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 725日にNetflixで配信が始まったドラマ『地面師たち』。主演の綾野剛さんや豊川悦司さん、お笑いコンビ・マテンロウのアントニーさんなど、実力派から異色のキャストまで豪華な顔ぶれと、巧みなストーリー展開で人気を集めています。

 話題になっている『地面師たち』以外の連載漫画でも、巧妙な詐欺の手口が横行している様子が見られ、中にはドラマ化や映画化された作品もあります。

◆詐欺師だけをターゲットにした窃盗団──『ギャングース』

『ギャングース』は、窃盗団や振り込め詐欺集団など、犯罪者だけをねらって金品を奪う「タタキ」を行う少年たちを描いた物語。実際に起きた事件を基にしたフィクションで、犯罪の手口や専門用語なども詳しく解説してくれています。

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 ストーリー共同制作は、少年犯罪と貧困問題に鋭く切り込むノンフィクションライターの鈴木大介さん。彼の作品『家のない少年たち』が原案になっており、2018年には高杉真宙さん、加藤諒さん、渡辺大知さんが主役の3人を演じ、実写映画化もされました。

 主人公は工具全般担当・カズキ、情報担当・サイケ、そして車両担当・タケオの3人で、不遇の人生を送ってきた彼らは収監された少年院で意気投合し、出所後に窃盗団・バックスカーズを結成。中でも特に冴えない見た目のカズキが、個人的な都合により半グレの1人の住処を配達員に扮して訪問し、目的である自身の身分証の奪還、および虐待されていた少女の引き取りを完了させたのち、警察に半グレを逮捕させる鮮やかな手口は、まさに痛快。

 細かな役割分担に電話での演技など、長年の取材に裏打ちされた説得力のある詐欺集団の手口のリアルな描写と痛快なストーリーが魅力の作品です。

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◆主役は人を化かす“ムジナ”が宿った高校生詐欺師!──『アナノムジナ』

『アナノムジナ』は、『週刊少年ジャンプ』で2013年に読切版として掲載後、『少年ジャンプ+』で2014年より本連載が開始。現在は不定期連載されています。

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 主人公である男子高校生の佐滝匡は幼いころに妖怪・狢から「人をだます能力」と「人をだまさずにはいられない衝動」を授かり、少女・朝日奈良子、天才ハッカーの少女・猯、情報屋クオンの愛犬・トビー号とともに、さまざまな悪党たちを詐欺師のごとく「化かし」ていきます。

 最初に出会ったヒロイン・朝日奈良子の父であり、同僚に罪を着せられた末に亡くなった科学者・朝比奈円斎の汚名を返上するために、真犯人であるウイルス研究の権威・鴨谷大寛を、巧みな演技やエアコン操作、ミントタブレットを使った巧妙な手口で心理操作して追い詰めていく様は圧巻の一言です。

 助手の猯が「寝顔が激カワ」と言っていた微笑ましい伏線回収など、緊張と緩和をうまく使ったストーリー展開がまさに「巧妙」な作品です。

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◆天才詐欺師が教師に!?──『ハンマーセッション!

『ハンマーセッション!』は、『週刊少年マガジン』200650号から200923合併号まで連載され、連載終了後は小説化、2010年には速水もこみちさん主演でテレビドラマ化もされました。

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 主人公・矢沢悠は、優れた観察眼と巧みな話術を併せ持つ、超一流の詐欺師。刑務所への護送中に発生した事故に乗じて逃走し、逃げ込んだ中学校・光学園で偶然放火の現場に居合わせ火災阻止に貢献しますが、放火犯は何と始業式を控えた新任の教師・蜂須賀悟郎でした。

 校長・坂本亨は不祥事の隠蔽を画策し、矢沢が詐欺師であることを承知の上で教壇に立つことを依頼。矢沢は蜂須賀悟郎の名を騙って3B組の担任となり、脳天に響く「衝撃的授業(ハンマーセッション)」で、問題児たちを次々と生まれ変わらせていきます。

 矢沢が坂本校長に語った、米国・アーカンソー州の学級崩壊を救った臨床心理学の権威であるサー・スコッティ博士の話とその結末は、きっと読者の誰もが「心を掴まれる(だまされる)」でしょう。

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◆獲物は詐欺師──『クロサギ』

 2003年から2008年まで『週刊ヤングサンデー』で連載され、2006年には山下智久さんが、2022年には平野紫耀さんが主演でテレビドラマ化され、のちに映画化もされた詐欺をテーマにした漫画の代名詞でもある『クロサギ』。

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 世の中には人をだまし金銭を巻き上げる詐欺師・白鷺、異性を餌とする結婚詐欺師・赤鷺、そして一般人を喰らわず、白鷺と赤鷺のみを餌とする最凶の詐欺師・黒鷺(クロサギ)の三種の詐欺師がいます。

 主人公・黒崎高志郎は、詐欺師への復讐のためクロサギとなった男で、あるときは真面目な新人営業マン、またあるときは切れ者の弁護士、はたまた頭の弱い金持ちのボンボンと、巧みな話術と演技で身分を偽り、だましのプロである詐欺師たちを手玉に取っていきます。

 財団融資詐欺、霊感商法詐欺、ODA還流資金詐欺といったターゲットである詐欺師の分野に応じて、詳細なリサーチとともにワナを仕掛ける手際は、まさに最凶の詐欺師そのもの。

 物語序盤、FILE.1の「財団融資詐欺」で黒崎によって展開されるシロサギ・新川をハメる詐欺の手口は、実に鮮やかで巧妙。同じ詐欺師(=犯罪者)でありながら、黒崎に正義を感じるのも本作の不思議な魅力です。

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◆幼馴染のために詐欺師になったJD──『青い鳥症候群』

『青い鳥症候群』は、 『プチコミック』にて1984年から1988年まで連載され、1999年には安達祐実さん主演でテレビドラマ化され話題を呼びました。

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 主人公・杏奈(20歳)は、自身の父親のせいで幼馴染・慎吾の両親が自宅に火をつけて自ら命を絶ち、その影響で慎吾が記憶をなくし入院したことに責任を感じ、彼の入院費を稼ぐために若くして詐欺師の道へ。

 持ち前の美貌と色目、やりすぎとも思える迫真の演技で金持ちの男性を手玉に取り、貢がせた金品によって慎吾の入院費を稼いでいきますが、杏奈の慎吾への想いや、次第に記憶を取り戻していく慎吾のその後など、複雑に入り組んだ人間模様が見どころの作品です。

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 ──詐欺行為は犯罪ですが、日々巧妙化する詐欺犯罪のすべてを法で裁けていないのが現実。救いもなく、泣き寝入りするしかない無力な被害者に、勇気と希望を与えてくれるのもここで紹介した5つの作品なのかもしれません。

〈文/lite4s〉

 

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