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 現代のアニメ放送ではコンプライアンスの観点から「放送禁止」や「自主規制」の対象になりそうな、衝撃的なエピソードがあります。

 国民的アニメ『ちびまる子ちゃん』では、まる子が不注意から飼育していた熱帯魚を全滅させてしまうという、笑えない失敗談が描かれたことがあります。

 また、『笑ゥせぇるすまん』の第1話では、精神的に追い詰められたエリート部長が赤ちゃん返りするという、あまりに過激なラストシーンが物議を醸しました。

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◆コンプラ的にアウト? 今じゃ放送できないアニメエピソード

 『ちびまる子ちゃん』は、まる子が最後に何か失敗をするのがお決まりのパターンですが、1990年9月9日放送のTVアニメ第36話「「まるちゃん熱帯魚を飼う」の巻」は、笑えるオチとは言い難い、失敗の域を超える内容でした。

 ある日、姉・さきこが友人から熱帯魚を分けてもらい、熱帯魚を飼えることになったまる子は大喜び。

 まる子は親友のたまちゃんにも熱帯魚を見せ、調子に乗った二人はなんと水槽にザリガニを数匹投入。

 そして、別の遊びに夢中になっているうちにザリガニが熱帯魚をすべて捕食し、全滅させてしまったのです。間もなく事実を知ったさきこはまる子に激怒します。

 実は、原作者のさくらももこ先生も1993年出版のエッセイ『たいのおかしら』(出版社:集英社)に収録されている「グッピーの惨劇」で、自らの過失によりグッピーを全滅させた過去があると告白しています。

 当時中学生だったさくら先生はレコードの楽曲を録音するために、雑音をシャットアウトしようと水槽の電源を一時的に切りました。

 しかし、そのことを数日間忘れてしまい、やっと思い出したころにはグッピーが全滅していたのです。

 家族に罵倒されることをおそれたさくら先生は水槽内で病気が流行ったのではないかとウソをついてごまかしたそうです。

 悪意がないとはいえペットを全滅させるエピソードは、コンプライアンスに厳しい現代では放送NGかもしれません。

 また、『笑ゥせぇるすまん』の1989年10月17日放送のTVアニメ第1話「たのもしい顔」は、その過激なオチで視聴者を啞然とさせました。

 会社で部長職を務める頼母雄介は学生時代から誰からも頼りにされるものの、実は周囲からの期待に応えようと疲れ切っていました。

 ある日、頼母が喪黒に悩みを打ち明けると「あなたが安心して甘えられる人を紹介しましょう」と告げられます。

 その後、仕事中に妻が電話で嫁姑問題について愚痴をこぼし、部下が社用車で事故を起こすなどトラブルが続出し、頼母はますます追い詰められます。

 我慢の限界を迎えた頼母は絶叫し、喪黒に助けを求めます。

 優しく受け入れた喪黒は「すばらしい女神を紹介してあげますよ。ドーーーーーーン!」と決めゼリフを口にし、頼母を不思議な空間へと誘います。

 後日、頼母を探しに行った妻子が目にしたのは……ふくよかな中年女性に赤ちゃんのように甘え、生まれたままの姿で抱き合う頼母の姿。

 頼母にはその女性が観音様に見えており、「バブ…バブ…か、かんのんちゃま…」と言って甘え続けるのでした。

 このエピソードはオチが過激すぎたためか、公式YouTubeでも公開されていません。

 

 ──どちらのエピソードも、現代の価値観や放送基準では批判を免れないような内容かもしれません。

 しかし、『ちびまる子ちゃん』のグッピーの悲劇が作者の実体験に基づいていたように、当時のアニメには現実の残酷さや人間の業がストレートに投影されていました。

 公式YouTubeでも公開されていないような「幻の回」が存在することこそが、かつてのアニメが持っていた自由さと、時代とともに変化してきた表現の境界線を物語っているといえるでしょう。

〈文/士隠カンナ〉

《士隠カンナ》

1990年〜2000年代に放送されたアニメに中学・高校の頃にどっぷりとハマり、その後フリー編集・ライターに。主にアニメ・漫画のムック本のブックライターといて活動中。最近のマイブームはもっぱら『ちいかわ』。

 

※サムネイル画像:Amazonより 『「笑ゥせぇるすまん 新装版(6) 因果報酬」(出版社:小学館)』

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