TVアニメ『ささやくように恋を唄う』のBlu-rayの発売中止が、1月7日に作品公式Webサイトで告知され、一時、X(旧Twitter)のトレンドに浮上するなど話題となりました。
しかし、さまざまな理由でDVDやBlu-rayが発売中止になることは、実は珍しくありません。
◆『ささやくように恋を唄う』──アニメ放送時からトラブル続きだった
2024年放送の『ささやくように恋を唄う』(以下、『ささ恋』)は、監督が体調不良により降板、放送時期が3ヵ月延期、アニメ第9話以降が作画崩壊によりSNSで炎上、さらに第11話と第12話の放送日が延期になるなど、アニメ放送時からトラブルが絶えませんでした。
それでも無事に最終回を迎え、原作者もファンも一安心したのも束の間、今度はBlu-rayの発売中止が発表される事態に……。
発売中止を発表した音楽・映像ソフト会社は、理由として「弊社の都合により発売中止」と記していましたが、実は『ささ恋』のアニメーション制作会社が2024年12月に破産手続きを開始したことが原因だとされています。
また、舞台版『ささ恋』のDVD・Blu-rayも制作会社が2024年11月に廃業したことで発売中止になり、関連イベントも取りやめとなってしまいました。
度重なる災難に、ネットでは「ファンもかわいそうだが、原作者が一番かわいそうだ」と同情の声があがっています。
◆『こどものじかん』──アニメの内容と円盤の販売中止の理由は別?
2007年放送の『こどものじかん』は、新任の男性教師と児童たちとの交流を描いた作品で、不登校やLGBTQ、親との死別、教育虐待など、さまざまな問題を扱っています。
小学生が登場する作品とは思えないほど過激なシーンが多く、たとえば、ヒロインの習字作品にきわどい言葉が書かれていたり、男性教師を誘っているかのような言動をしたりする場面も多々あります。
しかし、人気作品であることに変わりはなく、完全予約受注限定商品としてBlu-ray BOX化が計画されていました。
ところが、2011年に発生した東日本大震災の影響でBlu-rayの生産や販売が難しくなってしまい、発売はいったん見送られることになりました。
その後、10年以上経っても公式から発売に関する情報は発表されておらず、今後Blu-rayが発売される可能性は低いと考えられています。
◆『ラブゲッCHU~ミラクル声優白書~』──物語後半はなぜかDVD未収録
2006年放送の『ラブゲッCHU~ミラクル声優白書~』は、地方から上京して声優を目指す少女たちの成長を描いた作品です。
このアニメは、携帯アプリとして配信された恋愛シミュレーションゲームを元に制作されたメディアミックス作品で、新人声優の役は新人の声優が、ベテラン声優はベテランの声優が演じるなど、細部まで制作側のこだわりが見える作品でした。
アニメは第25話まで放送されたのですが、なぜか物語後半の第14話以降はDVD化されておらず、発売されなかった理由すら明らかになっていません。
DVDは発売されませんでしたが、2007年10月に行われた「CEATEC JAPAN 2007」の日立のブースで、iVDRのデモンストレーションとして全話収録されたカートリッジが展示されたり、2009年2月には岡崎産業よりパチスロ化もされたりしました。
決して人気が低迷したわけではなさそうなので、制作側で何らかのトラブルがあった可能性が考えられます。
◆『ぱすてるメモリーズ』──パロディをしまくった結果……
2019年放送の『ぱすてるメモリーズ』は、スマホゲームが原作のアニメ作品です。
このアニメは「20XX年」の近未来、かつて「オタクの聖地」と呼ばれた街「アキハバラ」を舞台に、オタク文化が衰退してしまった世界を描いています。
同作には、『とっとこハム太郎』や『ドラゴンクエスト』、『ミスター味っ子』、『聖闘士星矢』など、知名度の高い作品のパロディが多く登場します。
中でも、アニメ第1話と第2話で『ご注文はうさぎですか?』のパロディが無許可で使われたことが問題となり、どちらも配信停止となってしまう事態に陥りました。
第1話は修正版が2019年3月26日以降配信されたものの、DVDとBlu-rayの販売は一時中止となりました。
その後、第2話を未収録としたBlu-ray BOXが発売されましたが、第1話放送後の次回予告が第3話に差し替えられるなど、第2話は完全に封印されてしまったのでした。
〈文/花束ひよこ〉
※サムネイル画像:https://www.kojika-anime.com/index.htmlより
© 私屋カヲル/こどものじかん製作委員会 © 私屋カヲル/こじか製作委員会 © 私屋カヲル/こじかOVA製作委員会