「怪談」や「怖い話」は、夏の風物詩の一つ。テレビで心霊特集が放送されたり、怪談話のイベントが開かれたり、夏といえばホラーを連想する人も多いのではないでしょうか。

 今年の夏も、厳しい暑さが続く様子。猛暑を乗り切るべく、思わず気分がヒヤリとするアニメのトラウマホラー回を集めました。

◆人が溶ける描写は放送不可レベル!?

 1968年からアニメ放送が開始された『ゲゲゲの鬼太郎』。期ごとにテイストが変化する『鬼太郎』ですが、第2期はとくにおどろおどろしく不気味なエピソードがそろっていることで有名です。なかでも屈指のホラー回として知られているのが、第43話「足跡の怪」。

 神のような妖怪・タイタン坊による神隠しで「いらず山」を訪れた鬼太郎は、持っていると祟りが起こる守護石が削られていることに気づきます。

 石を持ち去るタブーを犯したのは、埋蔵金を目当てに山を訪れた男二人組。鬼太郎の忠告を聞かない男たちには、やがて数々の報いが降りかかります。

 まず、小指が急になくなり、耳が消え、目が潰れ、鼻が消失し、皮膚がドロドロと溶け、しまいには深いほら穴へ落ちていく……。水木しげる先生タッチの絵柄も合わさって、そのおぞましさはまさに現代では地上波放送不可能レベル。

 容赦のない描写に、「これ以上恐ろしい話ある?」「嫌な余韻が残る終わり」など、最恐に納得する感想が並びました。

◆学園ホラーアニメで放送されたトンデモ行動

 1991年からスタートしたアニメ『ハイスクールミステリー学園七不思議』。心霊や怪奇現象をテーマにしたこの作品は、劇画調の作画やエグいストーリー展開も相まって、当時の子供たちに恐怖とトラウマを植えつけました。とくに、第19話「猫足の墓」は、指折りの恐怖回です。

 猫足型の墓石は、墓相学上では最も凶相。しかし、その墓には主人公たちが通う黄泉学園の名が刻まれており、そこには30年前に起きた学園の寮にまつわる凄惨な事件が関係していました。

 この回でショッキングだったのが、天涯孤独の少女が母の骨を入れるお墓がないからと、母の遺骨をボリボリと食べ、自らの腹を墓にしようとするシーン。一見親子愛にも見えますが、その異常な行動はトラウマものです。

 また、エンディング曲もこの作品の怖さを引き立たせる要因になっています。不安感を煽られるメロディ、赤と黒をメインとした独特な色調は、一度見たら忘れられないでしょう。

◆激しすぎるビジュアルはトラウマ必至!

 1996年から放送が始まったアニメ『地獄先生ぬ~べ~』。作中に登場するインパクトのある恐怖描写は、少年誌で連載されていたにもかかわらず、大人がみるのを躊躇してしまうほどでした。中でも、アニメ第13話「教室が凶器に変身!?妖刀はたもんばの呪い」はトラウマ必至。

 この回では、ぬ~べ~の生徒・克也が「はたもん場跡」から賽銭を盗んだことで罪人と認識され、妖怪はたもんばに襲われる話が描かれています。

 はたもんばは、打ち首にされた何百人もの罪人の怨念でできた妖刀が変化した妖怪。そのビジュアルは過激で、頭蓋骨がむき出しになった落ち武者の姿をしています。

 ちなみに、はたもんばはぬ~べ~が除霊できなかった数少ない妖怪。鬼の手が引き裂かれるという壮絶な戦いっぷりも記憶に残るエピソードです。

 見た目の強烈さとただならぬ強敵感には、「風貌が怖すぎて夢に出てくる」「永遠のトラウマ」との声が聞かれました。

 『ぬ~べ~』は2025年に新アニメ化されますが、このエピソードを再び映像化するのは極めて難しいといえます。

◆死ぬしかない? シュールで怖い理不尽ホラー

 ホラー漫画家・伊藤潤二先生の作品をアニメ化した『伊藤潤二『マニアック』』。端正な筆致とはうらはらにストーリーは不気味かつ凄惨なものが多く、その得体のしれない恐怖にはトラウマを抱く視聴者も。そんな狂気に満ちた傑作の中で、とくに恐ろしさを感じるエピソードが第3話「首吊り気球」です。

 物語は、ある女性アイドルが不可解に自ら命を絶つところから始まります。それから間もなくして、気球のように空を浮遊する彼女の巨大な頭が目撃されるように……

 衝撃だったのは、自分の顔をした気球が薄気味悪い笑みを浮かべて襲ってくるシーン。追い払おうと気球を傷つけると、同じ顔をした本人もミイラのように干からびていくため、なす術なくひたすら首を吊られ殺されていくしかありません。

 結局誰も助からず死体をぶら下げた頭の気球が不気味に空を飛び回るという、胸のザワザワが止まらないラストで物語は幕を閉じます。

 この後味の悪さには、「不条理すぎ……」「どこからこんな発想が湧いてくるんだ」「救いがなさすぎる」など、伊藤潤二先生の世界観に驚愕する声が上がっていました。

〈文/繭田まゆこ〉

 

※サムネイル画像:Amazonより

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