卒業シーズン、新たな門出を迎える人もいれば、何か続けていたことを「卒業」する人もいるでしょう。
アニメや漫画も卒業、つまりいつかは放送や連載の終わりを迎えます。しかし、「間もなく終わる」と発表していながら、いつまで経っても終了しない作品もいくつかあります。
◆「もうオチは決まっている」発言から5年以上経過──『名探偵コナン』
『名探偵コナン』は、原作者の青山剛昌先生が、100巻で終わることを示唆していました。
連載25周年を迎えた2019年に、青山剛昌先生が4月24日放送の日本テレビ系『1周回って知らない話』に出演。取材を行ったタレントの「100巻あたりで物語は動くのか?」との問いに、青山剛昌先生は「100巻だとキリが良い」「もうオチは決まっているからね」と発言したのです。
SNSを中心に「100巻で最終回を迎えるという意味なのか?」「あと4巻ですべてをまとめるならすごすぎる」といった声が出ましたが、2025年3月現在も同作は連載されており、コミックスは第106巻まで出版されています。
ストーリーの都合や編集部との話し合い、ファンの要望など理由は定かではありません。しかし、いまだ見ぬ最終回に、読者の関心は高まるばかりです。
◆30年前から最終回が決まっていた?──『ガラスの仮面』
1975年に連載を開始し、休載をたびたび挟みながらも40年以上続く人気長編マンガ『ガラスの仮面』。
2018年5月、原作者の美内すずえ先生は、自身のSNSで「『ガラスの仮面』は、必ず最終巻まで描き続けます」と宣言しました。
また、2019年1月に『朝日新聞』の書籍の情報サイト『好書好日』で公開された、「「ガラスの仮面」創作の源はここにあった 美内すずえ先生異業種対談集「見えない力」」で、最終回の内容は30年前から決まっていると明かしています。
美内すずえ先生は、夫が2016年頃に倒れて要介護5と認定され、介護生活を送っているのだとか。
「頭の中ではもう結論は出ていますし、最終回の内容やページ構成、主人公がどんなことを喋るかも30年くらい前からすべて決まっています」「ただ、なかなかそこに行きつかないんですよ(笑)」「例えば東京から新幹線に乗って、終点の博多まで行くとするじゃないですか。そうすると静岡の辺りで富士山の噴火が始まったとか、米原の辺りで大雪が降って動きませんとか。そうやって今は、あちこちで止まったり、脱線したりしているような状態です」と語っており、まだまだ作中に詰め込みたい内容があるようです。
◆「あと4回で終わる」とアナウンス後に……──『絶体絶命でんぢゃらすじーさん』シリーズ
『月刊コロコロコミック』や『別冊コロコロコミック』で連載されている『絶体絶命でんぢゃらすじーさん』は、小学生の読者を中心に絶大な人気を誇っているシリーズです(以下、『でんぢゃらすじーさん』)。
2009年12月号の『別冊コロコロコミック』の扉絵で、主人公・じーさんが「このマンガあと4回で終わるよー」と発言し、連載終了を報告。
2010年3月号をもって最終回を迎えたものの、4月号から続編にあたる『でんぢゃらすじーさん邪』の連載が始まりました。内容は前作とほとんど変わっていません。
作者の曽山一寿先生は、2017年に漫画の口コミWebサイト『マンバ』に掲載された「コロコロコミックを愛し、コロコロコミックに愛された男 曽山一寿インタビュー」で、続編に連載を切り替えた理由について、「やっぱり子供が「コミックス買うぞ!」ってなった時に、じーさんの17巻ってなかなか買いづらいと思うんですよ」と説明しています。
メインターゲットである小学生への配慮から、リセットの意味も込めてシリーズを継続しているようです。
その後、『でんぢゃらすじーさん邪』も第20巻で最終回を迎え、2017年からはさらに続編の『なんと!でんぢゃらすじーさん』を発表し、2025年3月に至るまで連載が続いています。
──連載が長期に渡るほど終わりが見えづらくなるのかもしれませんが、原作者は最終回をしっかりと考えています。長らく応援してくれたファンのためにも、最高のラストを描いてくれるでしょう。
〈文/花束ひよこ〉
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