アニメの中では、一見するとまったく接点のないような他作品のキャラクターが登場することも。たとえば、国民的アニメ『クレヨンしんちゃん』には、日曜朝アニメ『わんだふるぷりきゅあ!』のキャラクターが出演。グルメバトルアニメ『トリコ』は、『ONE PIECE』『ドラゴンボール』との夢のコラボレーションが話題になりました。
実は次の4つの作品でも、キャラクター同士のまさかの共演が実現しています。
◆有名ロボットアニメと元祖スポ根アニメのキャラクターが共演!
1969年9月放送のバラエティ番組『前田武彦の天下のライバル』内では、スポ根野球アニメ『巨人の星』とロボットアニメ『鉄腕アトム』のビッグコラボが実現しました。
顔を合わせた双方のキャラクターが、なぜか真剣勝負をすることに。星一徹や花形満、伴宙太、お茶の水博士、ウランなど、各作品のお馴染みのキャラクターが見守る中、星飛雄馬、アトム代表によるマラソン対決と野球対決が行われました。特に野球対決では、投手・飛雄馬、打者・アトムという夢の組み合わせも。
このコラボ企画は、さまざまなジャンルのライバルが対決するという番組のコンセプトのもと立ち上げられたそう。異なるアニメ同士の共演を意味する“クロスオーバー作品”の存在は当時非常に珍しく、まさにS級のお宝映像。多くの視聴者の目を釘付けにする映像となりました。
◆あの一流スナイパーが天才柔道少女に投げ飛ばされる!?
『シティーハンター’91』には女子柔道ブームを起こした『YAWARA!』の主人公・猪熊柔らしき人物が登場しています。
描かれたのは、第10話「今夜だけこの愛を…都会のシンデレラ物語」でのこと。槇村香の付きそいでショッピングに来ていた冴羽獠。待ちくたびれた獠は、いつものようにナンパをし始めてしまいます。
何人目か、次に獠が声をかけたのは、黒髪のボブヘアに赤い小さなリボンをつけた少女・裕子でした。獠が口説くついでに裕子の肩に手を置くと「もうしつこいんだから!」と怒りの声が。その瞬間、獠は裕子によって華麗な「一本背負い」を決められ、地面に叩きつけられることに……。
名前こそ裕子ですが、髪型や身なり、得意技の「一本背負い」など、いくつもの要素が柔を彷彿させます。
加えて、裕子役の声優は、柔の声を演じた皆口裕子さんが担当。また、『シティーハンター』『YAWARA!』ともに、プロデューサーは諏訪道彦さん、音響監督は浦上靖夫さんが務めるなど、数々の共通点が。両作品のファンには嬉しい、まさかの“隠れコラボ回”となりました。
◆『週刊少年ジャンプ』作品同士の夢のコラボ!
“20周年イヤー”中の『銀魂』アニメ第227話「コラボにはエイリ◯ンVSプ×デターがあるのも覚えとけ」では、同じ『週刊少年ジャンプ』作品の『SKET DANCE』とのコラボが披露されました。
江戸のあらゆる依頼を引き受ける「万事屋」と、学園の生徒からのさまざまな依頼を引き受ける「スケット団」。両者はともに“なんでも屋”を営んでいるという共通点があります。どちらがより『ジャンプ』の“なんでも屋”にふさわしいのか。『SKET DANCE』からはボッスン(藤崎佑助)、ヒメコ(鬼塚一愛)、スイッチ(笛吹和義)の3人が参戦し、キャラ・声優かぶりなどのネタを交えながら熾烈なバトルが繰り広げられました。
もともと『SKET DANCE』の作者・篠原健太さんは、『銀魂』の作者・空知英秋さんのアシスタント。『SKET DANCE』第26話「SPIRIT DANCE」では、逆に万事屋一行が出演するなど、師弟関係から誕生したコラボ漫画に多くの反響が寄せられました。
◆『ルパン三世』に登場した男装の麗人とは……?
アニメ『ルパン三世 2nd series』第101話「ベルサイユは愛に燃えた」では、『ベルサイユのばら』に登場する男装の麗人オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェの姿が。
幻の秘宝“マリー・アントワネットの宝冠”の情報を手に入れ、ベルサイユを訪れたルパンたち。彼らに情報を流した張本人こそが、貴族社会の復活を目論む「黒百合党」の幹部・オスカルだったのです。
しかしオスカルの真の目的は、宝冠に装飾された青真珠の中にある“人間を石にする秘薬”。最終的にはルパンや「黒百合党」を裏切り、先に石像となった恋人アンドレ・グランディエに寄り添いながら石化していくという結末でした。
この豪華な共演が叶ったのは、『ルパン三世』アニメ100回記念で募集された視聴者アイデアがきっかけだったそう。
劇中には、「ベルサイユのばら族なんて気持ち悪いぜ」と吐き捨てる次元大介や、オスカルの男装に気づかず惚れるルパンなど、コラボならではの貴重なシーンが登場。まさに夢の共演が実現した奇跡の回となりました。
〈文/繭田まゆこ〉
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