漫画、アニメ作品には年老いた女性キャラが多く登場しますが、中には現在の姿からは想像もできないほど美人で魅力的だった過去を持つキャラが存在します。

◆かつては「強く美しかった」 霊光波動拳の使い手・幻海──『幽☆遊☆白書』

 1990年代の少年誌原作のTVアニメ作品において、現在と若い頃がどちらも描かれ、かつそのギャップが大きく少年たちの記憶に残っているのが幻海でしょう。

 霊光波動拳の高名な使い手であり、主人公・幽助たちの師匠として活躍した幻海。口うるさく厳しいキャラで、幽助や桑原からは「ばーさん」と呼ばれていましたが、若い頃は澄んだ瞳が印象的な凛とした美人でした。

 過去の因縁から暗黒武術会の舞台裏で対峙した、かつての戦友である戸愚呂弟(以下、戸愚呂)は「あのときに殺しておけばよかった 強く美しかったお前のままで」「お前は幻海じゃない 骨と皮のただのガラクラだ」と言い捨てており、このセリフからも幻海のビジュアルが過去と現在で大きく異なっていたことが分かります。

 幻海がモテたかどうかは定かではありませんが、戸愚呂と幻海は友人以上の仲であったことがその後に描かれており、戸愚呂は幻海に恋心に近いものを持っていたと思われます。

 暗黒武術会で幻海と対戦して敗れた裏御伽チームの死々若丸も、戦いの中で細胞の活性化により一時的に若返った幻海を見て「その姿今のお前なら……ほれてたかもな……」と、決着後に本音を漏らしました。

 そんな若い頃の幻海の吹き替えは人気声優・林原めぐみさんが担当したこともあり、美人キャラとしてのインパクトはとても大きいものだったといえるでしょう。

◆20代の頃はまさかの美人!? 海賊団の女首領、ビッグ・マム──『ONE PIECE

 ビッグ・マム海賊団の女首領にして元四皇の1人であるビッグ・マムことシャーロット・リンリン。

 現在は首もウエストのくびれも無く、まるで怪物のような様相ですが、若い頃は今の姿からは想像もつかない美人でした。

 漫画86巻のSBSで、原作者の尾田栄一郎先生によって28歳と48歳のときのビッグ・マムが初めて描かれ、28歳のときはまさかのスタイル抜群の超絶美人だったことが発覚しました。

 子供の頃から海賊稼業を始めたビッグ・マムは、荒くれ者が集まる海賊団という男社会の中でたくましく生きるうちに、徐々に見る影もなく太っていき現在の容姿へと変貌していったのかもしれません。

 夫が43人、息子46人、娘39人という非現実的な家族構成の人数は、ビッグ・マムが若い頃は美人で男性から引く手あまたのモテモテ状態だったことを示す伏線なのかもしれません。

◆50年前はかぶき町のアイドルだった!? スナックのママ・お登勢──『銀魂』

 銀次が営む「万事屋」の大家で、「スナックお登勢」のママであるお登勢こと寺田綾乃。

 かぶき町四天王の1人で「女帝お登勢」という異名を持ち、タバコと日本髪、無地の着物がトレードマークの歓楽街にいかにもいそうな貫禄のある年配の女性ですが、彼女もまた若い頃は美人でした。

 若い頃は団子屋の看板娘で、50年前は「かぶき町のアイドル」と言われるほどの美人だった過去が描かれています。現在とは違いかわいい柄入りの着物に当時としてはハイカラな髪型、大きな目と笑顔が印象的なまさにアイドル然とした存在でした。

 若い頃のお登勢は、貧しい子供たちにタダで団子を食べさせるなど、義理人情に厚く気前のいい女性として描かれており、芯の部分は昔から現在まで変わっていなかったことも分かります。

 そして、かつてのお登勢の姿はキャバ嬢兼用心棒の美人キャラ・志村妙にどことなく似ているようにも思えます。

 そんな容姿端麗で男性顔負けの気前の良さ、懐の深さを持っていたお登勢は、若い頃に辰五郎、次郎長という2人の男性のハートを射止めた、まさにモテモテの女性だったようです。

◆若い頃はイケイケだった「リゼンブールの女豹」 ピナコ・ロックベル──『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST

 エドとアルの幼なじみ、ウィンリィの父方の祖母であるピナコ・ロックベルも、若い頃は今の姿からは想像もできない美人でした。

 細長く結ばれたお団子ヘアに丸メガネが特徴的で、外科医兼機械鎧(オートメイル)技師という肩書を持ちながらも、小柄で日本人っぽい印象のお婆ちゃんキャラとして描かれているピナコですが、40年ほど前の若い頃は「リゼンブールの女豹」と呼ばれ、同業者の男たちにも恐れられた鉄火肌の女性でした。

 原作において若い頃のピナコは、ラッシュバレーの機械鎧技師・ドミニクの回想に「思い出すもおぞましい……あのリゼンブールの女豹めぇぇぇぇ……!!」というセリフとともに高笑いする姿が1コマだけしか描かれておらず、目隠し線も入っていたため美人かどうかまでは分かりませんでした。

 しかし、TVアニメシリーズ2作目『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』の第27話「狭間の宴」にて、ホーエンハイムの夢の中に若い頃のピナコが登場したことで、リゼンブールの女豹の全容が明らかになり、現在の小柄な体型からは想像がつかないスタイル抜群の美人だったことが判明しました。

 その立ち振る舞いや、トレードマークの煙管は若い頃からのもので、男勝りの性格から「リゼンブールの女豹」という通り名が付けられたと思われますが、スラッとした体型と整った顔立ちは、どこか孫のウィンリィの面影を感じさせるものでした。

 

 ──年老いた女性キャラといえば、脇役として描かれることがほとんどですが、ときに物語において重要な役割を果たすこともしばしばあります。

 作中の登場人物たちの中でもあまり知られていない彼女たちの若く美しかった過去が、アニメや漫画のストーリーに華を添え、物語にいっそう厚みを持たせているのかもしれません。

〈文/lite4s〉

 

※サムネイル画像:Amazonより

※タイトルおよび画像の著作権はすべて著作者に帰属します

※無断複写・転載を禁止します

※Reproduction is prohibited.

※禁止私自轉載、加工

※무단 전재는 금지입니다.