漫画・アニメの舞台となる学校には、とんでもない歌詞の校歌が登場する場合があります。強烈なパワーワードに、インパクトのあるメロディが話題となり、YouTubeで学生が「歌ってみた動画」をあげているものも。

 その中には、メロディが「笑点」のテーマ曲という設定の校歌もあります。まともな感性を持っているなら、入学しても絶対に歌いたくないぶっ飛んだ校歌とは、いったいどのようなものなのでしょうか?

◆「不良の巣窟」にふさわしいクロマティ高校校歌──『魁!!クロマティ高校』

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 クロマティ高校の校歌はエンディングで2回(第19話・第23話)登場しています。

 選りすぐりの不良たちが集まる悪の巣窟だけあって、「喧嘩上等」「背水の陣」などの歌詞が入っており、学校自体が積極的にヤンキーを育てようとしているとしか思えません。

 また、「一球入魂」「国産大砲」など、不良たちが好きそうな四字熟語が多く使われているのも特徴です。

 さらに、驚くほど頭が悪い生徒が集まっているにもかからず、「荒武者」や立派な男子を意味する「益荒男」といった難しい漢字が使われています。

 しかも、「世界に名だたる」「世界にはばたく」など、やたら世界を意識したグローバルな校歌です。

 歌詞を良いようにとると、強くて立派な男になって世界に飛び出そうという内容ですが、「喧嘩上等」という歌詞を入れてしまってはすべて台なしでしょう。

 ワルのメジャーリーグと言われるほど恐れられているクロマティ高校の実情を考えると、日本の恥を世界に広める未来しか見えません。せめて更生してスポーツ選手や格闘家となって、世界で活躍してほしいものです。

◆「笑点のテーマ曲」にカオスな歌詞の開盟学園高校校歌──『SKET DANCE

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 開盟学園高校校歌はコミック17巻の151話に出て来ており、創立20周年記念でスケット団のメンバーが新しい歌詞を付けることになりました。

 メロディが笑点のテーマ曲だったためアニメでは登場しませんが、カオスな歌詞も手伝って話題となり、YouTubeで「歌ってみた動画」があがっていたり、高校のクワイア部が実際に歌っていたりします。

 前半の歌詞は非常にプライドが高い河童の福永が、ホスピタルという病院に骨折で入院したという内容です。後半の歌詞には、ベホマやヒャダルコといったドラゴンクエストの呪文が出てくるうえ、締めは「あっあ~~~…照子♪」と、わけの分からなさでは群を抜いています。

 しかし、笑点の軽快な曲に合わせて歌うと、なぜか楽しい気分になる校歌です。そして、最後の「照子」には死ぬほど笑ったという人が続出しました。

 あまりにふざけた歌詞とメロディのため、これが自分の入学した学校の校歌であったらなら決して歌いたくはありません。しかし、関係ない他校の校歌なら、絶対に歌ってみたくなる不思議な魅力があります。

◆「超能力育成学校」のような歌詞のPK学園校歌──『斉木楠雄のΨ難』

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 PK学園の校歌はアニメ2期の第3x(かい)に、挿入歌として登場しています。なぜか校歌で斉木楠雄が超能力で地球を救っていることが示唆されており、歌詞もヒドイと話題になりました。

 まず、インパクトが強いワードとして登場するのが「左脇腹」です。PK学園が左脇腹町にあるため、校歌の歌詞に地名が入っているのは不思議ではありません。

 しかし、地元が「左脇腹」という町名だったら、絶対に校歌の歌詞に入れるのは避けるでしょう。ただ、燃堂や海藤、灰呂たちが涙を流しながら歌っている様子から、この地域の人はPK学園や左脇腹町にかなりの思い入れ、誇りがあるのかもしれません。

 後半の歌詞を要約すると、未知の力で災難を乗り越える、永遠の青春を過ごしているという内容になります。これは斉木楠雄が日本を壊滅に追いやる大噴火を超能力で抑えようとしており、失敗したら同じ学年をループさせていることを示唆しています。

 PK学園で斉木楠雄が超能者であることを知っているのは、霊能力者の鳥束零太と予知能力がある相卜命、驚くべき推理力を持つ明智透真だけのハズ。校歌を作詞したヨースケ☆とはいったい何者なのでしょうか。

 また、歌詞にある「学ラン」は男子学生の制服なので、男女平等の今のご時世アウトだと思います。もしかしたら、2番もあってそちらの歌詞には「セーラー服」が出るのかもしれません。

 一見すると学園や地元、学ランを讃えているような内容ですが、この校歌に感情を込めて泣きながら歌える燃堂たちの情緒は大丈夫なのか心配になります。

 将来ある高校生なのですから、せめて未知の力ではなく、努力や友情で災難を乗り越えてほしいです。

◆「恋人のデュエット曲」のような桃成高校校歌──『てさぐれ!部活もの すぴんおふ プルプルんシャルムと遊ぼう』

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 てさぐり部のメンバー(キャスト声優)が用意されたメロディーに合わせて、アドリブで歌詞を付ける異色の校歌となっています。

 要約するとイケメンがいっぱいいる桃成高校で、弱いものを犠牲にして強い者が生き残り、生き残った男女2人が愛を確かめ合うというとんでもない内容です。

 校歌に似つかわしくない「監禁」「イケメン」「弱肉強食」といったパワーワードが並んでいるうえ、途中で「Foo」「Fu-Foo」などの合いの手が入ります。終盤は昭和のデュエット曲のように男女パートに分かれ、交互に好意を伝え合う違和感だらけの歌詞です。

 しかし、もともと『てさぐれ!部活もの』シリーズは、声優のアドリブパートが人気でした。下ネタや男女のイチャイチャ妄想、ダジャレなどが連発され、もっとも盛り上がる場面となっています。

 そのため、本編を視聴していたファンなら、桃成高校校歌の歌詞は実にてさぐり部メンバーらしいと感じるでしょう。いや、むしろ校歌ということもあって、がんばって下ネタやダジャレは抑えたんだなと感心している人もいるかもしれません。

 ただ、校歌をリニューアルするにあたって歌詞の作成を一般生徒、しかもてさぐり部に任せたことには違和感満載です。これを歌わされるほかの生徒には心から同情します。

 ──学校が舞台のギャグマンガには、おもしろ校歌が出て来る傾向があります。原作者にとっても校歌は、普段のテイストとは一味違ったギャグを生む絶好の題材なのでしょう。

 そして、主人公が所属する部活メンバーが校歌の歌詞を考えるのも、ギャグマンガあるあるのようです。ぶっとんだ校歌が許される校風だからこそ、奇抜なボケと鋭いツッコミをする、ユーモアあふれる生徒が育つのかもしれません。

〈文/諫山就〉

《諫山就》

フリーライターとして活動中。漫画・アニメ・医療・金融などの記事、YouTube用シナリオを執筆・編集しています。

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