらの名作が社会現象を巻き起こすことはなかったかもしれません。作者の構想を超えてキャラクターが独り歩きを始めたとき、漫画の歴史を塗り替えるような大ヒット作が誕生するのかもしれません。

〈文/相模玲司〉

《相模玲司》

大学卒業後、編集プロダクションに入社。メンズファッショ誌の編集に従事したのち、フリーランスの編集・ライターとして独立。アニメ・漫画関連のムック本の制作や、週刊誌のWeb版の取材記事の作成に携わる。

 

※サムネイル画像:Amazonより 『「Dr.スランプ」 第1巻(出版社:集英社)』

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