アニメや漫画には1度、耳にしただけでは認識できない聞き慣れない名字や、漢字・響きが現実離れしているカッコイイ名字が出てきます。その中には、リアルにあるレア名字も……。次の4つは、珍しすぎてネットで話題になったり、本当にあるのか調べてみたりしたくなる名字です。

 Webサービス『名字由来net』(https://myoji-yurai.net/)で、名前の由来や日本にその名字の人が何人いるのかも参照にしながら見ていきます。

◆まるでポテチの新商品のようなフルネーム、焼塩檸檬──『負けヒロインが多すぎる!』

 実際に存在する「焼塩」(ヤキシオ)という名字は、そのレア度からネットでも話題となりました。主人公の温水和彦は彼女のことを「焼塩」(ヤキシオ)と呼んでいますが、あまりに聞き慣れない名字のため何といっているのか分からず、エンディングのキャスト欄で確認した人も多いでしょう。

 温水は普通に名字で呼んでいるだけなのですが、それを知らなければ愛称で呼んでいるかのようであり、すごく親しい関係なのかと勘違いしてしまいそうです。しかも、フルネームは焼塩檸檬であり、「焼塩レモン風味」というポテチの新商品があったとしても違和感はありません。

 檸檬は1年生ながら陸上部のエースであり、ボーイッシュな風貌と日焼けした健康的な肉体が魅力の女の子です。小麦色の焼けた肌と、水着姿やシャワーシーンで見せる焼けていない塩のように白い肌は、まさに「焼塩」(ヤキシオ)の名字がふさわしいといえるでしょう。

 また、負けヒロインの称号にふさわしく、レモンのように酸っぱいながらも爽やかな青春を送っています。単純に珍しいというだけでなく、彼女のイメージにマッチした名字といえるでしょう。

『名字由来net』によれば、「焼塩」(ヤキシオ)を名字に持つ人は全国に10人ほどだそうです。焼塩とは粗塩を煎って作った純白のサラサラした塩であり、江戸時代は石川県の能登半島で盛んだったとのこと。

 そのため、「焼塩」(ヤキシオ)姓を持つ人も石川県に多いです。そして、この職業に就いていたり、かつて塩焼場だったところに住んでいたりしたことがルーツとなっています。

「焼塩」(ヤキシオ)という名字にこれまでリアルで出会ったことがある人はおろか、アニメや漫画でも観たことがあるという人は少ないハズ……。

 そのため、これまで多くのアニメ作品を観て来て「小鳥遊」(タカナシ)や「栗花落」(ツユリ)といった珍しい名字にも慣れ親しんでいるファンも、「焼塩」(ヤキシオ)のインパクトに驚いたのではないでしょうか。

『負けヒロインが多すぎる!』は2024年夏の覇権アニメとして話題となっており、原作は2度目の全巻重版が決まりました。檸檬の人気も高く知名度が一気に高まったため、今後アニメや漫画で「焼塩」(ヤキシオ)の名字を持つキャラクターが増えて来る……なんてこともあるかもしれません。

◆当時はあまり話題にならなかった珍しい名字、天道あかね──『らんま1/2

『らんま1/2』のヒロインあかねをはじめ、その家族の名字である「天道」(テンドウ)は実在します。アニメが放送されている当時(1989年)はまだインターネットが一般に普及する前だったため、あまり話題になりませんでしたが改めて考えるとかなりレアな名字です。

『名字由来net』によれば香川県三野町が発祥のひとつであり、天に通じる道が語源とされています。漢字や響きだけでなく由来もカッコイイこの名字を持つ人は、日本でおよそ260人だそうです。

『らんま1/2』の天道一家のほかには、2013年のアニメ『幻影ヲ駆ケル太陽』にも天道3姉妹が登場します。近年では、2023年にアニメが放送された『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』の主人公が天道輝という氏名でした。

 また、2001年のアニメ『7SEEDS』の天道まつり、2002年のアニメ『奇鋼仙女ロウラン』の天道優。さらには、2004年のアニメ『グレネーダー 〜ほほえみの閃士〜』の天道琉朱菜など、アニメ作品でも定期的に登場している名字です。

『らんま1/2』は、今秋に新作アニメが放送されます。そのため、「天道」(テンドウ)という珍しい名前がネットで話題となったり、実在するか確認したりする人が出て来ることは間違いないでしょう。

◆「霊長類最強の男子高校生」にふさわしい名字、獅子王司──『Dr.STONE

「獅子王」(シシオウ)は『名字由来net』によれば、全国におよそ20人ほどのレア名字であり、獅子王司はその名の通り圧倒的な強さを持っています。

 1997年に放送されたアニメ『勇者王ガオガイガー』の主人公の1人が獅子王凱であり、やはり名前のイメージ通り強いキャラクターに名付けられることが多いようです。

「獅子王」(シシオウ)の名字を持つキャラクターは少ないですが、『CLAYMORE』の獅子王リガルドをはじめ、ライオン姿の強敵の異名として登場することはよくあります。また、『喰霊』『喰霊--』の諫山黄泉のもつ宝刀の名前が獅子王です。

 キャラクターの名字や異名、アイテムにしろ「獅子王」(シシオウ)というイメージから、やはり強い力を持っていることが多い模様。司は「霊長類最強の男子高校生」という異名を持っており、戦闘力はもちろん知力や記憶力もズバ抜けています。

 なお、お笑いコンビ銀シャリの鰻和弘さんはウナギを食べないそうですが、司は石化から復活した直後にライオンを撃退しているので特に獅子に思い入れはないようです。

 鰻さんの家にはウナギを食べてはいけないという言い伝えがあるそうですが、日常生活でライオンと触れ合うことは少ないので獅子王司の家にはそのような教えは生まれなかったのでしょう。

◆おいしそうなイメージの名字、鯛網ちさ──『7SEEDS

「鯛網」(タイアミ)は『名字由来net』によれば全国におよそ10ほどしかない名字で、前述した「焼塩」(ヤキシオ)と並ぶ超レア度。由来は不明ですが千葉県に見られる名字であり、鯛を網で獲ったり鯛を網焼きにしたりすることを連想させるため、おいしそうなイメージを抱いてしまいます。

 また、鯛網ちさは大人しく控えめで周りに振り回されることが多い性格であり、そういう意味では網にかかった鯛のような印象を持つ人もいるかもしれません。

 しかし、網にかかって大人しくなったと思って近づくと急に鯛が暴れ出してビックリすることがあるように、ちさも怒らせると怖い性格をしていて、その様子は周りを引かせるほどです。

7SEEDS』では前述した天道あかりに加えて、全国におよそ10人とされる野火(ノビ)桃太郎など実在する珍しい名字が他にも出てきます。また、甘茶(アマチャ)藤子や末黒野(スグロノ) 花、百舌戸(モズノト)要といった、創作だと思われる独特なネーミングが多いのも特徴です。

 

 ──ネットが普及する前はアニメや漫画で変わった名前のキャラクターがいても、それほど気にしなかった人も多いのではないでしょうか。しかし、ネットが一般的となった現代社会では、珍しい名字が本当にあるのか調べるのは簡単です。それをSNSで作品のファンと共有して盛り上がるのも、ネットが当たり前の生活となったからこそ生まれた、楽しみ方の一つといえるでしょう。

〈文/諫山就〉

《諫山就》

フリーライターとして活動中。漫画・アニメ・医療・金融などの記事、YouTube用シナリオを執筆・編集しています。

 

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