子供から大人まで多くの視聴者が毎週の放送を楽しみにしているTVアニメの中には、トラブルや大人の事情によりやむなく途中で打ち切りとなり、最終回が予定通り放送されなかった作品があります。

◆事件と被った“トラウマ級“の最終回──『School Days

 “トラウマ級”の最終回として、もはや伝説となっているのが『School Days』です。同名の大人向けのゲームを原作としてアニメ化された作品ですが、最終回は全局で放送が休止され、正式な発表も行われないまま打ち切りとなっています。

 打ち切りとなった理由は、最終話の内容が放送前日の2007918日に起きた「京田辺警察官殺害事件」の犯行状況を想起させるとされたためです。

 2008年に出版された『現代視覚文化研究Vol.2』の付録『まじカル! 2008SP』で、担当した制作会社はアニメ化にあたり「とにかくショッキングに!」という挑戦的な意向で制作を進めたことを明かしていますが、不運にも最終回の放送日の前日に類似事件が発生するという不可抗力に見舞われ幻の最終回となりました。

 その後、地上波の1週間遅れで放送中だったAT-Xの夜間帯で放送されましたが、あまりにショッキングな展開に「胸糞すぎ」「トラウマ作品」「絶対に検索してはいけない言葉“School Days 最終回”」など、今でも伝説としてSNSで話題となっています。

◆『世界名作劇場』唯一の打ち切り作品──『名犬ラッシー』

 昭和末期から平成にかけて数々の名作アニメが放送された『世界名作劇場』の作品の一つである『名犬ラッシー』も、実は打ち切りになった作品です。

 世界名作劇場といえば、『アルプスの少女ハイジ』『フランダースの犬』など、数々の感動的な名作アニメを輩出してきた番組でしたが、野球をはじめとするスポーツ中継などで放送延期になることが多くなり、1990年代には視聴率も低迷していました。

 そういった事情もあり、本来4クールの放送予定だった『名犬ラッシー』は、わずか2クールで打ち切りが決定。当初の構想では、前半2クールで主人公のジョンと犬のラッシーが絆を深めていく様子を描き、後半2クールで離ればなれになった後ラッシーがジョンの元に帰る旅を描く予定でしたが、後半はわずか2話で終了することに……。

 そして、最終話の第26話は野球中継により放送中止となり、放送されないまま終了を迎えるという悲しい結末を迎え、不名誉なことに世界名作劇場で唯一の打ち切り作品となりました。

 なお、最終話はVHSDVDなどに収録されており、地方テレビなどでは再放送されています。

◆事件を想起させるとして放送打ち切りに!?──『ひぐらしのなく頃に解』

 同人ゲームを原作とした『ひぐらしのなく頃に解』も、いくつかの放送局で放送打ち切りとなり、最終回が放送されなかった作品です。

 打ち切り理由は『School Days』と同様、作中の残虐なシーンが放送期間中に発生した「京田辺警察官殺害事件」の犯行状況を想起させるとされたためです。

 事件を起こした16歳の少女が犯行時に着ていた黒のワンピースが本作のキャラクターである竜宮レナを連想させたことや、アニメーション専門学校に通っていたことなど、数々の関連性が報道されましたが、結局裁判で因果関係は認められませんでした。

 アニメ放送打ち切りへの救済措置として、当時は有料だったインターネット動画配信サービスが無修正版を1週間限定で無料放送するなどの対策が取られたり、事件が発生した当地である京都の放送局「KBS京都」は翌週に放送を再開したりなど、アニメの人気と事件との関連に関する報道など、最終回の放送は大きな話題となりました。

◆高視聴率だったのに番組改編で不遇の打ち切り──『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-

 国民的TVゲーム『ドラゴンクエスト』を元に『週刊少年ジャンプ』で連載され、199110月から19929月まで放送されたアニメ『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』も、実は打ち切りとなった作品です。

 好調な視聴率を受け、当初予定していた放送期間1年を数クール延長する計画も持ち上がっていましたが、当時の放送局だったTBSの大幅な番組改編により1年で急遽打ち切りとなりました。

 シリーズ構成は延長予定で進められていたため、スタッフと原作者の間で協議のうえ急遽ストーリーを再構成しましたが、かなり不自然な形で放送最終話を迎えることとなりました。

 ところが、TVアニメシリーズ放送終了から28年の時を経て2020年に奇跡の復活。現代の技術を生かしたアニメとCGのハイブリットで制作された新シリーズのクオリティーの高さには、当時のファンからも高い評価を得ています。

◆著作権トラブルで急遽打ち切りが決定!?──『RGBアドベンチャー』

 ライドアクション向けに製作された8分のフルCGアニメが元になった戦隊ものアニメ『RGBアドベンチャー』も、打ち切りになった作品の一つです。

 当初2クールの放送が予定されていましたが、「制作会社の都合により放送継続が不可能になったため」として、わずか1クールで打ち切りとなりました。

 理由は公表されませんでしたが、観光ビザで日本を訪れた中国籍デザイナーが作成したキャラクターの図案を巡り、制作会社との間で著作権トラブルが発生したため、というのが定説となっています。

 放送開始予定だった2006115日から、いきなり2週にわたってメイキングスペシャル、突然の番外編の放送など、制作サイドの混乱ぶりは随所に露呈しており、そんな内情を裏付けるようにACCプロダクションは本作が打ち切りになって間もなく200711月に倒産しています。

 

 ──インターネット配信やサブスクなど、さまざまな方法でアニメが視聴できるようになった昨今ですが、TVアニメの放送は依然として大きな存在です。

 そんな激戦区ともいえるテレビ放送枠を勝ち取り、さらに最終回まで全話放送されること自体、もしかするととても幸運なことなのかもしれません。

〈文/lite4s〉

 

※サムネイル画像:Amazonより

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