アニメの中には、視聴者をあっと驚かせる演出が存在します。アニメで芸能人が実名で登場し、役を演じる”本人役”もその一つ。既存キャラクターとの夢の共演や、容姿や特徴を反映した作画など、新たなアニメの楽しみ方ができるのが本人役の魅力といえるでしょう。
ゲスト声優として芸能人の起用が増えた一方で、本人役はまだまだ稀なケース。次の4作品には、ある芸能人たちが本人役として登場していました。
◆『バクマン。』には世界でも活躍するミュージシャンの姿が……
2010年にアニメ第1シリーズが放送された『バクマン。』では、ある芸能人が本人役で出演し話題に。それは、L'Arc〜en〜CielのHYDEさんです。
描かれたのは、第21話「文学と音楽」でのこと。HYDEさんは、マンガ家兼トップアーティスト・KOOGYのプロデューサーという設定で登場。KOOGYのライブを賞賛するカットをまっすぐに演じ、KOOGY役の声優・森久保祥太郎さんとの息のあった掛け合いをみせました。
また、HYDEさんは自らがボーカルを務める「VAMPS」(現在活動休止中)の楽曲「GET UP」や「EUPHORIA」を劇中歌として提供。原作漫画では、「VAMPS」のギターやアクセサリーがKOOGYの所持品として描かれたことも。本人役だけでなく、『バクマン。』とHYDEさんには数々の思いがけない結びつきがあったようです。
◆『僕とロボコ』に出演したバラエティにひっぱりだこの「あの人」
2022年から放送された『僕とロボコ』のアニメには、モデルやタレントなど多岐にわたって活躍するアンミカさんが本人役で登場しています。
アンミカさんが登場したのは、第27話「理想とロボコ」。ロボコがリスペクトする憧れの女性として出演しました。
印象深い黒のストレートロングヘアや本人もトレードマークと語る大きな口など特徴を上手くとらえ、誰もが一目でアンミカさんとわかるほど忠実に再現されています。
劇中では、「夜はあかん、朝考えよう」「学びと発見があれば人生に失敗なんてないんやで」と、”アンミカ節”が炸裂。ポジティブな物言いで多くの人から憧れられるアンミカさんのパブリックイメージにぴったりな役柄でした。 ちなみに、第19話と第20話には、お笑い芸人のケンドーコバヤシさんの姿も。ボンドの担任「ケンコバ先生」として、シュールな笑いに拍車をかけています。
◆『名探偵コナン』ではあの人気女優が熱演!
青山剛昌先生による推理マンガの金字塔『名探偵コナン』。毎年劇場版のゲスト声優予想が話題にのぼりますが、実は1996年から放送されているアニメシリーズでは芸能人が本人役としてキャスティングされることも。人気女優の上戸彩さんも、その一人でした。
上戸彩さんが本人役に挑戦したのは、2006年に放送された第437話「上戸彩と新一 4年前の約束」。工藤新一に調査を依頼する役柄で登場し、コナンや蘭、園子らお馴染みのキャラクターたちと夢の共演を叶えています。
過去の回想では、新一との2ショットも実現。二人の意外なつながりが垣間見られるオリジナル展開が反響を呼びました。
また、上戸彩さんはその後、2018年に上映された劇場版『名探偵コナン ゼロの執行人』にゲスト声優で出演も。コナンとの12年ぶりの再共演を果たしています。
ちなみに『名探偵コナン』には、上戸彩さんのほかにも松尾貴史さん、中山秀征さん、倉木麻衣さん、市川海老蔵さんなど、複数名の芸能人が本人役として出演。それぞれが個性的に本人役を演じ、作品に彩を添えています。
◆『あたしンち』に登場した昭和の国民的アイドル
今年、連載30周年を迎え、6月よりYouTubeで新作アニメ『あたしンちNEXT』が配信開始された『あたしンち』には、小泉今日子さんが本人役として出演しています。
アニメの2代目(『新あたしンち』、2015年10月〜2016年4月放送)オープニングテーマを歌唱していた小泉今日子さんは、エンディング後のおまけコーナーに本人役で出演。当初は本人役としてではなく、ピンクの覆面をかぶった「あたし仮面(仮)」として登場していました。
正体を隠し続けるため、歌手のクレジット表記も「あたし仮面(仮)」にするという徹底ぶり。しかし、唯一無二の特徴的な歌声から、予想をぴたりとあてた視聴者も多かったようです。
正体が明かされてからは、アイドルらしさがのぞく華やかな装いを身にまとった”あたしンち画風”の小泉今日子さんがあらわに。視聴者に演者を当てさせるという、エンターテインメント性にあふれた取り組みが注目を浴びました。
〈文/繭田まゆこ〉
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