漫画ファンなら誰しも、物語の結末を見届けるまでは死ねないと一度は思ったことがあるはずです。特に、数十年単位で連載が続く伝説的な作品ともなれば、その最終回への期待値は計り知れません。
たとえば、1975年の連載開始から40年以上も読者を魅了し続けている『ガラスの仮面』。作者の美内すずえ先生は、実は30年も前から最終回の構想を完璧に固めているといいます。
一方で、国民的ミステリー『名探偵コナン』も、かつて青山剛昌先生が「100巻」という区切りでの完結を示唆し、大きな話題を呼びました。
しかし、現実にはどちらの作品も、私たちの予想を超えて物語の旅を続けています。作者自らが「終わり」に言及しながらも、なぜ今なお最終回に辿り着かないのか、その舞台裏にあるエピソードを探ってみましょう。
◆『ガラスの仮面』は30年前から最終回が決まってる? 『名探偵コナン』は100巻で終わる予定だった?
1975年に連載を開始し、休載をたびたび挟みながらも40年以上続く人気長編マンガ『ガラスの仮面』。
2018年5月、原作者の美内すずえ先生は、自身のSNSで「『ガラスの仮面』は、必ず最終巻まで描き続けます」と宣言しました。
また、2019年1月に『朝日新聞』の書籍の情報サイト『好書好日』で公開された、「「ガラスの仮面」創作の源はここにあった 美内すずえ先生異業種対談集「見えない力」」という記事で、最終回の内容は30年前から決まっていると明かしています。
美内すずえ先生は、夫が2016年ごろに倒れて要介護5と認定され、介護生活を送っているのだとか。
「頭の中ではもう結論は出ていますし、最終回の内容やページ構成、主人公がどんなことを喋るかも30年くらい前からすべて決まっています」「ただ、なかなかそこに行きつかないんですよ(笑)」「例えば東京から新幹線に乗って、終点の博多まで行くとするじゃないですか。そうすると静岡の辺りで富士山の噴火が始まったとか、米原の辺りで大雪が降って動きませんとか。そうやって今は、あちこちで止まったり、脱線したりしているような状態です」と語っており、まだまだ作中に詰め込みたい内容があるようです。
また、『名探偵コナン』は、原作者の青山剛昌先生が、100巻で終わることを示唆していました。
連載25周年を迎えた2019年に、青山剛昌先生が4月24日放送の日本テレビ系『1周回って知らない話』に出演。取材を行ったタレントの「100巻あたりで物語は動くのか?」との問いに、青山剛昌先生は「100巻だとキリが良い」「もうオチは決まっているからね」と発言したのです。
SNSを中心に「100巻で最終回を迎えるという意味なのか?」「あと4巻ですべてをまとめるならすごすぎる」といった声が出ましたが、2026年2月現在も同作は連載されており、コミックスは第108巻まで出版されています。
ストーリーの都合や編集部との話し合い、ファンの要望など理由は定かではありません。しかし、いまだ見ぬ最終回に、読者の関心は高まるばかりです。
──物語のゴールは決まっていても、そこに至るまでの道中で描きたいエピソードがあふれ出し、時に「脱線」してしまう……。それは作者自身の作品に対する深い愛情と、読者の熱量が引き起こす幸福な誤算といえるのかもしれません。
『名探偵コナン』は既に大台の100巻を超え 、『ガラスの仮面』も完結への強い意志が示されています。
いつか訪れるその時まで、私たちは作者が紡ぎ出す最高のフィナーレを、じっくりと待ち続けようではありませんか。
〈文/相模玲司〉
《相模玲司》
大学卒業後、編集プロダクションに入社。メンズファッショ誌の編集に従事したのち、フリーランスの編集・ライターとして独立。アニメ・漫画関連のムック本の制作や、週刊誌のWeb版でアイドルの取材記事やサブカルチャー記事の作成に携わる。
※サムネイル画像:Amazonより 『「名探偵コナン」第3巻(出版社:小学館)』



