映画の興行に合わせてさまざまなグッズが作られていますが、その中でも作品ごとの色が見えてくるのが“映画パンフレット”です。
映画のパンフレット文化は日本特有のもので、チラシやリーフレットこそあれど日本のように冊子として販売される例は海外ではありません。
そんな独自の文化を育んできた映画パンフレットですが、アニメーション映画も例外ではありません。2025年も3ヵ月が過ぎようとしていますが、既に目を引くパンフレットがたくさん登場しています。
◆需要をしっかり分けた『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』
映画パンフレットでは近年すっかり定番になっているのが、通常版と特別版の2バージョンを発売する例です。通常版に比べて特別版の方が値段が大幅に高くなる分、ボリュームが増えたり、装丁が凝っていたりとよりコアなファンに向けた内容になっている傾向があります。
そんな中で異色な仕組みになっていたのが『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』です。
◤劇場物販情報◢
公開初日の1月17日(金)から、通常版と豪華版の2種で展開されるパンフレットを始めとした多数の関連商品が、上映劇場にて発売!
公開日までに商品ラインナップを追加予定ですので、さらなる続報をお待ちください!
#GQuuuuuuX #ジークアクス pic.twitter.com/yannNb65dc— 機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス) (@G_GQuuuuuuX) January 13, 2025
1,200円(税込)の通常版と3,000円(税込)の豪華版の2種類が用意されているのですが、豪華版は約30ページの通常版に“加えて”別冊子の30ページが付いてくるというシステムになっていました。どちらも揃えたいというコレクター気質な人も、一度の購入で事足りるという利点があります。
しかも内容も作り分けされていて、作中の呼称や設定をなぞるだけならビジュアルも多めの通常版の冊子に内容は集中していて、豪華版は製作姿勢を掘り下げるような読み物重視の内容となっていました。
◆作品に合った装丁や統一感が嬉しい『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』
装丁の工夫でいえば、リッチな見た目から嬉しい『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』のパンフレットも人気が高いです。
\🔥映画オリジナルグッズ サンプル紹介🔥/
『#劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』読み応え抜群のパンフレット📖
箔押しの表紙も魅力的です✨#モノノ怪 pic.twitter.com/AL4LHAMKyK— 『劇場版 モノノ怪』公式 @「火鼠」3.14(金)劇場公開! (@anime_mononoke) March 4, 2025
紙質からこだわっていて本編の和紙風のエフェクトをかけた映像をそのまま再現したかのような紙を採用。サラサラした手触りがまず気持ち良いのですが、さらにそれを和綴じという特殊な綴じ方と模様を箔押しで転写した表紙を採用して、ファンアイテムとしても嬉しい豪華な作りになっています。
その凝り方から映画パンフレットとしては高めの1,650円(税込)という価格になっているのですが、50ページにも渡る容量にインタビューや設定資料などがぎっしり記された密な内容になっていて、その値段設定にも納得です。
さらに嬉しいのは赤い装丁が特徴だった昨年の『第一章 唐傘』に対して、今年公開の『第二章 火鼠』は青い装丁で2冊並べた時に統一感がありつつそれぞれが映える点。
来年に『第三章 蛇神』の公開が発表されましたが、ぜひ次回のパンフレットも同じ装丁での発売に期待したいところです。
◆アイディア賞は『映画 先輩はおとこのこ あめのち晴れ』
今年発売されたパンフレットの中でも、豪華版を設けたり、装丁をリッチにしたりといった方向性の二作品を紹介しましたが、それらに“アイデア”という観点で勝るとも劣らない目を引くパンフレットに仕上げた作品がもう一作品あります。それが『映画 先輩はおとこのこ あめのち晴れ』です。
バージョン違いや特殊な紙を使ったりしたわけではないのですが、本作はパンフレット自体が登場人物である“花岡まことのノート”という体裁のデザインになっています。
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映画#先輩はおとこのこ
あめのち晴れ
☔劇場グッズ紹介☀
━━━━━━━━━本日より各劇場にて販売開始🐳
内容盛り沢山のパンフレットやイラストグッズ、ハンカチなど是非チェックしてください👀https://t.co/t0Ng1M23mZ#ぱいのこアニメ pic.twitter.com/jabk8k3DiN
— アニメ『先輩はおとこのこ』 映画2月14日公開🐳 (@painoko_anime) February 14, 2025
その見た目から「おっ!」と思わせられるのですが、内容の見せ方も凝っています。ノート風の装丁に合わせて、キャラクターの紹介として“プロフィール帳”にそれぞれの人物が記入したという体裁のコーナーが用意されていたり、キャスト陣や監督たちのコメントについても直筆で寄せ書き風のデザインで掲載されています。
ちなみにTVアニメシリーズの振り返りなど、パンフレットならではの特集もしっかり設けていて再現だけに終わらないところも手堅いです。
青春恋愛モノの本作に見事に合致したパンフレットのデザインとなっていて、アイデアだけでもこんなに面白くできるという良い例でしょう。こういった思わぬ一冊が登場するので映画パンフレットも油断できません。
まだまだ1クールしか経っていないのにこれだけバラエティ豊かな商品が登場しているのは、アニメーション映画界が充実している証拠ともいえます。
今後の公開予定の映画もまだまだ注目作が目白押しとなっていますが“パンフレット”も面白い作品が出てこないか注目です。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。『FILMAGA』、『めるも』、『リアルサウンド映画部』、『映画ひとっとび』、『ムービーナーズ』など現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。映画『ミューン 月の守護者の伝説』や映画『ユニコーン・ウォーズ』のパンフレットにライナーノーツを寄稿するなどその活動は多岐にわたる。noteでは『アニメ映画ラブレターマガジン』を配信中。X(旧Twitter)⇒@nejimakikoibumi
※サムネイル画像:https://www.gundam.info/feature/gquuuuuux/news/video-music/01_16192/より
機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス) 公式サイト
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